
世鶴の目の前は暗くなった
いや、違う
目の前に園田がいたのだ
園田は世鶴に向かって崩れ落ちた
園田の背中にはナイフが刺さっている
焉龍は舌打ちした
世鶴は自然に涙を流していた
初めて会った時姉ではないと言い切ったが
身を呈して世鶴を守った姿を見て
世鶴は本当の姉だと確信した
園田が口を開いた
「あ…の男…に…普通の攻撃…効かない…」
所々聞き取れなかったが
世鶴には何を言いっているのかすぐに分かった
世鶴は立ち上がり
園田が残した太い針
栗井が残したボウガンと火薬袋
須藤が残したライター
針に火薬袋をくくりつけ
ボウガンにセットし
針の先にライターで炎をつけた
そして焉龍に狙いを定め
ボウガンの引き金を引いた
焉龍の体に針が刺さった
そしてくくりつけた火薬袋に引火し
爆発を起こした
焉龍は悲鳴をあげ後ろにのけぞった
そして
むき出しになった鉄骨が
焉龍の胸を貫いた
世鶴は苦しむ焉龍に近づいた
「な…何を…」
もがく焉龍に世鶴は冷たい視線を向け
言った
「慣性の法則よ」
その時
廃ビルが崩れ始めた
おそらく爆破の衝撃で
ビルの柱の耐久度が限界を超えてしまったのだろう
世鶴は園田を抱え
ビルの隙間を見つけ出し
そこから逃げ出した
ビルはあっという間に崩れ落ちた
遠くから船が来る
日本エレキテル連号
そう書かれた船には
あの今井と益子、そして財前が乗っていた
船内では今井が益子と話していた
「益子~もっとスピード上げられないのか?」
そういう今井に対して益子が言う
「ダメよ~ダメダメ♡」
今井は意味もなく益子を殴った
「痛ッ!公務執行妨害ですよ!」
船が島につくと
今井は世鶴に駆け寄った
今井は世鶴に歓迎されると思ったが
「来んのが遅いんだよ!!」
と、怒号を発せられた
今井の理想郷は一瞬で地獄絵図になった
「…ウィッス」
そして
園田は船で治療を受けた
世鶴は何故か濃い酸素を吸わされた
すると何故か気持ちが落ち着くような気がした
今井が言った
「お前、あの島にいた時と普通の日常生活で自分の変化に気づいたか?」
世鶴には思い当たる節があった
「そう言えば…あの島にいた時は戦うのが好きだったような気がする、今はそんなことないけど」
今井はそれを聞いて少しカッコつけて言う
「あの島はな、第二次世界大戦が終わったあと不要になったV2ロケットが数多く埋められてるんだ、そのV2ロケットの燃料であるヒドラジンっつうガスは人を攻撃的にさせる作用がある…あの島での争い事が許されるのもそう言う事だろうな」
世鶴は全く聞いていなかった
それから数週間後
とある病院
杜或病院(とあるびょういん)の一室に
園田と世鶴、そして今井がいた
園田は奇跡的に一名をとりとめたが
後遺症の影響によりベッドから起き上がれなくなってしまった
自らの意思で動かせるのは上半身だけだ
園田もヒドラジンの影響であんな性格だったが今は穏やかな性格になっていた
全てがハッピーエンドになろうとしていたが
世鶴の心には一生取り除かれない蟠りが残った
アルビノは呪われた人種であるということ
ただそれだけが
POG 終