カウンセリング心理学とは | あなたの心と魂を励ます[ちゃぷれんろごす]

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メンタルケア心理士®・上級心理カウンセラーな県内初のチャプレンによる心と魂を励ますブログ

こんにちは、なぎさです。

 

今回は私の備忘録的な心理学の内容になります。

 

カウンセリングなどで相談をお受けする立場の者は、まず、おおよそがカウンセリング理論や技能だけでなく何かしらの心理学を学んでいるはずです。

 

医療の分野だけでなく社会福祉や児童福祉、教育分野や司法・犯罪、産業・労働分野など、そのほとんどにおいては精神疾患領域の精神分析や心理検査、知能検査などが関係しているため、臨床心理学の履修は多くの人が学んでいることと思います。

 

心理学とはざっくりと2つに分かれます。

 

まずは【基礎心理学】。

これは ”人間の心ってなんだ?””人間のメンタルってどんな経過をたどるのか?””人間って何をするとどういう気持ちが出てるのか?”の部分です。

 

人間の体ってなんだ?になると解剖生理学になるでしょうし、科学的な目線で人間ってなんだ?になると人間科学になりますね。神様目線で人間ってなんだ?になると神学です。

…個人的に今の仕事を始めてから、人間科学を大学で学びたいです。照れ

 

具体的には

  • 認知心理学
  • 学習心理学
  • 行動心理学
  • 知覚心理学
  • 神経心理学
  • 生理心理学
  • 発達心理学
  • 人格心理学
  • 社会心理学

があります。

 

次に【応用心理学】。

これはある分野や領域により専門的にフォーカスした学問になります。

  • 臨床心理学
  • 犯罪心理学
  • 産業心理学
  • 教育心理学
  • 災害心理学
  • スポーツ心理学

があります。

 

私は基礎では行動心理士資格を持っているので行動心理学な人です。

例えばテーブルを挟んでお話をする時に両手を私に見せないようにしていたり、親指を隠して手を握っていたり、足をキチッと揃えていたり、または足を交叉させていたり、つま先が別の方向を向いていたり、腰に手を置く親指が上向きか下向きか、目線をどこにやっているか…などでどんな感情を持っているのか読み解けます。

嘘をおおよそ見抜けます爆  笑

 

逆に何をしたら好感を得られるのかもわかるので、患者さんとお話するときは必ず足先は患者さんのほうを向けて手を隠さないようにしています。患者さんのほうを向いて私が対話するのには行動心理学的な理由があるんです照れ

 

応用では…確かに臨床心理学はやってるんですけども…私はこの一覧にはない【カウンセリング心理学】な人です。

 

これは心理学者の國分康孝先生がよく著本でも明言されていた心理学で、私はこれに沿っています。私のカウンセリングの形を体系化しているのは國分先生の理論が大きいです。

 

さて、カウンセリング心理学ってなんだろうか?というのが今回の内容です。

少しややこしいかもしれませんので、気になる方だけどうぞ。

國分康孝先生のカウンセリング心理学入門からまとめていきます。

 

 

 

 

 

 

 

【カウンセリング心理学とは】

(1)日常生活で誰もが遭遇する問題にどう対処するかを研究・実践し、その結果をひとつの知識体系にまとめようとする心理学。

 

(2)カウンセリング心理学がとりあげる問題の特徴は個と個との関係、あるいは個と環境との相互作用を内容とすることが多い。いわゆるinter-personalな問題(対人関係の問題)、あるいはperson-environment(個と環境の相互作用)である。個体内(intra-personal)の問題に全く関与しないわけではないが、ウェイトは個と個、個と環境の相互作用におかれてる。心理学者クルト・レヴィンのいう「行動は個と環境の相互作用の結果である。」という考えにカウンセリング心理学は近い。

 

(3)カウンセリング心理学はpsychotherapy(心理療法)を拒否しているわけではない。ウェイトを病理的personalityの変容におくよりも健常者の思考・行動・感情の修正においている。つまり、personality changeよりはbehavior changeにウェイトをおいている。

 

(4)したがって、治療よりも予防・開発(教育)にカウンセリング心理学はウェイトがあるといえる。

 

(5)ということは、長期にわたり人格の深層部を探索するとか過去を遠くさかのぼる援助法ではなく、短期間の援助、面接回数の少ない(多くても15回前後)援助が主になるといえる。

 

(6)仮に病理的personalityを援助する場合でも、病理的側面に焦点を合わせるより、「この人は何ができるか」と健常な部分に焦点を合わせる傾向が強い。

 

 

 

理論としては次の6つの論議の総称となる。

  1. 人間観:人間とは何か、人間をどう見るか。
  2. 性格論:性格とは何か、それはどのように形成されるか。
  3. 問題発生:問題行動はどうして起こるか。発生の機制は何か。(医学でいう病理学)
  4. 援助目標:「治る」とは何か。健常とは何か。目的地はどこか。
  5. カウンセラーの役割:目標た生のためにカウンセラーは何をなすべきか。
  6. クライアントの役割:目標達成のためにクライアントは何をなすべきか。
  7. 限界:その理論が適用できない問題や対象は何か。

 

 

要するに…

カウンセリング心理学とは──

職場・学校・家庭(親子、夫婦)において

  • いかにより良い人間関係を築くか
  • いかに快適な社会生活を営むか

それをサポートするための学問です。

精神科領域の疾患にまつわる解析・解明・援助ではありませんから臨床心理学とは違うことがわかります。

 

 

カウンセリング心理学の視点からみる「人間関係をつくり、維持する原則」は──

  • 人の気持ちがわかる
  • 人を裁かない
  • give and take

となります。

 

 

カウンセリング心理学の諸理論・諸概念からみた「幸福な社会生活を営むのに最低限学習しておくに値する感情」は──

  1. 感謝、ありがたいという気持ち(内観法)
  2. 嬉しい、楽しいという気持ち(快楽原則※1、交流分析のFC)
  3. 勇気、正義感、楽しくはないがすべきだからするという気持ち(超自我※2、実存主義でいう「意味」の発見)
  4. 損得勘定(自我、交流分析のA)
  5. 恥ずかしい、申し訳ない、気の毒、可哀想という気持ち(超自我、交流分析のNP)
  6. 自信、自己肯定感(自己理論の「自己一致」)

となります。

このため、内観療法がどういうものか知るだけでなく、交流分析のエゴグラム解析やロジャーズの来談者中心療法は最低限できることが望ましいのではないかと思います。

 

※1 快楽原則: 食・性・睡眠・休息などの基本的欲求を満たしたい願望があること。対をなすのが現実原則で、したくなくともせねばならないルールや義理を行うこと。快楽原則に偏向すると①わがまま②遊び人③怠け者になる傾向があり、現実原則に偏向すると①常識人②遊び心に乏しい人③我慢一筋の人④そつのない人になる傾向がある。

※2 超自我: 上位自我、スーパーエゴ。俗にいう良心を指す。幼少期に父母のしつけ(禁止・命令)を取り入れて形成される。超自我が低いと厚顔無恥傾向になり、超自我が高いと自己懲罰傾向になる。

 

 

 

 

以上がざっくりとした説明となります。

ですから、私が扱う相談領域は「臨床心理士(公認心理師)がいればそれでいいんじゃないの?」という漫画の問いに対してあのような回答になるわけです。

 

ちなみに國分先生の論考では、このようなカウンセリング心理学が扱うカウンセリング領域は実に幅広く、一見簡単そうに見えるが実はとても必要とする社会知識の幅も広いことや、これらを病理的personalityを扱う臨床心理士が扱うのは違うだろうという指摘、また、臨床心理が上位にありカウンセリング心理学は取るに足らないもののように低く見られるのはおかしいとの指摘もあります。

どちらが優れているのではなく、別のものとしてそれぞれが重要であるとあります。

私もそれは強く思います。

 

精神科や心療内科においては病理的personalityに対するものですから臨床心理学が重要となりますが、身体疾患における緩和ケアになってくるとカウンセリング心理学も参入すべきではないかと考えています。

しかし、現状は臨床心理士と公認心理師以外は病院では心理職としてほぼ認められていませんので、参入の仕様がない。

カウンセリング心理学からカウンセリングが出来る者がいるにも関わらず、また患者さんが必要としているにも関わらず、その現場に入れない状況に私は何とかならないものかな…と思っています…。