やっと観てきました。180分という長編作品なのでスキマ時間とすき間時間を融合させて観賞時間を作り上げました。クリストファー・ノーラン監督作品なので「メメント」テイストで時間軸を遡っていく手法はここでも健在でしたね。1954年オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)は“原爆の父”と呼ばれ第二次世界大戦を終わらせ米国を勝利に導いたヒーローとして持てはやされていたのに現在は共産主義者のいわゆる「赤狩り」のリストに挙がり機関に召喚されていた。このオッペンハイマーの証言がストーリーになっている。イギリスの留学生時代と弟フランクの彼女ジーンとの赤裸々な関係が今でいうセフレなのでしょうか?

 

 

 

もはや老い先幾ばくも無い老人までキリアン・マーフィの七変化だけでもアカデミー主演男優賞に相応しい見事な演技です。元々私はこのキリアン・マーフィという俳優さんは好みで「28日後」以来かなりの作品を観ています。『麦の穂をゆらす風』など史実に則った作品は実にうまい演技です。中でも私が観た中で『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』これは映画館で終映時に席を立てないほどの衝撃と感動を受けました。ノーランさんの映画ではなくてはならない俳優さんですよね。オッペンハイマーの陳述(回顧)部がカラーなのに対し対極のストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)の視点部がモノクロなので複雑な構成にも

 

 

 

 

かかわらずわかり易くはなっております。当初マンハッタン計画ではナチスドイツのヒットラーを倒すために計画してきたが完成し原爆実験が成功した時にはドイツはすでに降伏していた。せっかく生み出した大量破壊兵器「原爆」はいまだ降伏しない日本に矛先が向かう。せっかく成功した原爆を広島・長崎と言う地名が出てきただけで何か気分が悪いのはやはり日本人だからですよ。劇中トルーマン大統領が言う「被爆した人は誰が作ったかよりも誰が原爆投下を命令したのか?きっとその人を恨むだろう」しかし日本の教育では恨むということを避けている気がしますね。オッペンハイマーは人妻だったキャサリン(エミリー・ブラント)と不倫関係ながら結ばれ妊娠したので結婚するという波乱万丈の私生活でもあったのですね。オッペンさんが考え抜いた結論にいつも妻キャサリンが述べる意見は思考の対極にある少数の異見をキャサリンを使って代弁していたのでしょうね。 映画館に出かける前ネットで観客を調べたら3名しかいなかったのに(笑)実際入館したら老若男女50名ほどで混んでいましたがエンドクレジットまで誰一人席を立つ人がいなかった映画は久しぶりでしたね。 (☆4.50)