ブラジルが落ち着いたペースで試合を進めているのが、カメルーンにとってかなりラッキーな点であった。それでもブラジルは控えメンバー中心ながら圧倒的なボールの回収力であり、カメルーンが劣勢なのは変わらない。

 

右WGのアントニーはかなりの頻度でトリックプレーを見せるが、あれでいいと思う。十分効いているので、良い意味で調子に乗っている。

 

前半を耐え抜いたカメルーンが後半に攻め始めると、じりじりと試合の空気が変わってきた。引き分けでもいいブラジルにも若干焦りが出てきたように見える。

 

控え中心とはいえ、正直ブラジルの選手個々の能力、特に攻撃陣に物足りなさを感じた。スタジアムで観戦するネイマールがビジョンに映る度にサポーターが湧き上がるを見ても、やはりネイマールの存在は圧倒的なのだろう。

 

組織力でいうと歴代最強なのかもしれないが、チッチ監督も個人のレベルの物足りなさを感じているのではないだろうか。だからこそ組織でのプレーにこだわり、チームとしての約束事を細部まで落とし込んでいるのではないだろうか。

 

カメルーンは後半途中にヌチャムが出てきたが、元セルティックの選手ということで懐かしかった。退団後は全く名前を聞かなかったので第一線から消えたと思っていたが、カメルーン国籍を取得してまでW杯に出ていたとは、やはりW杯は特別な舞台なんだと実感する。

 

カメルーンのGKエパシはことごとくシュートを止め、乗りに乗っていた。ヌガパンドゥンブという19歳の控えGKも気になるとこだが、カメルーンの勝利にはこのままエパシが必要だろう。

 

そして後半ロスタイム、ついにアブバカルが決めてくれた。

 

この試合を通じて思ったが、アブバカルこそカメルーンを体現する選手である。何をするか予測できないプレーは魅力的であるし、ゴール後にシャツを脱いで退場し、それでいて笑っているあたりも見る側を楽しませてくれる。他の10人の選手にとって退場は腹立たしいことかもしれないが、ソング監督もアブバカルと笑っているあたり、日本では絶対に見られない光景だろう。この異文化の集合こそまさにW杯である。

 

結果的には敗退となってしまったが、良い意味でカメルーンらしくない、集中した守備と結束力は決勝トーナメントでも見たかった。

 

逆にブラジルは決勝トーナメント1位通過は達成したが、最後に残したネガティブな雰囲気が今後どう影響するか。終盤本気になっても同点に追いつけなかった辺り、仮に日本がクロアチアに勝利しベスト8でぶつかることになっても、十分勝機はある気がする。