結婚運については、一般的に「男性の命式(原局)に財星がない、あるいは女性の命式に官星がないと結婚運が薄い」と言われがちですが、本日は必ずしもそうとは限らないことを示す実例をご紹介します。

 

 

時

日

月

年

天干

丙

乙

甲

丁

地支

子

卯

辰

卯

 

藏干

 

壬

 

癸

甲

 

乙

乙

癸

戊

甲

 

乙

 

大運

71

61

51

41

31

21

11

1

正印

偏官

正官

偏財

正財

食神

傷官

比肩

壬

辛

庚

己

戊

丁

丙

乙

子

亥

戌

酉

申

未

午

巳

偏印

正印

正財

偏官

正官

偏財

食神

傷官

 

今回ご紹介するのは、用神運の時期にご結婚された女性の実例です。日干が「乙」の女性ですが、命式のどこを見ても官星に当たる「金」の五行がありません。ないのであれば、このように「蔵干」にすら全くない、すっきりとした状態のほうがかえって良いのです。中途半端にたった一つの官星が蔵干の中に隠れていると、その星自体には力が備わっていないにもかかわらず本人の人生に介入しようとするため、結果として男性運(夫運)を損ねてしまうことになるからです。それでは、命式のお話に戻りましょう。

 

春の真夜中に生まれた「乙」は、まだ肌寒さが残る時期であるため、ある程度の温もりを必要とします。この命式には「丙」と「丁」があり、さらに「火」を生じる「木」も多いため、調候用神の候補としては非常に質が高いと言えます。全体の力量バランスを見ると「身強」です。日干を除いても「水」が1つ、「木」が3つあります。しかも春は「木」の季節であるため、強い力を得ています。同様に、夏生まれの「火」、秋生まれの「金」、冬生まれの「水」も季節の力を得ていると見なし、身強・身弱の判断において加点要素となります。

 

身強の日干は、官星で抑えるか、あるいは食傷や財星で力を漏らす必要がありますが、この命式には「官星」が一つもありません。食神が1つ、傷官が1つ、正財が1つあります。命式内で活用できる扶抑用神の候補としては「丁」が最も良く、「丙」も悪くはありませんが、「丁」のほうがやや優れています。「辰月」は太陽暦の4月上旬から5月上旬頃にあたり、春の「木」が花を咲かせるのに最も適した時期です。花は赤いイメージから「火」の五行と見なされますが、大地に赤く咲き誇る花は、太陽を象徴する「丙」というよりは「丁」に近いと考えます。そのため、「丁」を扶抑用神の第一候補とします。

 

もちろん、「丁」は日干から離れた位置にあり、「丙」が日干のすぐ隣にある点は悩ましいところです。しかし、この方が「真夜中」に生まれたという点を考慮すると、夜中は太陽である「丙」が活動する時間帯ではありません。したがって、総合的に判断して「丁」を優先的に用神として選定します。

 

「辰」も良い運気ではありますが、あえて用神として考慮しないのには理由があります。月支の「辰」を見ると、周囲を「甲」と2つの「卯」に取り囲まれています。日干の「乙」だけでなく、他の木々も根を下ろしている土壌なのです。このように共有されている土(財)に執着するよりは、春に芽吹いた存在としての本分通り、懸命に花を咲かせる方向を目指すほうが賢明です。

 

さらに、春の真夜中生まれで肌寒さがあるため、火の気があることが望まれます。したがって、「丁」が扶抑用神と調候用神の双方を兼ね備えた優れた気運となります。これはあくまで「丙」と「丁」を比較した場合の話であり、「丙」が使えないわけではありません。時柱にある文字は晩年を象徴しますが、この命式の主人公は晩年に「丙」を有意義に活かしていくことでしょう。若くしては「丁」を、年齢を重ねてからは「丙」を武器にする姿は、人生の強力な武器を2つ持っているようなものです。

 

日干との距離の近さを最優先する鑑定士であれば、「丙」を用神の第一候補に挙げるかもしれません。しかし、「丁」と「丙」のどちらを最優先とするにせよ、この命式の構造において「火」の運気が極めて有用であることに変わりはありません。

 

命式に官星が一つもないこの女性は、「未」大運の「甲午年」に、韓国の財閥家の長男の妻(本家の嫁)となりました。甲午年の「午」は、用神である「丁」と同じ陰の「火」であり、「甲」は「木生火」によって火の勢いを強めます。身強の「木」が見事な大輪の花を咲かせる、まさに用神運の到来です。身強の命式にとって、偏財である「未」が悪いはずもありません。偏財ですから大きな富をもたらし、「未」の蔵干には「丁」も含まれているため、火の気を強める後押しにもなります。

 

この命式の主人公は、結婚後も婚家の企業経営を支えながら、育児も両立して精力的に日々を送っています。官星を持たない女性の命式であっても、誰もが羨むような素晴らしい結婚を掴むことができるということを如実に示す、非常に良い実例と言えます。

 

 

本日のポイントは以下の通りです。

  1. 男性の命式に財星がない、あるいは女性の命式に官星がなくても、用神運を活かすことで素晴らしい結婚ができる。

  2. 用神を定める際、命式内の比肩や劫財が狙っている(奪い合っている)五行は、優先順位を下げる。

  3. 用神候補同士の優劣を判断する際は、日干との距離だけでなく、生まれた季節や時間帯の温度(気候)を総合的に考慮して決定する。

それでは、本日もお疲れ様でした。どうぞ良い一日をお過ごしください。

 

 

従格に慣れるために、従格の事例をもう一つ取り上げます。  
七十万人以上の登録者を持つ、韓国の人気ユーチューバー兼インフルエンサーの命式です。
 

 

 

時

日

月

年

天干

庚

甲

丙

辛

地支

午

戌

申

未

 

藏干

 

丙

己

丁

辛

丁

戊

戊

壬

庚

丁

乙

己

 

大運

73

63

53

43

33

23

13

3

比肩

正印

傷印

正官

偏官

正財

偏財

傷官

甲

癸

壬

辛

庚

己

戊

丁

辰

卯

寅

丑

子

亥

戌

酉

偏財

劫財

比肩

正財

正印

偏印

偏財

正官

 

 

食神が一つ、傷官が一つ、正財が一つ、偏財が一つ、正官が一つ、偏官が二つあり、比肩・劫財・正印・偏印は全くありません。したがって「従格」となります。「蔵干」にある比肩・劫財・正印・偏印まで考慮して従格を判断する専門家もいますが、私は個人的に日干を除いた残り七文字だけを見て従格かどうかを判断します。  

 

日干の「甲」は「木」であるため、原局内では「木生火」「火生土」「土生金」の段階を経るので、最後に従う気は「金」となります。  それでも食神と傷官を意味する「食傷」、正財と偏財を意味する「財星」、正官と偏官を意味する「官星」がすべて力を持っているので、「食傷の表現力」「財星のお金」「官星の名誉」をすべて備えることになります。これこそが有名クリエイターになった理由です。

 

もちろん官星は組織運でもありますが、命式に食傷と財星がともに発達しているため、会社員をするには窮屈に感じられます。命式の主人公がどのような組織に属する場合でも、最大限自由な活動が保証される環境でなければ組織生活は成り立ちません。

  
「己亥」の大運の場合、「己」は正財であり、従格の原局に悪い影響はありませんが、「亥」は偏印であり、日干を助けるため従格にとって良い運ではありません。  従格では、日干を助ける比肩・劫財・正印・偏印に出会うと、日干が従おうとする心が弱まってしまうからです。それでも大運の天干「己」は「土」であるため、「亥」という「水」を「土剋水」で上から抑える形となり、偏印の気を弱めるので、従格の主人公にとって悪い気を弱めてくれる良い作用となります。  


しかし、特定の年の歳運で「水」の気や「木」の気が強い場合には、「甲」の日干を持つ従格の原局では注意する必要があります。  では、年ごとにどのような出来事があったのかを確認してみましょう。  


2018年の「戊戌年」は、個人的に良いことが多かった時期でした。従格の命式ですが、食傷・財星・官星がすべて発達している原局なので、偏財が二つも入る戊戌年は金銭的に有利な時期です。  2021年の「辛丑年」も正官運・正財運であり、旺盛な活動を行いました。  しかし、2022年の「壬寅年」は個人的に困難が多い年でした。「壬」が月干の「丙」を「沖」し、「寅」が月支の「申」を「沖」して変化を生みますが、「壬」と「寅」は、日干が「甲」である状況において、それぞれ従格で忌む偏印と比肩であるためです。

 

そして「寅」が日支で「寅午戌」の三合となり、「火」の気が大きくなって「戌」が一時的に火に変わると(寅午戌 合化 = 火)、「木生火」「火生土」「土生金」と自然に続いていた生の流れの中で、土の中間的役割に支障が生じ、「火」が直接「金」を剋することになります。  すでに原局の「午戌」だけでも半合となっていますが、完全に三合が成立した時の火の大きさは半合の場合よりもはるかに大きいのです。  


ところが「金」は官星であり、官星が火に溶けるので、この時は官星に関わる事柄に注意しなければなりません。官星に関連して注意すべき事柄は、口舌の災い、周囲との争い、会社員であれば職場内の対立、女性であれば配偶者に関する問題などです。

 

それでは本日の核心理論を振り返りながら締めくくりたいと思います。
 

  1. 従格で食傷・財星・官星がすべて発達すると、旺盛な活動力・経済的成果・名誉のすべてを得ることができます。
  2. 従格では、比肩・劫財・正印・偏印などの大運や歳運に該当する時期には注意が必要です。特に原局の文字間で生の構造が一時的に中断され、特定の五行が剋されると、その関連事項に気をつけなければなりません。例えば、官星が剋されれば口舌の災いや周囲との争いに、財星が剋されれば財産に関する損失や紛争に、食傷が剋されれば活動力の低下や生業に関する問題に注意する必要があります。
 
それでは今日もお疲れさまでした。
 

 

 

 

今回扱う事例は「従格」に該当します。「従格」とは「大勢を占める五行に従う」という意味を持っています。「身強」か「身弱」かを判断し、「用神」を探す「扶抑法」において、原局の命式があまりにも身弱で、むしろ命式の大勢を占める気の五行に従う方が良い場合を「従格」と呼びます。従格では中心となる「日干」を助ける「比肩」「劫財」「正印」「偏印」が大運や歳運で巡ってくると、かえって凶運となります。大勢を占める気に従おうとしているのに日干自身の力が生じて抵抗するからです。また、大勢を占める気に該当する気を剋する大運や歳運も忌むべき運と見ます。大勢を占める五行に従おうとする日干の方向と逆になるからです。事例とともにさらに説明していきます。

 

 

時

日

月

年

天干

壬

戊

乙

甲

地支

子

寅

亥

寅

 

藏干

 

壬

 

癸

戊

丙

甲

戊

甲

壬

戊

丙

甲

 

大運

72

62

52

42

32

22

12

2

正財

偏財

傷官

食神

劫財

比肩

正印

偏印

癸

壬

辛

庚

己

戊

丁

丙

未

午

巳

辰

卯

寅

丑

子

劫財

正印

偏印

比肩

正官

偏官

刧財

正財

 

 

この四柱の命主は大企業に勤めた後、30代で起業しました。しかし原局の命式を見ると、典型的な「従格」の形となっています。原局には「偏官」が三つ、「正官」が一つ、「偏財」が二つ、「正財」が一つあり、「比肩」「劫財」「正印」「偏印」は一つもありません。このような場合は「身弱の四柱」とは言わず、「従格の四柱」と呼びます。「正官」「偏官」に該当する「官星」が四つ、「正財」「偏財」に該当する「財星」が三つあり、官星・財星ともにその五行が強いのです。先に「従格」は<大勢を占める五行>に従うのが良いと述べましたが、この四柱では強い五行を持つ官星と財星のうち、どちらが大勢を占める五行でしょうか。両方とも大勢を占める五行ですが、結局は「官星」に従うと見ます。財星は官星を「生」するからです。これを「究極の五行」が官星であるとも言います。

この原局で財星は水、官星は木であり、「水生木」の原理によって強い水は強い木を生じ、木の気をさらに強めます。したがって大勢を占める五行の行き着く先は<木>である<官星>となります。こうなると、大運や歳運で大勢を占める五行である木を「剋」する金は凶運となります。同様に強い五行である水を剋する土も悪い五行です。日干の五行を強める火や土も喜ばれません。土は従格の日干の五行を強める点で大勢を占める五行に逆行し、大勢を占める五行である水を剋する点でも忌むべき五行となります。

 

しかし「火」をどのように判断するかは悩ましいところです。「扶抑用神」より重要なのは「調候用神」であるとされているからです。日干の「戊」は「亥月」「子時」に生まれたので、初冬の夜に生まれた冷たい土であり「火」が必要となります。「火」は日干である土を強める面では「従格」に多少違反すると見ることもできますが、強くなった大勢の五行が最終的に集まる旺盛な「木」の気を漏らし(木生火)、流通させる機能を持っています。「従格」において最も強くなった大勢の五行の気を漏らして流れを良くすることは悪くないとされています。したがって総合的に考えると、「火」は調候的にも従格の観点からも凶運とは見なされません。ただし強い気である「水」と「火」が原局の地支の文字と「巳亥沖」「子午沖」でそれぞれ相沖する「巳」と「午」の運が巡る時期には多少の不安定さがあり、原局の文字と衝突しない「丙」や「丁」は吉運と解釈します。

本事例の原局命式は最終的に「官星」に従うと述べました。したがって起業家である命主は「官星のマインド」で事業を行うべきです。<官星のマインド>とは自らを制御できる心、会社員のように安定を追求する心構えを意味します。「官星」は日干を剋する五行の気であるため、制御を意味し、「官運」は組織運を意味するからです。

 

この四柱の命主はオーナーに仕える専門経営者を務めることにも適しています。しかし、攻撃的な投資を自分の資産で実行する事業方式は勧められません。「財星」と「官星」が大勢の五行を成し、最終的には「官星」に従う原局だからです。ところが2006年「丙戌年」下半期に流通業を起業した後、続けて攻撃的な店舗拡張を試みました。これは大運が「戊寅」から「己卯」に変わる時点でした。大運の「己」は「従格」において喜ばれない「劫財」の運です。しかもその意味は自分の財を奪うことを示します。事業に有利ではない時期と解釈されます。

 

大運は10年単位の運であり、大運の天干と地支の両方が10年間、命主の活動環境や運気として作用します。ただし大運の天干は前半5年に、地支は後半5年により重要です。一年の運でも歳運の天干が前半に先に作用し、後半には歳運の地支が役割を果たすのと同じ原理です。したがって大運の天干「己」がより重要な時期に当たる2009年「己丑年」は、従格の四柱に劫財の気が強い時期です。起業直後は一時的に成功しましたが、無理な拡張の後2009年前後に大きく苦労しました。結局その事業は他の事業者に譲渡し、売却益もあまり得られませんでした。「従格」という概念を知らなければ、このように「己丑年」に対する解釈を誤る可能性がある点に注意すべきです。その後命主は2014年に飲食業を起業しました。この時は大きな投資家の助けを受けました。独立した事業法人を運営しましたが、実際には投資家の影響下にありました。「財星」と「官星」に従う四柱にふさわしい形です。

 

その後いくつか店舗を追加して成功しましたが、「戊戌年」である2018年にさらに攻撃的な投資を行いました。この時の大運はすでに「庚辰」に移っていました。「庚」も大勢である「木」を剋するので凶運であり、「辰」も「比肩」である「土」であり「従格」では喜ばれません。ただし「辰」は時支の「子」と「申子辰」三合の半合となり、「水」の五行が強化される面があるため、過度に悪い時期ではなかったのは幸いです。「水」の五行も原局の大勢を形成する五行だからです。しかし一年の歳運だけを見ると「戊」と「戌」はいずれも「比肩」です。大運の地支「辰」と歳運の地支「戌」が「辰戌沖」となり、「申子辰」三合の半合も2018年「戊戌年」には成立しません。やはり「従格」の命式には不利な時期でした。

 

「財星」と「官星」に従う命式で事業をするなら、適切な瞬間にブレーキを踏む「官星」のマインドを持たなければ財を守れません。しかし「比肩」や「劫財」の時期が来ると自分の力が強まり、官星のマインド、すなわち自己制御力を失ってしまいます。命主にとって2018年はそのような時期であり、この時の投資は大きな収益をもたらしませんでした。また2020年「庚子年」には「庚」を、2021年「辛丑年」には「辛」を迎え、既存の飲食業で多くの困難を経験しました。「庚」と「辛」は大勢の五行である「官星」「木」を剋するため不利だからです。しかしこの時期に既存分野とは全く異なる事業分野で新しいアイデアを出し、転換を試みました。この時大きな利益は得られませんでしたが、業界で潜在力があるという評価を得ました。これは2020年の歳運の地支「子」が大運の「辰」と「申子辰」三合の半合をなし、原局の大勢を占める五行である「水」を強化したことが吉として作用したと解釈されます。

 

2021年の歳運の地支「丑」は原局の「亥」「子」とともに「亥子丑」の方合を形成し、「水」の五行が強まるので良いとされます。「丑」は「劫財」であり従格の四柱には否定的ですが、方合によって大勢である「水」の五行を形成するため、凶運とはなりません。原局で大勢を成す五行の中で「水」に有利な時期であることは幸いです。しかし最終的に従う五行は「木」であるため、2020年と2021年は天干に「金」の気があり「木」を剋するため「木」に不利となります。総合的に見ると望むほどの利益を得る時期ではなく、「水」の気のおかげで新しい希望を見出したと分析されます。2022年「壬寅年」は五行の大勢を形成する「水」と「木」の五行がともに巡るため、事業の成長を遂げる吉運の時期でした。まとめると、この四柱の命主はアイデアも独創的で実行力も優れた事業家です。しかし、ある瞬間にブレーキをかける官星のマインドが不足している点は惜しいところです。新しい事業でも規模を調整し、自身の背後に大きな投資家を置いて事業を行うことを勧めました。自身の能力に比べてやや物足りない収益となるかもしれませんが、経済的に安定した生活を送ることができるからです。

本日の核心理論を改めて振り返りましょう。

 

  1. 「従格」とは、原局の命式に「比肩」「劫財」「正印」「偏印」が一つもない場合を指し、原局の大勢となる五行に従わなければならないため、日干の気を強める「比肩」「劫財」「正印」「偏印」を不利な気と見なします。
  2. 「従格」では、原局の大勢となる五行を剋する五行は凶運とされ、原局の大勢となる五行と同じか、あるいはそれを生じる五行を吉運と見て「用神」とします。
  3. 「従格」は「扶抑用神」を探す過程で出会う特殊な事例に関する理論です。「従格」を「調候用神」と併せて総合的に考えるとき、「調候用神」の候補が「比肩」「劫財」「正印」「偏印」である場合、果たして用神を何に選ぶか判断が難しくなります。基本原則は、従格の命式はまず従格の観点で用神を定めることです。しかし「調候」の観点で良い五行であっても、従格の用神や大勢を成す五行を剋したり相沖すれば、たとえ命式の調候を整える干支であっても日干にある程度の不利をもたらすと考えます。「調候」は非常に重要なので、やむを得ず従格と矛盾する文字を用神と見なす場合もありますが、命主が期待したほどの結果を得られないことが多いのです。もし「調候」の観点で温度を整える五行が従格でも用神であり、大勢を成す五行を剋したり相沖しないなら、吉運として用いることに問題はありません。まとめると、「従格」での用神はまず大勢を成す五行と同じか、それを生じる気から定め、さらに調候の観点で必要な五行文字が原局に有利か不利かを総合的に判断することです。
  4. 上記の事例のように大勢となる五行が二つ以上ある場合、最終的に大勢の気が従う五行を基準に「従格」の名称を決めます。事例では日干「戊」に対して「水」と「木」が大勢の五行でした。「水」は「木」を生じるため、最終的に大勢を成す五行は「木」となりました。「木」が「正官」のみで構成されていれば「従官格」と呼び、「偏官」のみ、あるいは「正官」と「偏官」が混ざれば「従殺格」と呼びます。古来「偏官」を「殺」とも呼び、この「殺」は悪い意味ではなく「強く制御する」という意味で理解されます。もしある時期の大運や歳運が二つ以上の大勢を成す五行を持つ原局で、一方の大勢には有利で他方には不利であるなら、最終的に大勢を形成する五行を基準に吉凶を判断します。上記の例では最終的に大勢となる五行は「木」であり、2020年と2021年は「金剋木」によって「木」が剋され不利となったため、命主が望む結果が十分に得られる時期ではなかったと分析します。ただし「水」は大勢を成す五行の気であり、最終的に従う「木」を生じるため、命主に多少でも肯定的な結果をもたらす理由となります。

 

本日学んだ「従格」は、初めて四柱推命を学ぶ方にとっては簡単ではない理論です。今すぐ理解できなくても心配する必要はありません。私も「従格」を初めて学んだ時には、それが従格なのか、あるいは身弱の命式なのか判断が難しかったのですが、数多くの事例に触れるうちに、ある時期から判断に自信が持てるようになりました。皆さんも多くの事例を経験すれば、すぐに「従格」の分析がうまくできるようになると信じています。

それでは、本日もお疲れさまでした。

 

今日紹介する四柱命式の主人公は、共同経営で設立したゲーム会社を高い価値で売却し、数十億円の富を築きました。これは「丙申」の大運にあった出来事であり、成功の始まりは「壬辰年」からでした。四柱推命において温度の均衡と力の均衡がともに調和することが、成功にいかに重要であるかを示す事例です。

 

 

 

時

日

月

年

天干

辛

己

庚

辛

地支

未

未

子

酉

 

藏干

 

丁

乙

己

丁

乙

己

壬

 

癸

庚

 

辛

 

大運

71

61

51

41

31

21

11

1

正財

偏財

正官

偏官

正印

偏印

劫財

比肩

壬

癸

甲

乙

丙

丁

戊

己

辰

巳

午

未

申

酉

戌

亥

劫財

正印

偏印

比肩

傷官

食神

刧財

正財

 

 

日干が生まれた「子月」は、太陽暦の12月初めから1月初めの間で、寒い時期です。日干「己」は「陰」の「土」であり、さらに比肩が二つあるため大きな土となり、冬の冷たい大地として生まれました。原局の八字には「火」がないので、大運や歳運で温かい気を待たなければなりません。もちろん「未」の中に蔵干「丁」がありますが、冬の冷たい地中の火種なので、調候用神として頼るにはやや弱いです。とはいえ、ないよりはましです。身強・身弱を分析すると「身弱の命」となります。比肩が二つあるだけでは大きな土にはなっても、全体的に身強の水準には達しません。したがって、調候用神と扶抑用神の両方に使える「火」が用神となりますが、「未」の中の蔵干「丁」は地中に埋もれているため、用神としての質は高いとは言えません。このように、大運や歳運で「火」の気が巡ってくる時を待つ必要があります。

 

しかし、この命式の原局には調候用神に劣らず重要なものがあります。それはまさに「力の均衡」です。日干を含む「土」の気が三つあり、食神・傷官の「金」の気は四つあるのに対し、「水」は偏財である「子」が一つしかありません。「金」と「水」がいくら「金生水」をすると言っても、これは不均衡です。「土生金」によって「金」の気は強くなりましたが、「土」「金」「水」の間で力の均衡が崩れている中で「金生水」がうまくいくのかという問いを必ず持たなければなりません。四柱推命では「温度」であれ「力」であれ、均衡を重視します。この命式は「金生水」がうまく働かない構造です。専門用語で「金多水濁」と呼ばれます。「金」が過剰になると「水」が錆びた水のように濁る状況です。まるで工場で材料は大量に投入されているのに、製品を出す出口が小さく、生産が中間工程で滞っているイメージに似ています。
 

では主人公はいつ天の助けを得る時期に出会ったのでしょうか。「丙申」の大運の「壬辰年」を見てみましょう。「丙」は冷たい土の温度を適切に調整してくれます。もちろん「壬辰年」の「壬」と「丙壬沖」にはなりますが、天の太陽は水が引き寄せられる存在ではありません。この部分はよく質問されるところです。自然を観察すると、太陽は天にあり、水で引き寄せられる火ではないように見えます。しかし五行で見ると「水剋火」で引き寄せられるようにも見えます。果たしてどちらが正しいのでしょうか。
 

このように整理すればよいでしょう。「丙」という太陽の周囲にもし「水」の気が圧倒的に強ければ、「丙」の火気は大きく制約を受けます。しかし天に存在するという特徴があるため、消えることはありません。もし「丁」という地の火の周囲に圧倒的な「水気」があれば、その火は消えてなくなってしまうでしょう。したがって、この事例において大運の天干である「丙」は「丙壬沖」にもかかわらず、日干に温かさを与え、力となる点である程度役立つと解釈すればよいのです。
 

さて、この事例で最も強調したい部分はここからです。地支の変化を見ると、大運の地支「申」、原局の月支「子」、歳運の地支「辰」が「申子辰」となり、三合を完成させて大きな水の気を生み出します。したがって、「火生土」を行う大運の天干「丙」が調候用神および扶抑用神となる状況において、「申子辰」の三合が、強い「土」「金」と弱かった「水」の間で力の均衡を整える時期が「壬辰年」となるのです。文字同士の力の均衡が整い、それぞれの力も強ければ、変化の幅も大きくなります。日干「己」の立場から見ると、大きな水の気は財星となり、財運となります。この時から大きな成功が始まるのです。命式の原局に存在する偏財「子」が大きなお金であり、それがいつ潜在していた財運として現れるのかと問われれば、「丙申大運、壬辰年から」と答えればよいのです。しかし、41歳から始まる「乙未」の大運では財産を守ることに集中し、新しい事業には注意が必要です。大運の「未」という文字が原局に加わると、もともと三つあった「土」の気にさらに一つ加わり、「土」の気が四つになります。「金」の気も原局に四つありますが、「水」の気は一つしかなく、不均衡がさらに深まるからです。

 

この事例にはもう一つの議論のテーマがあります。「丙申」の大運、「壬辰」の歳運で大きな富を築き始めましたが、寄与度の面で「丙」という火の影響が大きいのか、それとも「申子辰」の三合によって水の均衡が整ったことの寄与が大きいのかという問いです。個人的には後者だと考えます。「己未」日柱が「未」時に生まれたのであれば、身弱であっても極端に弱い日干ではありません。蔵干にも「丁」があり、ある程度の温度を調整してくれるので、強い「土」、強い「金」、強い「水」の三つの気が均衡を成すとき、財星である「水」を初めて自分のものとすることができると見ます。したがって、「土」「金」「水」間の力の均衡が成功の第一要因であると分析します。もし「土」「金」「水」間の均衡が整っていたとしても、それぞれの数がこの事例より少なかったならば、富の大きさは縮小していたことも予想できます。
 

 

では、今日学んだ内容の中で核心となる部分を復習してみましょう。

 

  1. 五行の間に不均衡が大きい場合、「生」の作用は円滑に働かず、それを解決してくれる大運・歳運の時期に「生」の作用が円滑になります。
  2. 日干が冬の冷たい土で身弱の命であれば、調候用神・抑扶用神を兼ねる「火」が用神となります。用神が「丁」であれば地の火なので「壬」や「癸」に出会うと用神の機能が停止、あるいは大きく弱まります。しかし用神が「丙」であれば太陽、すなわち天の火なので「壬」や「癸」に出会ってもある程度その機能を活用することができます。


それでは、今日もお疲れさまでした。

 

 

 

今回の事例の主人公は、整った容姿、名門大学卒業、高収入、裕福な家庭の息子というすべての条件を備えています。20代と30代には恋愛ばかりを数え切れないほど繰り返し、40代になってようやく結婚しました。四柱命式のどのような特徴がそのような状況を生み出したのでしょうか?
 

 

 

時

日

月

年

天干

丁

壬

乙

癸

地支

未

子

卯

丑

 

藏干

 

丁

乙

己

壬

 

子

甲

 

乙

癸

辛

己

 

大運

74

64

54

44

34

24

14

4

正財

偏官

正官

偏印

正印

比肩

劫財

食神

丁

戊

己

庚

辛

壬

癸

甲

未

申

酉

戌

亥

子

丑

寅

正官

偏印

正印

偏官

比肩

劫財

正官

食神

 

 

身弱な「壬」日干が原局に「正印」「偏印」を持たず、「劫財」である「子」を扶抑用神として用います。年支の「癸」も助けにはなりますが、日干から距離があるため、扶抑用神は日支の「子」となります。暖かい春に生まれたので、調候用神を必ず探さなければならない負担はありません。

 

大運で「水」と「金」が続けて巡ってきたため、原局の身弱さを大運で救う良い命式となります。命式の主人公は資産家の息子として生まれ、何一つ条件に欠けることがありませんでした。当然ながら異性に人気があり、恋愛は多くしていたものの、いざ結婚には至りませんでした。そして40代半ばの庚戌大運の己亥年になってようやく結婚したのです。

 

原局で目立つ最大の特徴は、異性運である「正財」が時干にあることです。正財と偏財が原局に一つだけあれば妻の運と見なし、正財と偏財が複数あれば正財を妻、偏財を愛人と見る理論もあります。しかし実際にはそのように機械的に当てはまるわけではないので注意して判断する必要があります。

 

まず原局に偏財がなく正財が一つだけなので、時干の「丁」が妻となります。年・月・日・時の順にそれぞれ初年・青年・中年・晩年と見る理論があります。専門家によっては「時」の場合から中年と見る見解もあります。どの見解であっても「時」に正財があるということは、命式の主人公の結婚が遅れる可能性を示唆します。しかしこれだけが唯一の理由ではありません。実際には時干や時支に配偶者に該当する十神があっても、あまり遅くない年齢で結婚する場合も多いのです。それよりも若い頃の「壬子」「辛亥」の大運が原局と出会うと水が溢れ、妻に該当する文字である「丁」という火が弱まるのです。ところが44歳から巡ってくる「庚戌」大運の地支「戌」という文字に結婚の機会があります。「戌」は蔵干に「辛丁戊」を含んでおり、その中に「丁」という文字があります。原局の時干の「正財」である「丁」は、大運から来る「戌」という文字を見て、その中に隠れた蔵干「丁」が自分と同じ文字であることを感知します。ついに自分と気が呼応する文字が来たと感じ、眠りから覚めて活動を始めるので「正財」、すなわち妻の運が動き出すのです。

 

別の観点から見ても、「戌」という大運の地支は「正財」である「丁」を発動させます。原局の「正財」である「丁」のすぐ下には「未」という文字があります。大運で「戌」という文字が来ると、命式原局の「丑」と出会い、「丑戌未」で三刑殺が形成され、変動性が高まります。「正財」である「丁」の立場から見ると、自分の位置する下の文字が揺れるので、自分の心も動きます。静かだった文字が動き出し、その文字がちょうど妻に該当する「正財」であるため、結婚の時期が来たと解釈することも可能です。

 

では、結婚した歳運である「己亥年」は、命式の主人公にとって結婚運が強い時期だったのでしょうか。「己」という文字は身弱な日干を「正官」の気で抑えますが、「亥」が「水」であるため、身弱な日干には力となります。したがって「正財」を得る力を得るので、結婚の準備が整う時期と解釈できます。しかしこの命式にはもう少し学んでおくべきポイントがあります。「己亥年」に結婚した主人公は、以前に日干が強かった「亥」大運の間にはなぜ結婚しなかったのでしょうか。「亥」という文字は原局の地支と出会うと「亥子丑」で方合が成立し、同時に「亥卯未」で三合も成立します。優先順位で見ると方合が三合よりも優先されます。したがってまずは方合に変わる「水」の気が、三合に変わる「木」の気よりも優勢と解釈されます。大運の期間中、冷たい水の気が溢れることになるのです。したがって「正財」である「丁」は依然として「辛亥」大運の中では寒さに圧倒され、結婚に至らなかった理由となります。

 

「己亥年」の場合は「庚戌」大運の中にあるため状況が異なります。「土」の気がある程度「水」の気を制御し、「戌」大運の蔵干「丁」も正財の味方となります。ある人は「亥」大運でも「水生木」となれば「木生火」まで進み「丁」を使えるのではないかと疑問に思うかもしれません。この場合には「日支」が重要です。日支は十神の種類に関係なく配偶者の座と見ます。専門用語では配偶者の「宮」と呼びます。年干は祖父、年支は祖母、月干は父、月支は母、時干と時支は子供の座であり、日干の主人公のすぐ下にある日支を配偶者の座と見る理論です。日支に用神が来れば配偶者の福があるとか、時干や時支に用神が来れば子供の福があるという理論の根拠はまさに「宮」理論です。十神を「星」と呼び、両者を合わせて「宮星理論」と言います。男性の日支に「正印」が来れば、正印は母の気なので、配偶者が母親のような雰囲気の人だと解釈するのも宮星理論に基づいた分析法です。命式主人公の日支は配偶者宮であり「子」です。「亥」大運の冷たい気が配偶者宮である「子」と出会うと、配偶者宮には冷たい水が溢れることになります。まとめると、三合より方合が優勢で「水」の気が強い点は、まだ命式が冷たい状況であるため「正財」である「丁」という火を配偶者運として使うのが難しいのです。それでも「水生木」で木の気が強まったので「木生火」まで考慮したい気持ちは消えません。しかし、配偶者宮である日支の周囲に水があまりにも溢れている点を考慮し、さらに妻を意味する「正財」が時干にある点まで考えると、「亥」大運は結婚の時期としては早いと判断されます。

 

四柱命理の理論では、二つの時刻の間に生まれた人を一つの命式として扱うため、原局が同じであれば「亥」大運で結婚する人もいると考えられます。総合的に分析すると、「亥」大運では「正財」である「丁」が絶対的に弱いわけではなく、さまざまな要素を考慮した結果、まだ時期ではないと判断したのです。しかし「亥」大運で結婚した人は、結婚生活が順調ではない可能性が高いといえます。
 

今日学んだ事例における核心理論を振り返ってみましょう。

  1. 大運によって「三合」と「方合」が同時に成立する場合は、「方合」を優先する。
  2. 日支は配偶者の宮であり、十神理論と合わせて分析すると、より深い配偶者分析が可能となる。
  3. 絶対的な結婚時期があるのではなく、結婚する確率が高い時期、あるいは結婚に有利な時期があるというのが正しい解釈である。ただし結婚の確率が低い、または不利な時期に無理に結婚すると、安定した結婚生活が難しい場合が多い。

今日もお疲れさまでした。

 

======================================

<もう少し考えてみるべき理論的事項>

 

解釈において「丁壬合化木格」と見るところでしたが、身弱の命式として判断しました。「壬子」日柱は強い水なので必ずしも「合化」しないわけではありませんが、日支の子水が年干に「癸水」として透干され、さらに「癸」もすぐ下の年支の蔵干に通根しているため、「合化」して日干の五行が変わるほどとは判断しませんでした。もちろん地支の「未」は「木局」を強める助けとなり、「乙木」も透干されています。総合的に言えば「仮化格」と見るべきではないかと思います。大運の流れが「水」と「金」に巡るので、「仮化格」の主人公は本来の「壬子」日柱の性質を示し、長く観察したところ「壬子」日柱の傾向により近いと判断されました。重要な点は、「仮化格」であれ「合化格」であれ、月支である「卯」を「沖」する大運の「酉」大運では、事業や健康を保守的に管理する必要があるということです。もしこの命式が合化格であれば、「酉」大運の時期にその衝撃はさらに大きくなるでしょう。まだ「酉」大運に至っていないため、「酉」大運の実際の臨床状況をよく観察することが重要だと思われます。
 

 

 

四柱の主人公は証券会社の社員として始まり、投資専門会社のオーナーとなりました。優れた能力と組織内外の信頼を基盤に起業し、成功した業績を収めました。

 

 

 

時

日

月

年

天干

戊

丁

庚

丁

地支

申

卯

戌

未

 

藏干

 

戊

壬

庚

甲

 

乙

辛

丁

戊

丁

乙

己

 

大運

77

67

57

47

37

27

17

7

正官

偏官

正印

偏印

劫財

比肩

傷官

食神

壬

癸

甲

乙

丙

丁

戊

己

寅

卯

辰

巳

午

未

申

酉

正印

偏印

偏官

劫財

比肩

食神

正財

偏財

 

 

主人公は「丙午 大運」、「庚寅年」に独立しました。ここでは四柱推命の分析を通じて成功の秘訣を探ってみます。生まれた「戌月」は太陽暦の10月初めから11月初めにあたり、涼しい季節です。陰の火である「丁」日干にとってはやや寒い季節となります。しかし、日支に「卯」があり薪となり、年干にも別の「丁」が存在します。さらに地支の「戌」と「未」の中には蔵干として「丁」が含まれているため、適切な温度が保たれることになりました。

 

四柱原局の温度に関する「調候」を確認したので、次は「扶抑用神」を探す番です。自分と同じ、あるいは自分を生じる五行は「比肩」である「丁」と、「偏印」である「卯」だけなので、これは「身弱」の命式です。用神の候補は「比肩」の「丁」と「偏印」の「卯」の両方に該当します。天干の「比肩」である「丁」も、蔵干内の「丁」や地支の「卯」の助けを受けているため、根があります。また、日支の「卯」も日干のすぐ下で主人公を生じてくれるので力となります。  

四柱命式の原局内に使える用神があれば、人生の格は高くなります。しかし身弱な命式であるため、大運や歳運で日干の気を助ける運が巡ってきた時に成功するのです。

 

「丙午」大運は天干と地支がともに「火」であるため、ついに待ち望んだ時が訪れました。「庚寅年」の「寅」は薪となり、火はさらに大きく燃え上がります。これで原局の身弱な部分が解消され、原局に備わっていた財を得ることができます。  


月干には「正財」である「庚」があり、通常「正財」は〈決まった給料〉を意味するとされています。しかし、時支の「申」は「庚」と同じ陽の「金」であり、さらに地支の「戌」と「未」という「土」が「庚」を「土生金」で生じるため、主人公の財運は非常に大きいのです。正財が主に給料を意味するといっても、この場合は平凡なサラリーマンではないことが予想されます。

 

ただし身弱な原局であるため、大運や歳運で良い時期が訪れるまでは、高給のサラリーマン程度として原局の力ある正財を活用し、やがて大運や歳運が日干の力を強める時に、潜在していた財運がついに花開くことになります。もし「身強」の命式であれば、「木」や「火」はこれ以上必要なく、年干の「比肩」である「丁」は「正財」である「庚」をめぐって激しく競争する存在となったでしょう。しかし主人公の命式は身弱であるため、年干の「丁」は不足している火の気を補うパートナーとなります。  
その後の大運も「火」と「木」が続くので、晩年まで財運が途切れることはないと予想されます。

 

 

本日の事例研究では、次の核心理論を改めて強調したいと思います。

 

  1. 身強の命式では、比肩・劫財は競争相手の意味が強いですが、身弱の命式では私を助ける友人、パートナーの意味が強くなります。
  2. 身弱の命式では、正財や偏財の根が原局内に存在すれば、大運や歳運で日干の気を助ける時期に、準備されていた財運を得ることができます。
  3. 正財の財の規模を常に小さいと考えてはいけません。正財も根がしっかりしている場合、日干が原局の構造の中で財を得る力を持って生まれるか、あるいは大運や歳運の特定の時期に日干が財を得る力を持つようになれば、大きなお金を稼ぐことができます。

 

それでは本日もお疲れさまでした。ありがとうございます。

 

この四柱命式の主人公は、これまでに八回以上転職をしています。会社に勤めても一年未満で辞めてしまったことも何度もあります。名門大学を卒業し、有名な大企業での勤務経験も豊富ですが、転職があまりにも多いため、40代半ば以降は採用市場で歓迎されにくくなったと吐露しました。

 

 

 

時

日

月

年

天干

己

辛

甲

癸

地支

亥

丑

子

丑

 

藏干

 

戊

甲

壬

癸

辛

己

壬

 

癸

癸

辛

己

 

大運

79

69

59

49

39

29

19

9

正官

偏官

正印

偏印

劫財

比肩

傷官

食神

丙

丁

戊

己

庚

辛

壬

癸

辰

巳

午

未

申

酉

戌

亥

正印

正官

偏官

偏印

劫財

比肩

正印

傷官

 

 

主人公が一つの会社に定着できなかった理由は一体何だったのでしょうか。原局の分析で最も注目すべき点は、冬の夜に生まれた冷たい金属がさらに冷たくなっているという特徴です。子月は太陽暦の12月初旬から1月初旬の間であり、亥時は夜9時から11時の間です。地支の「丑」という土も、蔵干の中に金である「辛」と水である「癸」を含んでいるため冷たい土です。さらに、水に変化する「亥子丑」の方合があります。日干が「辛」であれば敏感な性格の持ち主ですが、命式の原局には冷たい気が満ちています。蔵干を見ても一つの火種もありません。官運が存在しないのです。

 

「正財」である「甲」も、隣の「癸」という水が木に水を与える意味ではなく、寒い冬に水を注いでも木に氷柱を作るだけの姿です。木の生命力も凍ってしまうので、給料や安定した収入を意味する「正財」にも深刻な問題があります。大運を見ても、49歳になるまで「水」と「金」に満ちています。命式の原局に温度を考慮する調候の観点から必要な「火」は期待しにくいということです。そうなると「扶抑用神」を探さなければなりません。身弱の命式なので「土」と「金」に出会う必要がありますが、原局には「土」しかありません。地支の「丑」は「亥子丑」の方合となり水に流されるため、使えない土です。時干の「己」が唯一の扶抑用神となり得る候補文字ですが、「己」の立場から見ると、地支に陰の土である「丑」が根となるはずの文字なのに、方合で水に流されてしまうので、事実上用神の役割を期待するのは難しいのです。(※参考までに、「亥子丑」が方合すると水に変化します。)
 

大運において巡ってくる「金」は、場合によっては「金生水」となり水を強めてしまうため、身弱だからといって必ずしも喜べるものではありません。結局、「己未」という強い土の大運が来てこそ、これまで職業的に漂流させてきた水の氾濫を防ぐ堤防が生まれるのです。もちろん、大運の地支である「未」は原局の「丑」と「丑未沖」を起こすので、絶対的な安定期とは言えません。それでも唯一の用神候補である「己」に力を与え、強い水を防ぐ「己未大運」だからこそ、以前よりは安定感を得ることができます。
 

命式の主人公に、なぜそれほど頻繁に転職したのかと尋ねたところ、「勤めた会社が合理的ではなく、正しいことについて議論し受け入れる文化ではなかった」と答えました。彼はいくつかの事例を挙げましたが、論理的で個人的には大いに共感できるものでした。しかし、冬の夜の冷たい水の中でさらに冷え切った「辛」という刃に、上司や同僚も近づきにくかったことでしょう。四柱推命には正邪の尺度はありません。それは自然に善悪がないのと同じです。ただ自然の原理によって人の心や行動を理解し、問題の原因を把握するだけです。そうすれば代案を模索する助けとなり、心に抱いた計画を実行する勇気も生まれます。「己未大運」には、これまでの漂流に終止符を打つことを応援する気持ちが込められています。

今回学んだケースでは、次のポイントを考えてみると良いでしょう。

 

  1. 命式において用神として使える調候用神や扶抑用神が原局に存在しないか、あってもその力が弱い場合、大運においてさえ用神の運や用神を助ける運が巡ってこなければ、自分の思い通りに物事がうまく進まない困難な時期となります。
  2. 扶抑用神として使える文字であっても、命式内の他の凶神(自分に不利な気をもたらす文字)を助けてしまうと、用神の質は低下します。例えば、冬季に水が氾濫する命式では冷えが弱点となりますが、金が扶抑用神の候補になると「金生水」によって水がさらに増え、結果的に原局が一層寒くなる問題が生じます。この状況を誤って理解すると、「用神の運」が巡ってきている時期なのに、なぜ苦労するのか理解しにくくなります。
     

今日学んだ内容はいかがでしたでしょうか。簡単な事例ではありませんので、ゆっくり振り返りながら「用神」を探すことについて考える機会となれば嬉しく思います。それでは、本日もお疲れさまでした。

 

 

次の四柱命式は韓国のTOP5大企業の主力系列会社の副社長の命式です。原局に官運がない彼は、どのようにして出世できたのでしょうか?
 

 

 

時

日

月

年

天干

甲

甲

乙

癸

地支

戌

戌

丑

丑

 

藏干

 

辛

丁

戊

辛

丁

戊

癸

辛

己

癸

辛

己

 

大運

79

69

59

49

39

29

19

9

傷官

偏財

正財

偏官

正官

偏印

正印

比肩

丁

戊

己

庚

辛

壬

癸

甲

巳

午

未

申

酉

戌

亥

子

食神

傷官

正財

偏官

正官

偏財

偏印

正印

 

 

30代後半にすでに韓国の5大大企業の専務に特別採用され、その後世界的なIT企業の韓国支社長まで歴任しました。特A級のサラリーマンですから、官運が良い人であることは間違いありません。ところが、四柱原局には正官や偏官が一つもありません。では、蔵干にある正官「辛」のために出世したのでしょうか? 一応答えは「はい」です。そして、蔵干に正官の辛が四つもあるのを見たならば、すでに大変な実力者です。ただし、もう一つ言及すべき点があります。地中に埋もれている蔵干の文字が有効に使われるためには、大運や歳運においてその蔵干の長所を引き出す気運が入ってこなければ、その潜在力が世に現れることはないという点です。
 

したがって、この事例も大運の流れが出世の核心です。原局を一つ一つ分析してみましょう。日干は甲であり、松の木にたとえられます。大木らしく天に高く伸びることを好みます。リーダーシップがあり、万事において主導的な性格です。先に学んだように、原局が寒すぎたり暑すぎたりすると調候用神が必要となります。丑月の戌時に生まれたので、太陽暦で1月初めから2月初めの間、午後7時から9時の真冬の夜に生まれたことになります。寒い季節の松というわけです。したがって、調候用神として火が必ず必要です。日支と時支の「戌」の下にはそれぞれ蔵干「丁」があります。地中の火種なので用神としての質は弱いですが、二つあるので無いよりはましです。ただし、原局の八字に現れておらず蔵干にしかないため、大運や歳運で暖かい五行が巡ってきて初めて満足できる水準で調候用神の機能を果たします。身強・身弱の分析をすると、「丑」は正財、「戌」は偏財であり、原局の地支のすべての文字が財星で、日干が求める「財物」に当たります。この過程で日干は自らの力を使うので、命式を身弱にします。

 

日干の気を助ける<甲・乙・癸>がありますが、地支がすべて正財と偏財なので、総合的に判断すると身弱の命式です。身弱の命式では抑扶用神の候補は「水」や「木」ですが、原局の<甲・乙・癸>は地支に根が弱く、用神としての品質が低いです。蔵干にある「癸」が多少の助けにはなりますが十分ではないと考え、大運や歳運で「水」や「木」が巡ってくるのを待ちます。初年の大運を見ると強い水の気が溢れています。<子・癸・亥・壬>へと続き、正印・偏印が身弱な木を生じます。初年の正印・偏印は学問運です。一度も浪人せずに韓国で最も優れた大学である国立ソウル大学に入学しました。もちろん、調候的に火の気が弱いのは惜しいところです。しかし、原局の天干に丙や丁がある状況で大運に強い水が入って原局の火を消すよりは、原局に火が全くない方がむしろ良いのです。とはいえ、20代後半まで調候的に火がないという惜しさはキャリアの頻繁な変化につながりました。

 

もちろん、他人から見れば羨ましい学歴ですが、さらに勉強を続けようと大学院に進学し(修士号)、最終的には学者の道ではないと判断して外資系コンサルティング会社に就職しました。しかし、業界で最も有名な、いわゆるTier 1グループの会社への就職には失敗し、その次のレベルの会社に入りました。紆余曲折の末、数年後に再び新入社員として望んでいた有名なコンサルティング会社に就職しましたが、しばらく勤めた後に転職し、留学を準備しました。米国MBAに進みましたが、やはりハーバード、ウォートンスクール、スタンフォードなど最上級の大学への進学には失敗しました。2003年の癸未年の秋に留学を準備しましたが、この時、大運・歳運・原局の地支が「丑・戌・未」で三刑を形成しました。もともと土の気が過多なのにさらに土の力が強まり、しかも三刑殺を成したため、望む結果を得られませんでした。その後、2005年の乙酉年に米国で当時急成長していた有名企業のインターンとして働くことになり、2006年の丙戌年に正社員として就職しました。乙酉年の「酉」を単純に解釈して「正官」の運だから、この時得たインターンの職が翌年の就職につながったといっても結果的には正しいです。ただし、本当の理由はそれほど単純ではありません。

 

主人公は身弱の命なので、正官運の扱いには注意が必要です。誤って使えば日干を「剋」してしまい、身弱な日干は傷つく恐れがあります。しかし幸いにも、この命式の原局構造を見ると正官運は良く作用します。なぜでしょうか。

 

「酉」は地支の「丑」と「巳酉丑」の三合の半合を成し、「金」の気を強めます。命式の欠点は「土」の気が過多なことですが、強い「金」の気は「土生金」によって過剰な「土」の気を引き出してくれます。「土」から生を受けた「金」はさらに強くなり、その強い「金」の気は「水」を生じます。連鎖的に日干である「甲」も強められ、身弱だった命式の問題が解消されるのです。これが2005年に貴重なインターンシップの席を得て、その後の正規職へとつながった理由です。もちろん正官運が「酉」であったため就職につながったのは事実ですが、単に正官運だから就職がうまくいったと解釈するのは危険です。2006年の「丙戌年」において、「丙」が寒い季節の命式に調候的に良かったことも、この時期に正規職のオファーを受ける助けとなりました。

 

歳運を分析する際の重要な技術があります。例えば丙戌年なら、「丙」に当たる歳運の天干がその年の上半期に先に影響を及ぼすという点です。天干は速く軽やかに動き、地支は遅く重く動くためです。この部分は天干と地支の合・沖にも影響しますので覚えておくと良いですが、まずは「歳運では天干の効果が早く体感される」とだけ記憶しておいてください。

 

主人公は2006年(丙戌年)の正規職就職に喜びましたが、適応するまでには大変苦労しました。後半に強まる「戌」が有利な運ではなかったからです。 この命式のハイライトは39歳から始まる20年間の官運です。命式には「土」が四つもあり、身弱の命を作ることが欠点でした。しかし「辛酉」「庚申」と続く大運は非常に強い「金」の気であり、強すぎる「土」の気を十分に吸収します。つまり「土生金」が円滑に働くのです。旺盛な「金」は「水」を生じ、「水」は日干である「甲」を生じます。この気が非常に強いため、この時期は職業的に黄金期となります。

 

この変化をもたらす大運は正官10年、偏官10年の官運であり、この時期に組織のリーダーとして大きな成功を収めるのです。満39歳から始まる「辛酉」大運の期間中、2012年(壬辰年)には主人公は30代後半で大手企業の専務として特別採用されました。この時期には調候用神は考慮せず、抑扶用神で勝負するのです。「辰」という字は大運の「金」の気、歳運天干の「壬」とともに「土生金」「金生水」とつながるので大きな問題はありませんが、「辰戌沖」による多少の混乱はあります。転職して初期に適応するのに苦労した理由がここにあります。

 

もちろん命式に調候用神がないことは惜しい点です。もし「火」の気まで完璧であったなら、当時の会社でさらに順調に昇進していたでしょう。しかし様々な事情により、数年後には別の有名企業の幹部職へと転職します。新しい会社で3年ほどを過ごした後、外資系企業の韓国支社長に就任しました。大運の力によって高位職を維持し続けますが、調候用神がないために企業内で初期適応が難しかったり、成果を上げてもその過程で苦労が多い状況に直面します。そして「己未」大運に入ると命式の「土」が過多となり、その力を削ぐ構造が成立しないため、この期間には外部的に華やかな経歴は終了するだろうと予測されます。

 

今日は身弱で寒い季節に生まれた命式が、大運の力によって出世する事例を見てきました。命式の原局に不足が多くても、自分に有利な大運がキャリアの核心期に巡ってくれば、出世できるという点を覚えておいてください。

 

それでは本日もお疲れさまでした。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

今回紹介する命式は、外資系企業の韓国支社代表であり、本社でも上級役員に属する女性会社員のものです。

 

 

 

時

日

月

年

天干

乙

丁

戊

乙

地支

巳

巳

子

巳

 

藏干

 

戊

庚

丙

戊

庚

丙

壬

 

癸

戊

庚

丙

 

大運

73

63

53

43

33

23

13

3

劫財

偏印

正印

偏官

正官

偏財

正財

食神

丙

乙

甲

癸

壬

辛

庚

己

申

未

午

巳

辰

卯

寅

丑

正財

食神

比肩

劫財

傷官

偏印

正印

食神

 

 

原局の核心は次の通りです。冬の「丁」というろうそくの火は弱そうに見えますが、幸いにも他の文字に木が二つ、火が三つあるため、温度のバランスには問題がありません。このような場合、調候用神の候補を無理に探すのではなく、すぐに扶抑用神の候補を探す方が良いのです。木と火が多いということは、力のバランスにおいても自分を助ける気が強く、日干は身強となります。したがって扶抑用神の候補は、強い火を抑える水である偏官の「子」と、強い火の気を抜く大きな土である傷官の「戊」となります。しかし用神候補の戊は、もう一つの用神候補である「子」を「土剋水」で攻撃する姿を見せています。用神候補同士が争うこのような姿は果たして良いのでしょうか。

もちろん用神候補同士が争えば良いはずがありません。しかし幸いにも蔵干が解決者として登場します。巳が地支に三つもあり、それぞれの蔵干には「庚」があります。三つもあるため隠れている文字ですが弱くない金となります。「土生金」「金生水」によって戊と子の対立を仲裁し、葛藤の構造が解決されるのです。

 

これまでの解釈を原局全体の観点から振り返ってみましょう。日干の「丁」は「木」の生を受けて気が強まり、さらに三つの「巳」があるため、原局における「火」の気は一層強くなります。強い火の気が寒い冬の土である戊に放出されるので、戊も力を増します。戊はその強い力を蔵干の「庚」を生じるために使い、庚はその力を「子」に送り「金生水」となります。いくつもの段階を経て生の気が蓄積された「子」は、小さな陰の水ではなく「大きな力を持つ水」となります。偏官である水が華やかな組織運となる理由です。さらに重要な役割を果たす「庚」は安定した給料を意味する正財です。地蔵干に隠された給料の包みが三つもある形です。他人が羨む会社に勤め、高額年俸者となる可能性があるのです。

時期別に見ると、主人公は「壬辰」の大運から業界で頭角を現し、「癸巳」の大運ではさらに高い地位に昇りました。「壬」も水ですが、「辰」が月支の「子」と「申子辰」で三合の半合をして水の気が強まるため、官運上昇の時期となり、この時から全盛期が始まります。その後「甲午」の大運中に月支の「子」と「子午沖」をして官運の変動が起こるので、この時期に引退するか、少なくとも現在の職場を離れるでしょう。原局の八文字や隠れた蔵干の文字に長所があっても、結局は特定の大運や歳運によって原局の潜在力が発現する程度は異なります。したがって時期別の運の分析は常に細心の注意が必要です。そしてどんなに良い命式でも、上がれば下がる時期があるので、これも大運と歳運の分析によって判断します。まとめると、蔵干のおかげで用神候補である戊の傷官と子の偏官を両方使えるようになりました。二つの用神がともに力を持ち、互いに争わないので、傷官の長所と偏官の長所の両方が人生の武器となるのです。

 

ある人々は用神を一つも使えるかどうかという命式ですが、この命式は人生の武器が二つもあるので本当に羨ましいものです。傷官は旺盛なエネルギーであり、実際に弁舌が巧みで顧客を説得する能力が圧倒的です。もちろん営業成績も卓越しています。優れた営業マンの中には傷官をうまく活用する人が多いのです。また偏官の徳によって組織で高い地位に就くことができます。原局の構造を見ると、木・火・土・金・水の五行が順次「生」の作用をしています。このようになると大運や歳運による浮き沈みも少なく、格の高い人生を送ることになります。もちろん強い偏官をうまく使う場合は、一般的な大企業の管理職や官庁の高級官僚よりも、外資系企業や特殊分野の専門職、あるいは軍・検・警・報道など公共性を持つ機関で出世します。実際にこの命式の主人公は外資系企業で専門職に従事しています。

事例を締めくくる前に一つ確認しておきたいことがあります。もし地支の火の気が「巳」ではなく「午」であったならどうでしょうか。その場合「子午沖」が起こり偏官運が壊れるので、今のような出世は難しく、給料だけでは経済的自由を得られなかったでしょう。ここから分かるのは「火」が重要なのではなく、「巳」か「午」かがより重要だということです。五行を十干十二支に細分化して用いる必要がある理由です。

今回の事例は蔵干まで活用しなければならない難しいケースでしたが、最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。本日もお疲れ様でした。
 

 

 

 

今日の事例の命式には、財を意味する正財や偏財がなく、官運を示す正官や偏官も見られません。さらに、地支には『丑・戌・未』という『三刑殺』が存在しています。では、財運もなく、出世もできず、三刑殺によって何事も成し得ない命式だと言えるのでしょうか?

 

 

時

日

月

年

天干

乙

丙

己

乙

地支

未

戌

丑

卯

 

藏干

 

丁

乙

己

辛

丁

戊

癸

辛

己

甲

 

乙

 

大運

80

70

60

50

40

30

20

10

正財

偏官

正官

偏印

正印

比肩

劫財

食神

辛

壬

癸

甲

乙

丙

丁

戊

巳

午

未

申

酉

戌

亥

子

比肩

劫財

傷官

偏財

正財

食神

偏官

正官

 

 

この事例は、理論を学び始めた初心者にとっては難しい命式です。主人公は韓国の有名な大企業の役員であり、ソウル江南地区にマンションを二戸所有しています。財運も官運も備わっている命式に違いありません。では、金銭と出世を同時に掴んだ秘訣はどこにあるのでしょうか。

 

主人公である太陽・丙は、真冬の丑月に生まれました。寒い季節に生まれた日干は、まず調候から見るのが順序です。命式の日干を除いた七文字の中には『火』がなく、『木』が三つ存在し、蔵干には『丁』が二つあります。出生時間の未時は冬の中では太陽がある時間帯であり、寒さによる大きな懸念は少ないといえます。

 

身強・身弱の分析では、この命式は身弱です。日干を助ける比肩、劫財、正印、偏印のうち、正印が三つあります。助ける気とその他の気の比率は三対四であり、極端に弱いわけではありません。総合すると、調候用神は冬の『火』を燃やす薪となる『木』であり、扶抑用神もまた身弱の日干を生じる『木』となります。調候用神と抑扶用神が一致し、しかも命式の中に存在するため、大運や歳運による浮き沈みは小さくなります。必要な気をすでに命式に備えているからです。

 

さて、ここからは用神の『品質検査』が必要です。用神である『木』が十分な力を持っているかを確認することで、命式の格を判断できます。用神が命式に存在しても力が弱ければ影響力は薄くなります。地支や蔵干に用神を助ける文字があれば、その用神は力を持つと考えられます。

 

『木』が用神であるため、年柱の『乙卯』を見ます。天干と地支がともに『木』であり、強い『木』なので有用です。惜しい点は主人公の日干と距離があることですが、日支の『戌』と『卯』が『卯戌合』を形成しているため救いがあります。日支は主人公の日干の生活環境や身体を表すため、用神候補の『乙卯』が日支の『戌』と合していることは用神との縁があると解釈できます。

 

さらに、もう一つの用神候補である時間の『乙』も、すぐ下の『未』の蔵干に同じ『乙』が含まれているため弱くありません。日支や蔵干に比肩、劫財、正印、偏印に該当する文字があれば『根がある』とされ、適切に使える気とみなされます。用神である『正印』は『文書運』や『学問運』を意味します。主人公は名門大学を卒業し、海外で世界三大経営大学院の一つとされるビジネススクールでMBAを取得しました。そして命式に備わる『文書運』によって不動産投資に没頭しました。30代初めから不動産の勉強を続け、時間があれば物件を見に行く努力を重ねた結果、10年余りでソウルの江南のマンション二戸を所有するに至りました。

では、この命式に正官・偏官という『官運(官星)』がなく、正財・偏財という『財運(財星)』もないことをどう解釈すべきでしょうか。官運がなくても全体的な運が良ければ官運を使わずとも組織で出世することが可能なのです。

 

典型的な官運とは、重い組織の圧力に耐え続ける力を意味します。もう少し分かりやすく言えば、成功した企業のCEOはジムで重いダンベルを持ち上げて耐える人に似ています。ある人は30キログラム程度で諦めますが、ある人は全身を絞りながらも200キログラムを持ち上げて耐えます。このように苦痛の中でも耐え抜く力こそが官運の本質です。ダンベルを10キログラム単位で少しずつ増やし、苦しくても耐え続けることで100キログラム、200キログラムを持ち上げられるようになります。新人から少しずつ昇進し、やがてリーダーになる姿は、責任の重さが徐々に増していく典型的な官運の歩み方です。

 

しかし、この命式の主人公は別の方法で出世しました。外資系企業に長く勤めた後、キャリア採用で部長として入社し、グループ最高幹部の信任を得て若くして役員となったのです。彼自身の特別な専門分野が認められた結果でした。さらに大運においてもしばらく官運が入ってこないため、他人とは異なる方法で昇進を狙う必要がありました。その鍵は何でしょうか。答えは用神である『乙』が40歳の大運から入ってくることです。これこそが40代前半で役員になった理由なのです。

 

さて、ここからはお金の話に移りましょう。正財や偏財といった『財運』がなくても、不動産によって富を蓄積できたのは、やはり用神である『正印』が十分に使えたからです。実際、他の事例を見ても、大きな富を築いた起業家の命式に正財や偏財が存在しない場合があります。そのようなケースでは、食神や傷官を活用することが多く、これらが発達している人は、時が来れば仕事の成果に対する報酬を必ず得られると解釈されます。

 

ただし、この事例では食神や傷官を直接使ったわけではなく、用神である正印の質が高かったため、不動産によって財運を掴んだのです。正印は文書運を意味し、不動産に関わる運は代表的な文書運であるため、ここで力を発揮しました。さらに、蔵干にある二つの『辛』は『財』を意味する正財であり、土の中に埋められた他人が容易に触れられない金庫の中のお金を象徴します。しかも二つ存在するため、安定した資産を持っていることを示している点も見逃せません。

 

もちろん、この命式にも懸念点があります。それは『三刑殺』である『丑・戌・未』が原局に存在していることです。こうなると常に三刑殺が動く準備が整っている状態であり、大運や歳運で特定の文字が三刑を刺激すると、不安定性が発動します。

2024年の甲辰年には、寒い冬の太陽である日干を助ける『木』である『甲』が巡ってくる点は良い兆しです。しかし『辰』は地支において『辰・戌・丑・未』を形成し、『三刑殺』だけでなく『辰戌沖』も生じます。しかも『辰戌沖』は日支を衝突させるため、『夫婦宮』が揺らぎます。この時期に主人公は妻との離婚を前提に財産分割に関する訴訟を準備しているとされています。

 

土が衝突すると、蔵干の中にある文字が『沖出』され、世の中に現れます。妻にとって財を意味する『辛』の二文字のうち一つは、離婚によって渡さなければならない可能性があります。隠していたお金が表に出れば、他人に奪われることもあり得ます。離婚した夫婦はもはや他人になるからです。
 

高級解釈において応用される理論についても触れてみましょう。原局にある『丙戌』と『乙未』は『白虎殺』に該当し、これは突発的な不祥事が起こる可能性を含んでいます。また、丙戌の『戌』は日干である『丙』にとって『十二運星』の理論では『墓地』にあたります。日干自身が墓地に落ちる可能性があるため、運が悪い時期には本人も困難に陥ることがあります。『白虎殺』や『十二運星』などの理論は、後に改めて詳しく扱う機会があるでしょう。

 

本日のまとめとして、官運が原局に現れていなくても、用神が命式の中でしっかりと役割を果たし、さらに用神運が巡ってくれば組織で出世できること、そして用神運が印星運であれば不動産投資に成功できることを確認しました。出世は必ず官星、財は必ず財星と単純に丸暗記するのではなく、多角的な視点から有利不利を判断することが大切です。本日もお疲れさまでした。