偽ノ終
終編
世界がまた終わった。
何故かは分からない。
そして、あの少年の、いつの間にか顔が前のように真っ白くなっている白という少年の前には、
「黒……」
同じく、顔を真っ黒くした、黒という少年がいた。
この星に残っているのは、彼等二人だけだ。
終焉の十字路はやがて、黒く輝きだす。
世界の最後を見届ける、大いなるマザーのように……。
再生篇 ー陰ー
何故、人間たちは滅びたのか、白には全くわからなかった。
分かることといえば、
「また、世界が終わる」
1000年も前の出来事だというが、いまいち実感がない。白にはたった数年前の事のように思える。
はぁ、と折角生き返れたのにまた死ぬことをさぞかし残念そうに、白はため息をついた。
ついたところで、目の前にいる黒を見た。
「シロ……」
ボーッと立ち尽くしたまま動かない。
「オレガ……オレガ……」
「黒!」
白は黒を呼ぶ。しかし聞いてすらないようだ。
「黒! しっかりしろ!!」
それでも呼ぶ。すると、チラッと白の目を見た。そして、
「死ネ」
ブウ!
音速で飛んでくる電撃が白を吹き飛ばした。
「ウワッ!」
威力は少ないが、それでもさっきまでそこら辺を歩いていた人間が、それを受けると、細胞までが粉々になるであろう。
その分白の周りにはダメージを軽減させる役の風が待っているので、生身の人間と同じようになることは、まずない。
「シロヲコロシタノハオレダ……」
吹き飛んだ体を起き上がらせ、自分の手足がガタガタ震えていることに気づく。
恐怖。その感覚はずっと前、1000年も前に感じたような、鳥肌が立つほど懐かしいものだった。
震える足をなんとか固定させ、もう一度黒を見る。
ギィン!
耳の奥深く、いや、心の奥底まで届くような声が聞こえた。
「生き残った生命よ、」
ゾワァっと寒気がする。
これは紛れもない、自分たちを作った大いなる『神』の声だった。
白は一度しか聞いたことがないが、よく覚えている。
あれは二人が創生された時のこと、
――生命よ。今度こそ、今度こそ平和な世界を創るのだ。決して争いなどしてはならん。今から二つの生命を創る。そなたらの行動、見ていることを覚えておけ!
思えば、不可思議な言い方だった。
二つの生命を創る、だが、その時白は既に――
「そういえば、俺は……」
全ての謎が解け、ドロドロになっていく。
この世界の謎とは、白と黒の存在だった。
●
「最後の時を、刻み込め!」
神は言った。
その瞬間、
ブワッ!
世界中に風が吹き荒れた。
真っ白な顔に右手には変わった形の剣、その姿は白そっくりだ。いや、もう白そのものだ。
だが、白はその者の目の前にいた。
「……お前が本当の、」
「ああ、俺が本当の『白』だ」
本当の白と言っている者の後ろには、真っ黒な顔の黒そっくりな奴がいた。
その下には、ボロボロになって倒れている黒の姿。
「黒……!」
グサッ!
白の腹のほうで、何か鈍い音がした。
恐る恐る自分の腹のあたりを確認する。
勿論、口から出る言葉はない。
自分自身にも宿っている力によって――風の剣によって、白の腹はえぐられているのだ、言葉なんてどこからも出ない。
「偽者は、死ね」
白は、倒れた。
『サイセイ ケイカク モトイ Project New World カン……リョウ……』
先程の爆風によってモニターごと吹き飛ばされた、モニターの中にいる少女は言った。
ジリジリと、切れた無数の線が、彼女の最後の時を待っているように唸る。
『セイメイ ハ シンダ……ジッツzjekkskskッジッジッジジ――』
壊れかけだというのに、それでも喋る。
『アト…………ハ、jaisekdozma!!』
最後の言葉を、言った。
『アノ フタリダケ……――!』
世界は終焉――再生――を迎える。
●
一切の声は聞こえない。
つまらないな……そう神は思った。
二つの生命を召喚した、そして彼等は殺し合い、二人とも死ぬ。
この循環だ。
これ以外には有り得なかった。そこで、神はある決断をした。
「もう一体召喚する」
これによりエンドが誕生した。
そして神は、エンドに最悪の機能をつけた。
「それが、世界終焉機能だ」
『終焉の十字路』の機能を付けたおかげで、世界と引換に、彼等は殺しあわずに済んだ。
だが、世界が終わっては元も子もない。
もうこんなことは終わりにしよう、神はそう思った。
そして、世界消失。全てが、神の「現在を持って、この世界は終焉を迎える」の一言で終わったのだ。
世界は消え、何もかもが消えた。
何故か、世界は生成された。
神の、創神の命令がなければそんなことはできないはずだが、生成された。
「そして、私は世界をまた作り直すことにした」
その時、ふと思った。
もしかしたら、これは奴ら、前の世界での白と黒がしたのではないか。
そう思い、
――生命よ。今度こそ、今度こそ平和な世界を創るのだ。決して争いなどしてはならん。今から二つの生命を創る。そなたらの行動、見ていることを覚えておけ!
前の奴らへ向けて、こう言い、二つの生命を創った。
…………?
おかしい、そう思い、神は世界を眺める。
「何故、奴らがいるんだ!! エンドの力によって世界は消え、奴らも消えたはず!! 何故だ!!」
そこで考える。
(……何故、私は死んでいないんだ?)
●
一人が死に、もう一人も死ぬ。
ここまでは計画通りだった。
後は……
「我々、人間の時代は、もうすぐだ」
再生篇 ー陽ー
Project New World、“地球”を取り戻す作戦。
それは最初の人類が作ったプログラムが作り出した、最高の人間再生計画だ。
昔この星には、人間はアダムとイヴという二つの生命が神により創られ、そこから始まった、という説があった。
それと同じようにプログラム(神)が白と黒(アダムとイヴ)を創った。
創る事は簡単だ。精子と卵子を結びつかせ、人間が滅びる前の科学力で人口子宮を作る。それだけで産まれるのだから。
その精子の素は、あの二人の少年たちのものだった。
そして出来た人間も、あの二人と瓜二つだった。
メスが産まれなかったことは、プログラムも想定外だった。これでは人類もすぐに死ぬ。
だが、後々のことを考えるプログラムはもういない。
そして、彼らを制御できるものもいなくなった。それこそが白と黒だった。
そして、彼らも、
ブシャッ!
神の神殿の中で、鮮血が飛び散った。
神は死んだ。そして、
「さぁ、黒、お別れの時間がやってきた」
「ああ……」
白と黒の、互いの神剣がもう片方の心臓を突き刺す。
勿論、神から出た以上の鮮血が飛び散る。
「じゃあ、お別れ、だ……」
「また……な……」
再興されるはずだった世界は消えずに、静かに存在を消していった。
終
終って思いました?
こんなもんじゃあ終わりません、というか、終われません!
最初は少年漫画っぽく始まり、バッドエンドで終わるというのを考えたのは昨日ですw
そして今日書き、
「こんなの嫌だ!」
ってなりました。
やはりこの物語が好きだからなんでしょうかねぇ(違う)
僕は終は書きたくありません。始まりが書きたいんです。
これからまた始まる。こんなストーリーを作りたいです。
じゃあ行きますか~
始まり、始まり。
【 The last monochrome ー 始 ー 】