--- バーバラ・L・サンド 『天才を育てる ー 名ヴァイオリン教師ドロシー・ディレイの素顔』 p. 102. 音楽之友社 (2001)
今日も、昨日と同じくドロシー・ディレイの言葉です。
音楽家には集中力が大切だと断言していますが、同じように小澤征爾氏もそう言っていました。
このディレイの言葉から学べると思うのは、不安の視点から集中力を捉えている点です。
メンタルトレーニング理論では、不安を次の方程式で表します。
不安=脅威(課題) ÷能力
目の前の課題が、自分の能力よりも大きければ大きいほど、不安が大きくなっていきますし、逆に、課題が自分の能力と比較して小さければ小さいほど不安も小さくなります (能力の判断は全て自己評価です)。
そして、このディレイの言葉は、この不安を取り除くプロセスとして、課題を分けて小さくし、その細かくなった課題に対して集中してみましょう、自分の集中力を使いましょう、と言っています。
課題が10ならば、2 2 2 2 2と分けて並べ、その一つの2という課題に全能力をかけて集中してみましょうよと。
課題を分けるのですから、余計に時間はかかりますが(そもそもクラシック音楽は修得に時間がかかるものですよね。だから仕方ない!)、少しづつ少しづつ、その10の課題達成まで近付くプロセスが、ディレイ先生曰く「魅惑的」なものなんですね。
クラシック音楽を修得するプロセスは、「ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅっと同じ状態」が続いているような気がするときが確かにあって、それが辛いと感じることがありますが、それでも先生が「魅惑的」マンマンな眼でキラッキラッとしていたら、生徒も救われる部分があるでしょうね(実際ディレイ先生がキラッキラッの眼だったかは知らないですけど)。
課題を小さな段階に分けるというのは、メンタルスキルでいうとゴールセッティングですが、それを実際に行うのは言うほど簡単ではなく、先生の客観的な意見も課題(目標)分けに大きく影響しますから、先生の視点って大切です。
このディレイの言葉から、彼女がなぜあんなにも多くの一流ヴァイオリニストを育てることが出来たのか分かるような気がしました。
天才を育てる―名ヴァイオリン教師ドロシー・ディレイの素顔/バーバラ・ローリー サンド

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