--- 中村紘子 『どこか古典派』 p. 45. 中公文庫 (2002)
はい。中村紘子先生、、、私もこの問題についてですね、「つい考え込んでしまう」のです。。。
本当は、というか、理想的には、音楽家は「良い音を出すことだけ考えて生活しておけばよい」と思うのですが、そうは問屋が卸さないのは、フリーの音楽家第一号のモーツァルトの時代から証明済みです。。。
私は今のところ、この問題は人的要因と環境要因に分けて考えるべきかと思っています。
人的要因は、当事者の音楽家の心 (メンタル) がその一つであり、それはモチベーションの問題だと思います。
昨日の記事でも「芸人」について内発的動機と外発的動機のことを書きましたが、この「コンクール」という外発的動機が今の音楽家たちは「強すぎる」のではないかと、言い換えると、それに比べて内発的動機が「弱すぎる」のではないかと。
「ほんのいっときに幸運に見離されて挫折する若者たち」は、音楽をする動機としての内発と外発のバランスが崩れていると言った方がいいのでしょうか。。。
現代の社会全体が過度な競争傾向にある上に、輪をかけて (というか、だからこそ?) 今のクラシック音楽界も他人との差別化を図るコンクールが食べていくためには超重要となっているので、音楽家のメンタルの中で知らず知らずのうちにその「外発的動機」が「内発的動機」を蝕んでいるのかもしれませんね。
今の音楽家は当人の想像以上に自分の「内発的動機」を守る必要があり、私はそのメンタルトレーニングとして、より「内発的動機」を深くするために「潜在意識」に働きかけることもゴールセッティング技法のなかにもっと取り入れるべきだろうと考えています (つまり、日々のルーティンのなかに「潜在意識」への働きかけを取り入れる、などといったことです)。
一方、環境要因としては、社会全体やクラシック音楽界が競争主義に傾いているということもありますが、そんな大きなことでなく、身近な要因としてその当人を取り巻く人々のサポートのあり方も考えるべきです。
スポーツ・メンタルトレーニング理論に、重要な他者からの援助としてソーシャルサポートという考え方があり、音楽家にも応用できるのではと考え、以前このブログでも紹介しました。
そこには認知段階と対処段階に合うサポートの仕方があるということですね。
パフォーマーが、やる気の低下やバーンアウトの兆候を感じている時には、周りの環境が取るべきサポートはまず、そのパフォーマーの感情に対して働きかけ、そのパフォーマーの性格の理解や叱咤激励を行います。
そして、そこから立ち直ろうと行動に移し始めた時は、その行動促進に有効な情報の提供や問題解決の手助けをします。
要するに、そのパフォーマーの状態が、今悩んでいる時期なのか、立ち直ろうとしている時期なのか、親兄弟や親友などそのパフォーマーにとって大切な他者がしっかり把握して対応するということです。
またその際、そのソーシャルサポートを行う側の人間も「内発的動機」というやる気の重要性を理解しておくべきであると思います。
どこか古典派(クラシック) (中公文庫)/中村 紘子

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