炬燵 | 理想の住宅は閑静な一戸建て

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憧れる一戸建てで生活

小学生時代のぼくは、冬の夕暮れの帰り道に、炬燵の暖かさをわが家の庇護感の象微のように思い浮かべつつ足を早めたものだった。


ぼくの通っていた小学校では、別に明確な規定によってではないが、男の子の靴下はひざの下までというのが粋であるとされており、長靴下で足全体を覆うと、女の子みたい、とからかわれたので、当然ぼくのひざ小僧も半ズボンと靴下の間で寒風にさらされていた。


家にたどりついてランドセルを放り出し、スルッと炬燵にもぐりこむと、凍りついていた足が急に暖められて少しむずがゆくなるのがなんとも快かった。


小学生の身長だと、腹這いになって掘炬燵にもぐりこめば、ほとんど肩まで蒲団に覆われる。


その姿勢でミカンを食べながら海野十三や南洋一郎の少年冒険小説を読むのは、当時のぼくにとって、この上ない至福の時間であった。


もっとも、そうやっていると必ず、『お尻まで炬燵に入るものではありません!』と母に叱られて、しぶしぶと起きなおったものであったが……。