「星和、ご飯よ」
母からの晩御飯の呼び出しで、星和は一階へ下りた。
リビングのテーブルの上に置かれてある皿の上には、美味しそうにキラキラと輝いているハンバーグが、ご丁寧に盛り付けられたサラダと一緒に、乗っかっている。
星和は「美味しそう……!」と、言葉を漏らしながらテーブルの方へ向かう。しかし、
「手は洗ったの?」
「ガガーン!」
母の当たり前な一言にいちいち反応する星和は、テーブルとは逆方向の洗面所の方へ向かうことになった。
「お腹すいた……」
手を洗い終え、リビングへ戻る。
途中、廊下でググゥ~、とお腹がなったが、特に気にはしない。
リビングと廊下とを仕切るドアを開けた。いや、開けようとしたのだ。
「母さん……?」
星和は不思議そうに母に問う。母からの返答は無し。その代わりに、母が何かを言った。
「ふふふ……星和……」
何を言っているのかよく分からなかったが、自分の名前を言われた気がする、と星和は心の中で、勝手に解釈した。
ドアを開けて、リビングへ入る。
一瞬、生臭い臭いがしたが、特に気にはしなかった。
「いただきます」
「いただきます……」
「……」
「……」
会話もなく、黙々と食べる。時々母さんの方を見ると、母さんはこちらの視線に気がついたからなのか、星数の方を見て、ニッコリと、不気味ともいえる笑みを見せるのだ。
星和は、それに耐えきれずに無理矢理話題を創ることにした。
「そういえば、父さんは?」
「ああ、お父さんなら今日は残業ですって」
「今日はゲーム一緒にしようっていってたのに……」
勿論、そんな約束などしていない。話していないと、母さんの黒く光る目に吸い込まれそうになるから、嘘を言った。
「大丈夫よ、お父さんにはすぐ会えるわよ」
なぜ、「すぐ帰ってくる」ではなく「すぐ会える」だったのかは、星和は分からなかった。
「そうなんだ……は、ハンバーグ美味しいよ」
ハンバーグが美味しいというのは、本当のことだ。これは、流石母さんだ、と感心するしかなかった。
「良いお肉を使ったからよ」
「うぅん! 美味しい!」
ご飯も食べ終わり、お風呂に入ったりテレビを見たりしているうちに、寝る時間が来た。
星和は特に何も考えずに、浅い眠りへとついた。