北九州レポートの続編です。

サンキュードラッグさんの「潜在需要発掘研究会」に参加しています。



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これはまさしく文字通り、顕在化している価値、つまり現在多くの消費者が気づいている価値ではなくて、

まだ消費者が気づいていない価値を発見したり、生活者の不満や不便さを感じている部分を解消していこうとする研究会です。


月一で開催され、今回は47回目。まる4年になります。

メーカー、ベンダーのマーケティング担当者が参集し、サンキューさんの本部スタッフ、店長クラスが参加。

会場は200人以上。今回は人数制限がかけられました。


IDPOS(顧客属性情報付販売データ)をつかって(サンキューさんはオープンにしています)、メーカーは「潜在需要開発、発掘をテーマに仮説と検証のプレゼンを行います。


この場は、まさしくメーカーマーケティングとリテールマーケティングのせめぎあい。

メーカーの思い込み仮説が覆され、リテールの売場実現力不足がどんどん指摘されます。

しかも数値検証付ですから、仮説が仮説のままで終わりません。


さらに平野社長の切り込み、ジェイビートゥビーの奥島社長の別視点分析も加わり、厚みが増します。


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よってこの研究会から、さまざまな「売り方」が開発され、成功事例が生まれています。


個別企業の発表についてはレポートできませんが、ひとつだけ。


今回の提案で、「デイリーユースUV(日焼け止め)」がありました。

日焼け止め市場は、10%前後毎年伸びており(個数ベース)、女性はすでにデイリーからスペシャルケアまでUV市場は確立しています。最近は子供市場も伸びています。


意識していないのは、男性です。

紫外線がスキンケアにとってよくないことは認識している人は多いけど、デイリーで意識していない。

とくに30-40代がボリュームゾーンです。


では男性をターゲットに広げるのはどうか。


男性化粧品市場はいま拡大中です。ここで男性化粧品ブランドを展開中の別企業からもコラボ検証の提案が出されました。


これがメーカーマーケティングとリテールマーケティングの最大の違い。


メーカーは自社商品だけが伸びてほしいわけですが、リテールはカテゴリー全体が伸びてほしい。カテゴリー全体を底上げするためには、共通ターゲット(地域顧客の満足)に対して、コラボすることも大切な戦略になってきます。


よってこの研究会では、ライバル企業同士が意見を戦わせ、結果相乗効果の高い提案ができる点で、ユニーク。メーカー自社のマーケティング研究会は星の数あるでしょうが、メーカー同士、さらにリテールの現場が突き合せて議論を深める研究会は少ないでしょう。


また、殺虫剤とベビー用品の組み合わせもありました。


IDPOSをみると、ある殺虫剤と併買されている商品上位は、いくつかベビー用品が入りました。


この殺虫剤は、強力でつるすだけで効果があるので、ベビーにスプレーや塗布タイプを避ける母親が買っていたのです。


で、面白いのが、メーカーからすれば、「効き目」「成分」を強調したいあまり、POPも商品パッケージも、それらしくなります。効き目が強いので適正使用をうたう部分はもちろん徹底されています。


でも、ベビーがいる家庭でも使えるということであれば、商品パッケージもピンクなどやわらかな色合いのタイプがあってもいい。ただ適正使用については、より正しい知識を提供しなければなりませんが。


そういう気づきが出てくるのが、この研究会。刺激的ですねえ。


サンキューさんと取引がある企業は、だれでも参加できます。


最近は、全国のドラッグストアが、わが企業でも・・ということでトップが積極的に勉強にきています。


販売数量を担保に有利な価格条件を引き出すだけのバイイングとは異なるリテールの価値を追求しているわけです。


ひとつだけと言っておきながら、ふたつになっちゃいましたね、すみません(笑)。