20世紀初頭は「セブンシスターズ」と呼ばれるアメリカ、イギリスを中心とした7社が世界の石油産業を支配していた。


<セブンシスターズ>

エクソン(米)

モービル(米)

シェブロン(米)

ガルフ(米)

テキサコ(米)

ロイヤル・ダッチ・シェル(英・蘭)

ブリティッシュ・ペトロリアム(英)


そこに、1960年頃から中東諸国を中心に創設された「OPEC」(石油輸出国機構)が入り込む。


そして、21世紀に入ると今度は新興国の国営石油企業「新セブンシスターズ」が頭角を現す。


<新セブンシスターズ>

中国石油天然気集団公司(中国)

ガスプロム(ロシア)

ペトロブラス(ブラジル)

サウジアラムコ(サウジアラビア)

ベネズエラ国営石油(ベネズエラ)

ペトロナス(マレーシア)

国営イラン石油(イラン)


この7社の原油生産シェアは世界の30%、保有する油田の埋蔵シェアも30%と、存在感は申し分ない。



ここで特筆すべきは、この7社は全てBRICS陣営となることが確実になったことである。


数日前、越境3.0チャンネルの石田和靖さんがYouTubeで、

「ベネズエラがBRICSへの加盟申請を行なった」

「タイが東南アジア諸国で初めてBRICS加盟の意向を示した」

「もしマレーシアが隣国タイの影響を受けてBRICS加盟に動けば、新セブンシスターズは全てBRICS陣営ということになる」

といった主旨の話をされていた。


新セブンシスターズの中国、ロシア、ブラジルはそもそものBRICSだが、今年からサウジアラビア、イランなどが新たにBRICSに加盟、ベネズエラが加盟申請中となると残るはマレーシアだけであった。



そして2024年6月18日、

「マレーシア、BRICSへの加盟準備中」

というニュースが突然飛び込んできた。


[クアラルンプール 18日 ロイター]

マレーシアのアンワル首相はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカを中心とした国々で構成するBRICSに加盟する準備を進めていることを明らかにした。



1981年12月、マレーシアのマハティール首相は、日本などの近代化を手本とする「ルックイースト政策」を提唱した。


そして2024年6月、マレーシアのアンワル首相は、「BRICSへの加盟」を宣言した。


アンワル首相(左)と習近平主席(右)

The Prime Minister's Office Malaysiaより


タイはBRICS加盟に向けた意向書案を閣議決定したが、BRICS加盟の狙いについて次のように発表した。


貿易、投資、金融、食糧安全保障、エネルギー安全保障の面で、将来的に主要なプレーヤーとなり得る国々との協力強化を通じ、国際的なステージにおけるタイの役割を強化する。



いまの日本は、特に食糧安全保障、エネルギー安全保障において極めて脆弱である。


だから、日本も時代の流れに逆らうのではなく、時代の流れに身をまかせることでリスクを軽減する選択肢も準備しておくべきである。



サウジアラビアにも米軍は駐留している。


それでも、サウジアラビアはBRICSに加盟した。



もはや飼い主の顔色なんて、どうでもいい。


私たちは、生き残らなければいけないのだ。