新型コロナ禍が佳境に入った2020年頃から、中古車市場は活況を呈している。


何故なら、半導体不足で新車の納期が大幅に遅れる事態となり、納車を待ちきれない人が中古車市場に流れ込んだからだ。


それもその筈、車種によっては1年から1年半待ちとも言われるので、遠距離恋愛でもないのにそんな長いこと待てる訳がない。



半導体イメージ  金属加工.netより



TSMC (Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)は、台湾にある世界最大の半導体受託製造企業である。


日本政府は、このTSMCに助成金を出して熊本に半導体製造工場を誘致した。


この素早く的確な対応に本来なら拍手を送りたいところだが、いまの政府を見ていれば、この動きを鵜呑みにしていいかといえば答えは明らか、否である。



この辺の事情は、

ITビジネスアナリスト深田萌絵編著

「光と影のTSMC誘致」(かや書房)

に詳しく書かれている。


何故、否かと言えば…。


①TSMC熊本工場が製造する予定の半導体チップは、自動車メーカーが緊急を要する車載チップとは別のチップである


②血税をTSMCに拠出する代わりに国内供給を義務付けるという経産省の話は、真っ赤なウソだった


③TSMCなどの外資系を支援すると、日本国内の競合する半導体企業の競争力を阻害することになる


④半導体製造工場からは大量の有害物質、有毒物質、発がん性物質が排出されるが、TSMCは日本企業に比べて環境意識が低く管理体制も杜撰だと言われている 


⑤半導体の製造には大量の水を使うので、工場周辺の地下水が枯渇する恐れがある


⑥外国資本による土地の爆買いで、街全体が外国化していく


と、まだまだ不安材料は尽きない。


つまり、外資系企業のTSMCに国民の血税から補助金を差し出したにも拘らず、国内企業に優先的に半導体を供給することができない上に健康被害や環境汚染が懸念される有り様なのである。


さらに、工場周辺の土地がどんどん外国資本に買い占められ、製造予定の半導体は新車の供給に必要な車載チップでないとなると、一体何のための誘致だったのかということになる。


しかも補助金の額は驚く勿れ4,760億円、これが日本ではなく台湾に流れていく。


これでは国益ではなく他国の利益のために寄与したようなもので、グローバリズムの弊害と言わざるを得ない。


いや、弊害と言うよりは、これぞ売国と言うのではなかろうか。

因みに、当時の経産大臣は萩生田光一氏である。

それにしても、これだけ莫大なカネが動いたからには、そこには必ずカラクリがあると考えるのが自然である。


見え隠れするのは、利権、地位、権力、カネ、賄賂…。


悲しいことに、風が吹けば桶屋が儲かる的なカラクリでもない限り、肝心な"国民の利益"はなかなか見えてこない。


どうしてこうも日本のためにならないような動きがまかり通ってしまうのだろうか?


せめて国民のためを装うことくらいは出来なかったのだろうか?


国民を蔑ろにして、今だけ、カネだけ、自分だけにこうも忠実になれるものなのだろうか?



しかしである。


不可解な出来事を黙って見過ごす国民も国民ではないだろうか?


人任せにするばかりで、実態すらわかろうとせずしてどうして国を守れようか?


何でもかんでも目を背けるから、やりたい放題されるのだ。


故に、暴走しないようにいつも目を見開き、何か動きが変だと思ったらすぐに大声を上げていかないと、また同じことが繰り返されるのは目に見えている。