義足ゴルファー 新・アスリートへの道

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義足ゴルファーのマコが試行錯誤しながらアスリートを目指す日々を徒然なるままに綴る日記
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トーナメントリーダーとして迎えた最終日。
1~3打差に自分よりも元ジャパンオープン覇者など上級者がひしめいています。普段なら自分のゴルフができると思うのですが、この時は勝ちたい気持ちが強かった。そして自分よりも上手な方々に追われるという状況が、冷静さをなくしていました。
初日に決めたことがことごとくできなくなったのです。
1番ホールパー5のティーショットは、アドレスでアライメントがおかしい気がしたのに、そのまま打ってしまいラフに。たまたまライが良かったので、予定通り3オンできましたが、冷静でなかったですね。

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(画像はシュガーさんのブログからお借りしました)

また、このホールで自分以外の追いかける3人が、グリーン周りでミスをして、ダボ、ボギー、ボギー。僕は1m弱のパーパットを残していました。
ここで離すことができれば気持ち的にも楽になるのに、カップをなめてボギー。スコア差は変わらないのに、楽になると思っていたのがならなかったことが気持ちに影響し、焦りに変わりました。

そして2番ホール。この大会最大の事件が発生します。
ティーショットはフェアウェイをとらえ、よし!と思ったのもつかの間、ボールに近づくとディボット跡の中。昨日までなら、このライならレイアップしてたのですが、追われるプレッシャーからかこのライで2オン狙いしてしまい、ガードバンカーに。
ここでも、もう少し冷静なら、ボギーでいいから出すだけでいいと思えるのに、ピンに対してまっすぐ狙う難しいラインを選択。しかも距離のあるバンカー。ここで大ホームランのOB。打ち直しはもちろん目玉になるので、出ず。ここで冷静さを完全に失いました。まず、またホームランが怖くて、腕が縮こまっていたようで、ボールがバンカーからでないこと、でないこと。
なんとここで10を打ってしまいました。OBから打ち直しが出ないところまでは仕方ないとして、ここで冷静に出せれば、もう2~3打違っていました。
それであれば、ほかのプレーヤーとの差も2~3打だったので、挽回の可能性もあったのです。

ここからの自分のモチベーションをどう維持するのかが難しかったのですが、ここであえて良かったことを上げると、その後崩れず、ある程度踏ん張れたことです。いつもならここで集中力が切れたことでしょう。
でも今回は、この後の難しい3ホールを連続パーで切り抜けられました。まあ、ただ僕のゴルフはバーディーを取れるゴルフではないので、だんだんと苦しくなり、OUTの最終ホールでは、保険をかけるショットではなく、ギャンブルに近いショットでダボを叩いてしまいました。

INも頑張って、最終ホールまでは3位には入れる可能性が90%近くあったのに、ダボを打って、カウントバックで4位。
もう、こんなに悔しいラウンドは記憶にないです。ゴルフの結果の原因はすべて自分にあるので余計悔しい。
ゴルフって怖いですね。
でも、今回のゴルフで僕は一皮むけた気もしています。僕がバカではなければ、少し上手くなる気がします。
少し時間が経ってしまいましたが、僕のゴルフの大きなターニングポイントになる気がするので、書き残したいと思います。
先月、日本障害者オープンゴルフ選手権が開催されました。障害者ゴルファーの僕たちがジャパンオープンと呼ぶ大会です。
障害者ゴルファー日本一を決めると銘打たれており、僕が尊敬するプレイヤーがチャンピオンとして名が刻まれる大きな大会です。

今年は昨年と同様に栃木県の東の宮CCで開催されました。

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このコースは距離もしっかりあり、グリーンもアンジュレーションがきつく、難易度の高いコースです。
特に飛距離のない僕にとっては、セカンドでウッドを持たなければならなかったり、確実に届かないパー4があったりと、非常に厳しいコースでした。
また、大会前に風邪をひいてしまいろくに練習もできなかったため、ショットも安定せず、不安ばかりの大会参加となっていました。

ただこの不安ばかりであったことが、逆に良かったのかもしれません。
距離が長く難しい上にショットの調子も悪いということで、かなり割り切ってゴルフをすることができたのです。
ホールによっては最初から3オン狙い。ティーショットが悪いライに行ったらレイアップと決め、なるべくボギーでおさえ、ダボを出さないことを最優先したゴルフを展開しました。
また、グリーンを狙う際も、かならずミスショットの保険をかけて狙うラインを決めました。
その他に気をつけたことは、ティーショットの際のアライメント。アドレスして狙いを見たときに、ちょっとでも違和感を感じたらアドレスし直すことを徹底しました。

このとにかく無理しない割り切ったゴルフがハマり、なんと初日は78でトーナメントリーダーで終えることができたのです。
レイアップした3打目が直接入ったり、ボギーでいいやと思ったホールで寄せワンが取れたり、長めのクラッチパットがことごとく入ってくれたりと、
とにかくラッキーだらけだったのですが、自分でもびっくりのスコアを出すことができました。

いやあうれしかったですね。
ジャパンオープンチャンピオン。僕もいつかそこに名を刻めればと夢想していましたが、海外遠征や多くの強い選手と戦って、その実力差を身近に感じるほどに、その夢が遠いものであると実感もしていました。
そんな中での初日トーナメントリーダーです。自分にもこういうゴルフができれば、トップに手が届く位置まで行けるのかと。
ここで欲が出てしまいました。結果2日目に大きな落とし穴が待っていました。

続く
何度も同じ夢を見ることありますよね。僕にも定期的に見る夢があります。悪夢なんですけど。
どんなシーンかというと、病院の診察室に座る自分。肺のレントゲン写真をじっとを見る医者がいます。しばらくすると、医者は”あっ”と声を上げてレントゲンを指差します。レントゲンに写る肺の中心部には大きな影があり、僕は、ああ、もう長くないなって思い絶望するという夢です。

僕は25年前に骨肉腫になりました。いわゆる骨のガンです。ガンには5年生存率という指標があります。ガンに罹った人の5年後の生存率のことですが、主に5年間、再発が無ければ「治癒」と看做されるというもの。逆に言えば、5年間は再発/転移の可能性があります。また、再発/転移した後の5年生存率は、がくっと下がります。僕はその再発/転移もしているのですが、幸い発見も早く、転移した場所も手術で切除できる場所だったので、幸いにも再発から5年ばかりか、もう20年以上も生きていることができています。

ガンに罹った人の多くは多分今でも、この5年を無事に過ごすことができるよう願ってやみませんし、その間は再発の恐怖と戦っていると思う。
定期検診で再発がないか検査し、その検査結果を聞くまでの時間は、とても長く、不安と恐怖がいりまじった何とも言えない気持ちになります。判決を待つ被告人はこういう気持ちなのかもしれない。そして、医者から「特に問題ないね。ではまた来月」と言われた瞬間の安堵の気持ち。また次ぎの定期検診まで命拾いしたなあとかそういう気持ちになる。これを5年間繰り返しました。

(余談ですが、車いすバスケを題材とした井上雄彦のマンガ「リアル」の主要人物の一人、戸川も骨肉腫なので、病院に診察に行き医者から異常なしと言われ、ほっと胸を撫で下ろすシーンがあるのですが、その描写はとても「リアル」に描かれております。取材力すげーって思った。 http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/4088766954/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=465392&s=books )

で、この経験は、僕の心の奥底に深く刻み込まれているようです。上述した悪夢をこれまでも何度も見て、恐怖ではっと目覚めては、夢で良かったと安堵します。そして、ふと我が身を振り返り、もっと一日を大事に過ごさなきゃだめだよなと反省をする。何度も繰り返しています。そして今朝、またこの夢を見て、これまでと同じように反省した。

人間は忘れる生き物です。これだけの経験をしているのにそれを忘れてしまいます。僕は弱い人間なので惰性に流されやすい。きっとこの夢を見る時は、何かの警告なのかもしれない。お前、ただ惰性で生きていないか?もっと一日を大事に生きろよって。

で長々と重ための話を書きましたが、何が言いたいかというと、何で日曜日に12時間も寝ちゃったんだろうってこと。寝過ぎだろ、俺。と反省。
遠征日記が書きかけで止まってしまい失礼しました。
再開します。

いよいよ最終日を迎えました。
しかし、夜中に目を覚ましてしまうくらいの雷と雨の音。結局、最終ラウンドは中止となりました。
コースコンディション、スケジュールの関係など致し方ありません。

しかし、なんとも消化不良の大会となってしまいました。調子が上がってきたところだったので残念ですが、これもまた自然を相手にする競技ですので仕方ないですね。

この日は、ゆっくりとホテルでメールの処理したり、午後には近所のモールにショッピングにいったりとリラックスしてすごしました。

そして夜には、表彰式がありました。

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私としては初日の大叩きがあるので、表彰には関係ないと思っていました。
が、ファーストフライトで入賞することができました。
ファーストフライトとは、2日目が終わった段階で、各障害カテゴリーの中で、上位とのスコアの差が出すぎてしまったときに、上位者と下位者を分けて表彰する制度。これは恐らく、1日目2日目のスコアが悪くてもモチベーション高く最終日を戦えるようにしたり、障害の重かったり、ビギナーでも競技として楽しめるようにとできた制度なのでしょう。この下位者の部で、一番でした。

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表彰されること自体はうれしいのですが、なんとも微妙な気持ちになりました。
僕はこの大会では、Law10と呼ばれる総合でTOP10に入るスコアを出した人を表彰する部門での入賞を目標としています。

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今年のLow10の選手。


なので、またまた今年も実力不足を露呈する結果となってしまいました。
せっかく代表として選んでいただいたのに申し訳ない気持ちです。

表彰式は素晴らしかったです。
NAGAの歴史とその規模、また運営の素晴らしさを感じました。

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2日目の試合が始まりました。
疲れもピークに。が、ここからどういうゴルフが出来るか、そこが問われてきます。
なんとか、昨日の大叩きを挽回したいところです。

今日一緒に回ったのは、長野パラリンのアルペンスキー銅メダリストのJim、片腕のJack、同じ大腿切断のDavidです。

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スタートがだいぶ遅れて、リズムが狂ったのかな?1番、2番を小さなミスで、簡単にボギーにしてしまい、嫌な流れ。が3番でパーを拾えて、ここからとにかくダボを打たないようにそれだけを考えてプレーしました。
7番のすごく難しいショートでラッキーパンチが入ってバーディー。苦手の8番もボギーで切り抜け、9番でパーを逃したのが悔しかったけど、Outは前日と同じ40で抑えることができました。

そして昨日大叩きしたIn。10番は2ndでトップしてグリーン奥の難しい場所から、アプローチが微妙な距離を残すもガッツパー!ここから苦しい展開もなんとかダボにせずに、ガッツボギーで切り抜けます。
なんとかパーを拾いたいのですが、暑さと疲れからかショットが安定せずに、結局Inは43というスコア。
スコアは83でしたが、このコースで、今回のピン位置でのこのスコアは自分的には大満足。

最終日に繋がるゴルフが出来たと思います。

そして今日も肉を食いました。毎日肉食ってます。

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