三島貴瑚(杉咲花)は大分県の海辺の一軒家にたった一人でやって来た。家から繋いだ木製展望デッキのような改装を村の若い男たちに手伝わせていた。「都会で風俗に務めていて逃げてきたんじゃないか?」若い男は貴瑚に興味津々だ(笑)「まっそんなとこかな」貴瑚は答えた。海辺の散策の後急な通り雨でずぶ濡れになった貴瑚は家に帰り着く途中で古い傷が痛みだして倒れ込んでしまうが小さな子が傘を差し出してくれる。小学1年生くらいの「ムシ」と呼ばれる子に着替えさせようとして背中に虐待の傷跡を見つけてしまった。このままでは「ムシ」は殺されてしまうと感じた貴瑚は彼を(髪が長いから女の子だと思った)家に引き留

 

 

 

て「52」と言う呼ぶようになる。世界に1頭だけいる52ヘルツの鳴き声を出すクジラはあまりにも高周波過ぎて他のクジラには全く聞こえていない。「52」の鳴き声を聞かせてやる。そして海辺のデッキから海を見つめながら3年前1年前の出来事と現在をシャッフルしたストーリーになっていく。貴瑚も実は「52」と同じ様に母から虐待を受けていた「あの人じゃなくてあんたが病気で死ねばいいのよ」腫れ上がった顔で自暴自棄になりトラックの前に立った時救いの手を差し出したのが高校時代からの友人美晴と一緒に働いている塾講師の岡田安吾(志尊淳)である。以来岡田のことをアンさんと呼び三人で飲んだり微妙な関係になっ

 

 

ていく。アンさんは貴瑚のことを心配しながらもなぜか遠くから見守るだけにとどまっている。貴瑚の働く会社の専務(父が社長で本人は何もセンム)から告られた貴瑚は初めての男に夢中になっていく。それを知ったアンさんは二人の関係を壊すためのある行動に出るのだがアンさんのことを知って一瞬ぎょっと耳を疑った。なるほどねこれは本屋大賞を受賞した原作ではわかる気がしますが映画ではそのネタに違和感があって素直に受け入れられませんな(笑)ただそれとなく「52」の布石は打ってあったわけです。ネタバレせずに主演の杉咲花は今ショートカットが一番似合う女優さんですよね。彼女がロングヘアの時は何か違和感があってガサツに映るのですが(笑)現在版のヘアになると俄然引き締まり演技派女優になりますね。倍賞美津子さんと余貴美子というベテラン女優さんが脇をしっかり固めて作品をより重たく仕上げています。ラスト近くは私も泣いてしまいました。久しぶり小倉も見れましたし長崎弁も聞けました。   (☆3.95)