--- 檜山乃武 『音楽家の名言3』 p. 32. ヤマハ (2011)
「多発性硬化症」という難病のために42歳の若さで亡くなった、天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの言葉です。
私は、デュ・プレは本当に天才だと思っていて、まず音程を取るのが難しいチェロをヴァイオリンみたいにあんなに自由に弾きこなすという技術はもちろん、最も圧巻なのは、音に意味を込める力なんですけど、それが自分の内面の「何か」と「常に」一致していると聴いている側が感じることができるという点です。
自分の内側にある音楽する動機を音に乗せるというのは技術が必要ですが、あそこまで「迷いなく」「常に」コネクトしている音は聞いたことがないくらいです。
これまた天才のバレンボイムは「楽譜に忠実に沿っていない場合でも、デュ・プレが弾くと自然になる」と言っていましたが、ホント、全ての音が自然に聴こえるんですよね。「全ての音」が「自発的」で「自然」なのです。
このデュ・プレという女流チェリストは、音楽家のパワーの源である内発的動機を自然に音に乗せて表すことのできたベストの例であり、私たち音楽家が目指すべき目標になる人だと思います。
このデュ・プレの言葉は、音楽家にとって不可欠な芸術エネルギーそのものである「内発的動機」を自分でどのように育てていくのか、教えてくれているのだと思います。
音楽家の名言 3 ~壁を乗り越えるためのメッセージ~/檜山 乃武

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