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Mental Coach for Classical Musician :: (9月8日から http://mc4cm.blog.fc2.com に引越しています)

音楽家のためのメンタルスキルを考えるブログ。メインテーマは『メンタルスキルをどのように活用すれば、本番で最善の演奏に導けるか』です。

"作家志望や絵描き志望の青年が、生活苦に悩まされて挫折する話がよくあります。
音楽家志望にはあまりそれがない。とにかく、どうにか、街の音楽教師になって、子どもをだましてでも食べていける。(中略)
これは冗談として言いますが、どうしても食べられないで、餓死するくらいの人間が出たほうが、質的向上のためにはいいことですが。(中略)
日本では、「おれはこれをやりたいけど食えない。つまらない音楽関係の仕事をして心は売りたくないから肉体労働をやる。」とニコニコ暮らせる人は少ないのです。こういうぼく自身、本業で食えなくなって、シャベルを持ちながら明るい気持ちで、つぎのチャンスをねらうということのできる自信は、まったくありません。メソメソとくさりきって、きっと自滅するにちがいないのです。(中略)
音楽を志す者も、技術を切り売りしていると、はじめに志した道へはなかなか帰れない。だから、何事も勉強の途中では、稼ぐためにはその道以外の方法でやるべきだ思うのです。"


--- 岩城宏之 『岩城音楽教室』 p. 163-164. 知恵の森文庫 (2005)



「子供をだましてでも」って先生!!!(笑) 野生児的な子供にはだましだまし教えるっていう意味ですね?!


音楽は、作家や絵描きよりも小銭になりやすいのですかね。一流のクラシック音楽の現場で長い間活躍してきた岩城氏がそう言うなら、そうなんでしょうね。。。


音楽することと生活すること(生きること)。ここで問われるのは、生活(費用を捻出) しながら音楽するための、または、音楽しながら生活(費用を捻出) するための、自分なりの「哲学」でしょうか。


「哲学」とまで言わなくても、考え方、でしょうか。とにかくそれは、メンタルスキルとしてのゴールセッティングに入る前に考えるべき事項です。


岩城氏本人、本業で食べられなくなったら明るい気持ちで肉体労働をする自信はないと言いつつも、音楽の修行中の稼ぎに勧めているのは音楽以外の方法と言っています。


それは、修行中に音楽で稼ぐ(A) →「音楽の質」が落ちる or 初心を忘れる(B) 、という悪循環が生じる現実を、岩城氏はよく目の当たりにしてきたからそのように言うのでしょう。


しかし、なぜ(A)から(B)へ行ってしまうのでしょうか。


その原因の一つに、岩城氏本人は本業以外の肉体労働で稼ぐとという意味で言っていますが、修行中の身で音楽を使って稼ぐ時も「メソメソとくさりきって、きっと自滅する」ような心になってしまうことが余計に、(B)を生み出しているのではないかと。


マイナス思考の典型例としてメンタルトレーニングの教科書に載るような「メソメソとくさりきって、きっと自滅する」という思考ですが、これを「ニコニコ暮らせる人」に持って行くのがメンタルトレーニングの使命とも言えます。


自滅的思考は、音楽で生活費を稼ぐ稼がないに関係なく、演奏にとって悪影響を及ぼしますし。。。


かく言う私も、音楽以外の仕事で「メソメソとくさりきって、きっと自滅する」ような経験をしたことがあるくらいですからエラそうなことは言えませんが (でもだからこそメンタルスキルの大切さが分かりましたが)。。。


メンタルトレーニングで「思考を変える」というやり方は、大きく分けて二つあります。言葉を使うか、映像(イメージ)を使うかです。


言葉の方はセルフトークという手法で、自己会話や内言と言われ、映像の方はイメージトレーニングという手法で、視覚化と言われています。


セルフトークに関していえば、今現在や過去の特定時(例えば本番時) に自分の中でどのような言葉が廻っているか(いたか) を観察し or 思い出し、それを目に見える形にするために書き出します。


まず内なる言葉を見つめるので、内向きの集中ディレクションを鍛えるという働きもあります。


そしてその内なる言葉の中にマイナス思考やネガティブなものがあれば、それを一つ一つ丁寧にポジティブな言葉に置き換え、そして(変人と思われないよう誰もいない時に!)、頭を上げ、身体全体が響くくらいのハッキリとした口調でその置き換えたプラス思考を繰り返し声に出します。


セルフトークという手法は地道な作業です。筋肉を鍛えることと似ています。マイナス思考を思い出すことによって心に負荷をかけ、プラス思考を捻出して心を解放するという繰り返しです。


しかし、これを日々のルーティンとして毎日定期的に続けていくと、まず自分のセルフトークはいかにマイナス的言葉が多いのかということに気付くことができ、その気付きによって「思考を変える」チャンスが生み出されるのです。


クラシック音楽をシリアスに本気で取り組んでいればいるほど、「シャベルを持ちながら明るい気持ち」にはなれないかもしれませんが、「メソメソとくさりきって、きっと自滅する」ようなマイナス思考から脱却する方法は存在するのです。


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