カタールは前の試合からGKを替えてきたが、それまで積み上げてきた自分たちのやり方を捨てるくらい追い込まれているということなのだろう。
試合を見てもFWのアリがゴールライン付近まで下がって守備をしたりと、チーム全員が必死に顔を歪めながら苦しそうにプレーしており、エクアドル戦での失態を挽回しようとしているのは伝わってくる。
それでも、埋めきれない個々のレベルの差というのは感じてしまう。
特にこの日は守備陣が醜かった。セネガルの先制点が象徴するように、カタールのDFとGKは常に落ち着きがなく後手に回り続け、やらかしそうな雰囲気はその前から感じられた。
エクアドル戦と同様、緊張による心理的な負担が大きく作用したのだろうが、W杯という重圧に耐えるだけの能力、つまり実力がなかったということなのだと思う。
前半終了直後にうつむいて座り込んでしまうカタールの選手が数人いたが、結局そういうことなのだ。
そう考えると、日本も1998年のW杯で初出場できていなければ4年後の自国開催の際、今回のカタールのようになっていた可能性もあったのだろう。
後半開始直後に2点目を決められてからはスタジアムで席を立つ観客がちらほら見られたが、カタールの選手はそういう人たちのためにこそ、まだ頑張らないといけない。
そこからの展開は良かった。カタールが幾度もチャンスを作り、1点が決まりそうで決まらない展開にスタジアムの観客は目を凝らし自然と歓声を発していた。
この光景を作り出せたことは、とりあえずW杯が開幕してからのカタールの1つ目の功績だと思う。限りなく小さなものではあるが、これだけでもカタールでW杯を開催した意味はある。
そしてついに決まったカタールのW杯初ゴールだが、スタジアムはこの日一番の大歓声で、観客も自然と立ち上がり両手を広げていた。ゴールの形自体も美しかった。
結局GS敗退となってしまったのは悲劇であるが、これでカタールの果たすべきノルマは低くなったとポジティブにとらえることもできると思う。
つまり次のオランダ戦で引き分けさえすればいい。難しいことに変わりはないが、そうなればよくやったとハッピーエンディングになり、後味は良くなる。
この試合は点を取ったのはいいが、その後の失点でそれまでの興奮は消えてしまい、試合後は荒んだ雰囲気しか漂っていなかった。
なので、それまでの興奮を残すことができるかどうかがカタールサッカーの未来にとって大事だと思う。
そして個人的にはこれまでの2試合で頑張りが見えるFWのアリにゴールを決めてもらいたいと思っている。