マレーシアに住んでいると、細かいことが気にならなくなる。
というのも、この気だるい空気が気力を削いでしまうのだろうか?
それとも、灼熱の太陽が考えること自体を諦めさせてしまうのだろうか?
だから、
「ま、いっか」
で済ませてしまうことが実に多い。
信号無視や割り込み運転をされても、
「ま、いっか」
モスクから大音量が聞こえてきても、
「ま、いっか」
夜中に何発もの花火を打ち上げられても、
「ま、いっか」
そして、
「ま、いっか」
が高じると、否応なく諦めの境地に連れていかれる。
クアラルンプール国際空港(KLIA)のターミナル間を結ぶエアロトレインは現在運休中である。
エアロトレイン by wikipedia
立ち往生してしまったことが原因らしいが、バスによるピストン輸送で急場を凌いでいる。
それでも何かと不便なので、運行再開にはどれくらいの時間を要するか調べてみると、最低2年はかかるという。
オイオイ、山手線なら翌日には正常運転しているぞと文句を言いたいところだが、
「ま、いっか」
と諦めて待つことができるようになったのだから、慣れとは恐ろしい。
ところで、日本にいると、読み漁るほどではないものの、面白そうな本は好んで読んでいた。
それが、常夏のマレーシアでは読書をする気さえ起きてこない。
やはり、雪国の北海道のような寒冷地の方が頭は冴え渡り、読書にのめり込めるのではなかろうか。
それが、マレーシアにいると、たとえ読書に打ち込めなくても、
「ま、いっか」
と平気になってしまうから、環境というのは恐ろしい。
しかし、よくよく考えてみると、マレーシアはそもそも、
「ま、いっか」
で済ませられることが多いような気がする。
地震や津波はない。
集中豪雨はあっても台風の影響は殆どない。
スギやヒノキによる花粉症はない。
凍死することはない。
相続税や贈与税はない。
ガソリン価格は日本のほぼ半分。
微々たる消費税も政権交代であったりなかったり。
ミサイルが近海に撃ち込まれたというニュースも聞かない。
LGBT法はない。
名目GDPの10年間推移は130%。
(日本は84%)。
食料自給率はカロリーベースで70%。
(日本は38%)。
まだまだ上げていけばキリがないが、ざっと羅列しただけでも、
「ま、いっか」
でよさそうだ。
それに対して、
「ま、いっか」
では到底済ませられない国がある。
それは、残念ながら間違いなく、私の母国である。