
アルビノ
アルビノのルーツは東アフリカのこの国と考えられ
現在国民の1400人に1人という高率。
しかも不死身の幽霊である、または呪われた家庭に生まれるといった迷信が拡散している
だが最も恐ろしいのは
幸運のお守りや薬の材料にする目的で殺害、遺体を切断し、呪術医に売るケースが後を絶たないことだ
手足4本と耳、舌、鼻、性器が“一式”とされ、7万5000ドルの値が付く場合もあるという
人は言う
アルビノは生まれたその瞬間に死刑宣告を受けるようなものだと
日本列島に隣り合わせる
阿藤海を一隻の船が渡っていた
レットイット号
そう書かれた船には
一人の女が両手を縛られ眠らされていた
その女の名前は
赤城 世鶴
夕食の買い出しの途中に何者かに拐われていた
今井はというと
とある案件により単独で呼び出されていた。
もちろん世鶴が連れ去られたことなど
今井が知るはずもない
さっきまで市松人形に取り憑いた少女と戦う夢を見ていた
呑気なものだ
船は日本から離れた
ジーゼルバッハ島へと向かっていた
何時間が経った事だろう
世鶴は目を覚ました
手の縄はほどかれていた
「どこ…ここ」
世鶴は部屋を見回した
部屋には四枚の絵画が貼られており
毒、爆、焔、鑫とそれぞれ漢字一文字がかかれていた
世鶴は机の上に書類が置いてあることに気づいた
書類の一番上に置かれた紙にはこう書かれていた
お前のことは全て調べ尽くした
今井探偵事務所で働く赤城世鶴だな
このジーゼルバッハ島は日本から遠く離れた場所に位置している
脱出は不可能だろう
お前の動きはすべて監視している。
私は決してお前を監禁して
あんなことやこんなこと///…おっとすまない
そんなことをしたい訳ではない
脱出したければ四人の罪人を裁いて欲しい
身元は調査済みである
その四人を逮捕すれば島から出してやろう
四人のデータは書類の中に入っている
因みにこの島では日本国憲法が適用されない
要するに必ずしも生け捕りにしなくてはならないわけではない
部屋を眺めると
所々に監視カメラがある
窓から外を見ても
見渡す限り海や港は見えない
世鶴はひとまずと言った感じで書類を読み始めた
一人目のデータ
園田 満子(そのだみちこ)
園田に近づいた男が相次いでしたいとして発見される
勤務場所
SMバー“マゾと鞭の女王”
「この人を捕まえないといけないのか…まあなんとかなるでしょ…にしてもSMバーって」
世鶴は書類に同封されていた地図を頼りに
マゾと鞭の女王へとたどり着いた
店内に入るやいなや
真っピンクの室内に
犬のように這っている仮面のおっさん達
それを鞭で叩くボンテージ衣装の女たち
真ん中で∞の字を描きながらエンドレスで
鞭を振り回す女
その女がターゲットの園田満子だ
店の営業終了が朝の5時
現在の時刻は大体22時50分
世鶴は時間を改め
一旦帰った
あの鞭女には何かしらの武器も必要だろう
4時50分
世鶴は懐にナイフを隠し
店に入った
店内にはホストっぽい白いスーツを着たキザ男とターゲットである園田が口論をしていた
男が言う
「お前、仕事ばっかり優先させすぎだろ」
「仕方ないじゃない」
「このままだったら俺たち…もう終わりだな」
男が必殺技のように言葉を切り出すと
男の予想していた言葉と真逆の言葉が園田から返ってきた
「別にいいわよ、じゃあね」
男のプライドが音を立てて崩れ落ちた
そして男は自分で蒔いた種なのに逆ギレした
「はあ!?お前みたいなヤ○マンには俺着必要に決まってるだろうが!お前に断る権利なんかねぇんだよ!」
園田も言い返した
「うるせーんだよユルマラ!お前なんてうざい財布に過ぎーねんだよ!さっさと消えろ」
男はテーブルのワインを割り
割れたワインを持って園田に襲いかかった
思わず世鶴は目をそらした
勝負は一瞬だった
次に世鶴が視線を元に戻した時には
倒れ込む男とそれを見て舌打ちする園田がいた
園田が世鶴の存在に気づいた
「あら、こんな時間n…
園田は何故か世鶴の顔を見るなり冷静になった
「何の用?ここはあなたみたいな可愛らしい女の子が来るようなお店じゃないわ」
「名前は…えんだまんk…
「そのだみちこよ!間違えるな!私もあなたのことは知ってるわ、赤城…いえ今井世鶴と言った方がいいかしら?私を含めて四人逮捕してこの島から逃がしてもらうんでしょ?」
世鶴はたじろいた
目的を知られていたのも
今井の存在を知っていたのもそうだ
園田が言った
「悪いけど…これをみられたからには死んでもらうわよっ!!」
園田はそう言って何かを飛ばしてきた
その何かは世鶴のそばをかすめ
後ろにあったワインセラーに当たった
ワインセラーからはワインが溢れるのではなく
小さい破裂音とともに煙が出た
ワインセラーには太い針のようなものが突き刺さっていた
世鶴が状況をつかめないまま
園田が何かを煩わしいものでも消えたかのように話した
「そのワインセラー、監視カメラになってるのよ…私もあなたも監視されてる、と言っても私も誰に監視されてるのかはわからないけどどうせあなたを誘拐した奴らでしょうね…でももう監視するものはいないわ、あなたには言わなきゃいけない…いや、伝えなきゃいけない事があるわ」
世鶴は息を呑んだ
園田が言った
「私はあなたの姉よ」
世鶴は一瞬理解出来なかった
「苗字が違うでしょ」
パニックになっていた世鶴が言えたのはその程度のものだった
「弟が行方不明…家族が皆死んだのは知ってるでしょ?それのすべての原因は赤城世鶴、あなたよ…私はこの島に亡命して園田満子という名前で第二の人生をスタートしたの」
世鶴は何も返すことができなかった
本当に自分の姉なのかもしれないとも思った
「あなた…化粧をしたことはある?」
園田は意外なことを言ってきた
「…化粧したことは無いわ」
世鶴は化粧をしたことがなかった
元々化粧ができないのと
色白な皮膚のためノーメイクでも
充分化粧したように見えるからだ
「世鶴…あなたはアルビノよ」
「…え、ある…びの?」
先天性白皮症
通称アルビノ
動物学 においてメラニンの生合成に係わる
遺伝情報の欠損により先天的に
メラニンが欠乏する遺伝子疾患がある
アルビノは悪い意味で様々な人から必要とされている
アルビノの肉を食うと不治の病も治る
不死身の幽霊である
呪われた家庭に生まれるといった迷信が後を絶たない
命を常に危険にさらす
生まれたのと同時に死刑宣告を受けるのと同じというものもいる
「世鶴、あなたはアルビノよ…と言ってもかなり珍しい普通の人間の血が混合して両立した純粋なアルビノじゃないけどね、純粋なアルビノはもっと肌も白いし髪も白い、でもアルビノということに変わりはないわ…家族が殺されたのも単にあなたの肉を欲してる輩の仕業だということね」
世鶴は我に返り
隠していたナイフを取り出し
鋒を園田に向けた
「適当なこと言わないで!私はアルビノなんかじゃない!」
世鶴はナイフを持って園田に向かっていった
しかしなんの感触もなく
そこに園田はいなかった
既に後ろに回り込まれていた
園田は一言
「ボンテー・ジ・エンド」
そういった
それと同時に世鶴の首に
なにか鋭利なものが当たった
世鶴の目の前は暗くなった
世鶴は死んではいなかった
強い麻酔で眠らされていた
世鶴が目を開けると窓から朝日が差し込んでいた
場所は間違いなく園田と戦ったバーだが
園田はおろか殺されていた男の屍もなかった
ただ、世鶴の手には
矢のような鋭い
ワインセラーを破壊した時の
大きな針が置かれていた
世鶴はいつかリベンジする事を心に決めた
なんとかジーゼルバッハ島の小屋に帰ると
毒と書かれた額縁に
赤のペンキらしきもので大きく
✖印が書かれていた
園田の書類にも
赤でCLEARと書かれていた
やはりどこかで監視されているのか
とはいえ取り逃がしたのになぜ
成功したかのように書かれているのか
そんな複雑なことは麻酔の残っている
世鶴には分からなかった
~次回予告~
世鶴は二人目のターゲット
栗井 一(くりい はじめ)討伐に向かう
重火器をぶっぱなし近寄ることすら難しい相手に世鶴はどう戦う?
POG 弐話
厄介破壊損壊男