「空をサカナが泳ぐ頃」浅葉なつ | ※この現実はフィクションです。

※この現実はフィクションです。

                                                    物語の核心に触れる記述を含むことがありますので、閲覧は自己責任でお願いします。

空をサカナが泳ぐ頃 (メディアワークス文庫)/浅葉 なつ
¥620
Amazon.co.jp


 第17回電撃小説大賞で、メディアワークス文学賞を受賞。出版できるレベルに達していない。今作は近年の受賞作の中でも特に理解できなかったので取り上げた。

 メディアワークス文庫といえば、ライトノベルを読んで育った世代に提供する小説。つまり、ライトから脱却を試みるものの、一般小説ではないという、両者の中間に位置する存在だ。

 今作の主人公の背景・設定は基本的に一般小説(非記号的)だが、キャラクタの性質はライトノベル的(記号的)だ。このミスマッチ感が酷い。無目標の社会人という、現代日本の象徴のような主人公が、漫画のような叫び声を上げたり、吹き飛ばされたりするのは現実味がなく、かといって、空想ものだと割り切って笑うこともできない。

 また、全体的にコメディタッチなのだが、ギャグが力押しでつまらなく、文章の稚拙さ故にテンポは最悪で痛々しい。

 さらには、主人公の心情を追わず、次々と事件を起こして単発のネタで勝負、といった所も受けつけない。小説を描く上で、事件でなく人物の心情を追うということは、基本中の基本。

 心情描写は、くだらないコメディと超展開の中に所々浮上してくる程度で、説得力がない。葛藤を乗り越えているシーンも完全においてきぼりをくらった気分。

 個人的には、メディアワークス文庫は、もう見限る寸前だ。