昨日は、ある音楽院のクラスのオーディションでしたので、その自分のパフォーマンスのメンタルについて書きたいと思います(写真を撮るのを忘れてしまいました。というかですね、それどころじゃありませんでしたっ!)。
これはもう私のクセみたいなものですが、歌う前、名前を呼ばれる前から心臓のバクバクが止まりませんでした!
俗に言う「あがり」というのは、本来、演奏前は覚醒状態が低くなっているのに、演奏が始まった途端にその覚醒度が急に「あがり」、頭が真っ白になって我を失うことなので、そのような「あがり」状態にはなりませんでしたから最悪の自体にはならなくて良かったとは思います。
約3ヶ月空いた本番にしては(もっと本番や他人の前で歌うことが自分にはもっと必要な時期に来たと思ったのでオーディションを受けたのです)、うまく行った方だとは思いますが、「なんで自分から望んで音楽しようとしていてこんなに心臓バクバクになるまで緊張しなくてはいけないんだ?アホか?お前は」とか、「ずっと昔は、カラオケとかで歌うとき、緊張のカケラも無かったくせに、というか嬉しかったくせになぜこれは緊張するんだ?」などといったセルフトークが頭の中でポップアップしてきました (笑)。
また、この「心臓バクバク」はいつものことではあるので、私の最適な覚醒状態は結構高めなんだろうなと、覚醒状態とパフォーマンスの関係を表す逆U字曲線を頭の中でイメージしていました。
正直言って、自分で笑ってしまうくらいの「心臓バクバク」なんですよね (笑) 。。。
昔、日本でのサラリーマン時代、私にとって吐き気が出るほど最高に嫌な仕事だったプレゼンテーションとは違う種類の「心臓バクバク」ですけど、バクバクの速さはほとんど変わらないなぁ、なんてことも感じていましたね。。。
しかし、このオーディション、音楽的な音質としてこだわっていたフレーズなど自分の思った通りにできましたし (これは何年も考えて練習していた音域、つまり歌手として死ぬほど大切なパッサージョ部分なので、実はガッツポーズが出るほど嬉しい!)、3名の審査員の方々から、歌った後にオペラやアートソングでどんなレパートリーがあって、どんな曲を学びたいか聞かれ、興味を持っていただいたようなので聴衆側から見ても悪くないパフォーマンスだったのだと思います (4、5年前のオーディションで「来年来て」と言われたことがありますからね!)。
今回 (というか、毎回なんですが)、本番で、メンタルとして一つのことを絶対に外さないようにしているのですが、やはりそれは効果があると思っています。
それはこのブログで何度か書いていますが、「集中ディレクション」という集中の仕方です。
自分の音楽する喜びや嬉しさ、内発的動機が詰まった芸術エネルギーが、どこにどのくらいの大きさであって、それを起点とし、どこを通ってどこから出て行くのか、前もって決めている「イメージと言葉と呼吸」でしっかりと把握しておくことを、演奏前・最中に常に意識しています。
私は個人的に、その集中ディレクションを行う体内空間を「歌のスペース」とも読んでいますが、それが音楽を聴衆に届けてくれるわけで、私自身の責任としては、その「歌のスペース」の状態を常に一定にしてその中をエネルギーが淀みなく流れることだけを考えるようにしています。
すると、昨日のオーディションでは、時間にして1秒か2秒くらいでしょうか、「あぁ、今、耳を済まして聴いてくれているなぁ」という瞬間を感じることができたのですが、それはあくまで、そのような自分外部のものを追い求めるのではなく、内から外というインサイドアウトの集中ディレクションを追求していた結果、たまたまそういう嬉しい瞬間がやってきてくれたという感じで、演奏家の集中の仕方としては正しい方法ではないかと思っています。
ジュリーアード音楽院などで音楽家のためのメンタルトレーニングを教えている
ドン・グリーン先生は、センタリングという集中手法を提唱していますが、それも基本、インサイドアウトの集中です。
自分の覚醒状態が上がりエネルギーが増しているときは、色々なことも感じ取ってしまうものです。。。
昨日のオーディションの場合は、伴奏者が思っていた音質と違う音を出したり、違う音を弾いたり!審査員が手を動かしたり、顔の向きを変えたり、足を伸ばしたり、というのを演奏中に感じましたが、これは集中ができていないということではなく、このようなものを感じ取ったとしても全く揺るがないタフな集中の仕方を持っておくべきであり、その集中ディレクションを練習のときから意識して鍛えておくべきなんだなと思いを新たにしました。
やはり、本番、というものは練習の100倍くらい?学ぶべきことを教えてくれるものですね。
そう言えば、昨日、オーディションに行く前の私に、ピアニストの妻がボソッと良いことを言ってくれましたので紹介します。
「何が成功かってことだよね」
そうです。成功って人によって定義は違いますが、私のこのオーディションにおける成功は、自分の「集中ディレクション」をしっかり働かせることだったので、課題は沢山見えましたが、合格点はあげられるのではないかと思いました。
それはそうですが、外発的動機にあたる「オーディション合格」ももちろん欲しいですけどね。。。