松山行きの機内で、例の羽生さんの『大局観』を再読。
しかし、将棋の世界は、ほんとうにおもしろい。
孤高の天才と言われた、坂田三吉は、当時、悪筋と言われた「端歩」(端の歩をひとつあげること)を二手目でついて、
弟子が、
「なんであんな手を打ったんですか?」と問われて曰く、
「いまにわかる」
と答えたそう。
羽生さんによれば、70年以上のときを経て、この「端歩」は、ひとつの作戦として定跡化してきたという。
さらには、
「王飛接近すべからず」(王は飛車の逆側で囲う」という原則を覆したのが、
藤井猛氏の「藤井システム」。これは、飛車側に王を囲って速攻を仕掛けるというもの。
羽生さんは、
データベースの棋譜読みと研究が主流となった現代将棋においても、
自由闊達な精神が、非常識を常識に変えるということは忘れてはならない、
定跡は常に変わるのだと自身を戒めます。
商売もこうやればうまくいく、ここまでいくという定跡があります。
これも棋譜=膨大なフィールドワークに基づいた経験則から導かれたものです。
でも、ときに坂田三吉のような精神がなければ、無味乾燥な売場しかつくれないのではないか?
「スタイリッシュなデザイン性の高い歯ブラシを、オーラル売場ではなく、男性化粧品に置いてみたらどうだろう?」
「いまにわかる」・・かもしれないです。
こういうのって小売りの現場ではとても大切ですね。