運動は、大きく２種類に分ける事が出来ます。
一つは、動かない床の上(動かない環境)で運動をするもの。
陸上競技や、空手、球技など、硬い地面や体育館などで行う競技。
もう一つは、不安定な地面（動く環境）に対して自分を安定させて身体を使う運動。
リングで戦う格闘技などは、これに入ります。体操競技の床
などもそうですね。トランポリン、スキーなどの雪の上のウインタースポーツもこれに入ります。カヌーや水泳もこちらのグループに入るでしょうか。
どちらかが得意と言う競技の向き不向きは有るのですが、両方出来る人達がいます。わゆるスポーツ万能と言う人達ですね。
硬い床での運動は、地面をけるパワーを味方に出来るのですが、不安定な地面で動くためには、そこでバランスを保てるだけの別のバランス能力が必要なのです。ちょっと別の脳神経を起さないと、対応が出来ないんです。意識的に不安定な地面に対するバランス感覚を上げるためのトレーニングが必要になって来ます。
私は、２０代の頃から長年フィットネスのインストラクターをしていましたし、空手の試合などでもそこそこ動けていたので、自分がそんなに運動能力が低いとは思っていませんでした。（考えてみれば硬い、安定した床の上、室内での運動しかやったことが有りませんでした。）
で、空手の試合と同じくらいの感覚で、初めてムエタイのリングに上がってしまいました。そこそこ動けるだろうと高をくくっていたのでした。
最初の試合は、惨敗。柔らかなリングの上で、まったく思うように動けなかったのでした。自分の足とは思えないような、まるで生まれたての山羊のような自分の足
思うように動けない自分のふがいなさに、あっけなくＫＯされて初めて目が覚めたと言う感じでした。
恐ろしくバランスが悪い。。。
もしかして根本的に、身体の使い方が間違っている？？
この事実に初めて向き合う事になりました。硬い床の体育館で戦っていた空手の試合。そのままでは、多分一生気づかなかったかもしれません。
どんなスポーツでもやり込めば、それなりに身体がそのスポーツの使い方にはなじんで行くので、やっただけ上手くなるしその競技での結果はある程度は出せると思います。しかし、しかしスポーツではなく、本当の身体能力の「質」を考えると、両方の身体能力が必要なのだと言う事を実感しました。
特に「実践護身」と言う事を考えると、決まった環境の中でしか戦えないと言うのは、話にならない訳です。
と言うわけで、脚の使い方を根本から見直すことに。
最初、５本指のシューズが良いと言うので、それで走り始めたら、ものの15分で肉離れを起こして思うように走れませんでした。
股関節の見直しなど試行錯誤を1年ほどしましたが、自力でのトレーニングの限界を感じました。やはり客観的に私の外側から的確に見てくれる人が必要でした。もう一人自分がいたら、と何度も思いました。助けてくれるスポーツトレーナーがいないか必死に探しました。
一般的なスポーツトレーナーだったら、それまでの私の知識とは大差ないので、あまり意味が無い。わたしのやろうとしていることを理解してくれる一つ上のレベルの指導者を探さなければなりません。
半分あきらめかけたころ。救いの神が現れたのでした。
それが私のスポーツトレーナーの師匠永田一彦先生でした永田先生は空手の専門誌「ＪＫファン」などに以前よく執筆されていた方で、他にはないアナログなバランストレーニング法を提唱されています。スポーツトレーニングの世界では、かなり異端とされて来た方でした。
「私を助けられるのは、あなたしかいません！！！」と直談判して、先生のGYMに入門を許していただきました。
永田先生のGYは、現役のアスリートやプロの選手などの指導を沢山やられています。他にはない、おもしろいトレーニング法を、どんどん編み出します。私のかなりマニアックな質問に対して、その場で状態をみつつ、的確に症状にあった新しいトレーニングをその場でどんどん創り出してくれるのです。
と言うわけで、永田先生に見て頂くようになり、はや4年になりました。
先生には、「ＧＹＭ始まって以来、3本の指に入る マニアックな変人」と呼ばれてます。
私の股関節の状態も、まずまず自分でも良いかなと納得できるアスリート仕様にまでにすることが出気ました。
位置がほぼ良い所に入ってきたと言うだけで、この新しいポジションにもう少し慣れて安定させないとなので、まだまだではあります。
前とは、全く別のバランス力は付いて来ていて、自分としてはかなり満足しています。3年立ったところで再度リングに立ちましたが、とりあえずふつーに人並みに戦える状態になれていたのが嬉しかったのを覚えています。
格闘技をやる人達って、ベースのレベルがそもそも高いのね。外側から見ただけでは分からない、一般人との差がそこには存在しているのを、つくづく思い知らされたこの5年間でした。
でも、一流の選手と、そうで無い人との差がクリアに見え、誰でもスポーツ万能と呼ばれるレベルのフィジカルを手に入れることが出来るのだと言う事をも実感できた5年間でした。
故障ばかり続いて、引退を考えている選手、思ったように結果化が出せない方、そこから抜け出すやり方は確実に存在します。
私もスポーツトレーナーの端くれですので、人の事は的確に解るしアドヴァイスもできます。しかし、私自身を完全に客観的に見るのは不可能なのです。ですから外から客観的に見てくれる信頼できるフィジカル・トレーナーがいると言う事は、大変心強く、本当にありがたいと思います。
私自身、常にそういうトレーナーでありたいと思っています。
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