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Mental Coach for Classical Musician :: (9月8日から http://mc4cm.blog.fc2.com に引越しています)

音楽家のためのメンタルスキルを考えるブログ。メインテーマは『メンタルスキルをどのように活用すれば、本番で最善の演奏に導けるか』です。

"源に戻ろう、新しい力を汲み上げるため。"

--- 檜山乃武 『音楽家の名言2』 p. 32. ヤマハ (2011)



19世紀を代表する「オペラの巨匠」ヴェルディの言葉です。


イタリア第2の国歌と言ってもいいくらいのヴェルディ作曲「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って」(オペラ「ナブッコ」より)は、囚われの身となり捕虜となったヘブライ人が愛すべき祖国を偲びながら歌う感動的な合唱曲で、ここNYメトロポリタンオペラの合唱で聴いたことがありますが、本当に美しく心に響く曲ですね! (メト合唱は本当に上手い!お決まりのアンコール付きでした!) 。



この曲には、妻子を亡くし失意のどん底で「もう音楽は辞める」と決心していたヴェルディが当時のスカラ座支配人から「書け!」と台本を押し付けられ、「行け、わが思いよ、黄金の翼に乗って (Va, pensiero, sull'ali dorate) 」という言葉が目に留まりまだ音楽を続けようという気になったという逸話があり、言わばヴェルディ復活曲でもあるのです!


ヴェルディは、オペラ「リゴレット」のプレミア成功(1851年3月)の直後、お金が入っても!華やかな生活に向かうのではなく、作曲活動とともに、実父と同じく農業経営の道に行き畑仕事に精を出すなど慎ましやかな生活を送りました。


労働階級育ちのヴェルディは、そのような自然に囲まれた質素な生活のなかで、人間の本質に迫るヴェリズモ音楽を考えていたのですね。


また、歌手のパッサージョを熟知していたヴェルディは、人間の本質や感情が湧き上がる部分の音に、わざわざその苦しくて辛抱が必要なパッサージョの音をあらゆる声種の歌手に当てがって劇的な表現に活かしていますから、歌い手にとってヴェルディはそういう意味で技術的にも精神的にも成熟さ (技と心のコネクト力?) が求められており、これこそ、一流音楽家の多くが述べている「音楽=人生」を裏付けているのではないかと思います。


「源に戻ろう、新しい力を汲み上げるため。」


メンタルコーチとしての私には、この「源」「新しい力」という言葉が、音楽家のみならず芸術家にとって最も大切なメンタリティの一つである、音楽する内なる動機「内発的動機」のことを言っているとしか思えません。


その自分の音楽する起点にあたる「内発的動機」は常に「新しい」ものでなければならないと。。。つまり、演奏家ならば練習などで音を出すとき、自分の音楽する源に新しいという感覚が無いなら音を出すべきではないと。。。


この内面へのディレクション (方向性) というのは逆に、自分以外の事柄に目を向けやすく、また他人に目を向けることを推奨さえもしている競争社会というものが、ヴェルディが生きていた時代も今もそう変わらないということの表れのような気もします。


とにもかくにも、ヴェルディは自分の意識を集中させるディレクションを自分の「源」に向けようとしていたのですね。


音楽家の名言2 ~演奏への情熱を取り戻すメッセージ~/檜山 乃武

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