この場合に,裁判所が「信用回復」を命じる場合,具体的にはどのようなことをすることになるのでしょうか。
誤解ありがち度 3(5段階)
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A 新聞,業界紙への謝罪広告,関係者への個別的な謝罪の通知,など,内容も裁判所が指定します。
【営業秘密侵害→信用回復措置;内容】
Q転職した従業員が,転職前の勤務先で知った営業上の秘密情報を当社で利用していました。
この場合に,裁判所が「信用回復」を命じる場合,具体的にはどのようなことをすることになるのでしょうか。
A新聞,業界紙への謝罪広告,関係者への個別的な謝罪の通知,など,内容も裁判所が指定します。
営業秘密を不正に使用した場合,金銭的な賠償以外に,「信用回復措置」を講じる義務が認められることもあります(不正競争防止法14条)。
この制度の着目点は「取引先その他の関係者が,『加害者がノウハウを持っている』と誤解している」というところです。
関係者の,この誤解を解消しないと,関係者は「誤解」を前提として,「今後も加害者と取引をしよう」と判断することになりましょう。
結局,不正行為発覚後も,被害者の損害は生じ続ける,ということになります。
そこで,関係者に真相,つまり,「不正な行為があったこと」を知らせる,ということが必要になってくるのです。
条文上は「営業上の信用を回復するのに必要な措置」という表現です。
実際には,裁判例(判決文)において,具体的な方法が指定されます(裁判例後掲)。
<信用回復措置の内容の例>
・新聞,業界紙への謝罪広告掲載
・関係者への個別的な謝罪の通知
[不正競争防止法]
(信用回復の措置)
第十四条 故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の信用を害した者に対しては、裁判所は、その営業上の信用を害された者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、その者の営業上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
[平成23年11月30日 東京地裁 平22(ワ)11017号 不正競争防止法に基づく差止め等請求、不正競争行為差止等請求事件]
主文(抜粋)
原告Aは,別紙送付先リスト記載1~19,42~634の各送付先に対し,別紙通知文を送付せよ。
理由(抜粋)
(6) 被告Bの信用を回復する措置が必要か(争点(3)オ)について
上記(5)イのとおり,原告Aの不正競争行為によって被告Bの信用が低下したと認められる上,原告Aは,平成22年2月下旬以降,「C」の名称を使用し,旧Cの会員等に対し,文書を送付していること(前記1(8))を考慮すると,原告Aに対し,信用回復の措置を命ずるのが相当である。
そして,証拠(甲130)によれば,上記文書の送付は,被告Bの顧客名簿(旧C会員の会名簿,受験団体名簿,大会参加団体名簿,通信教育顧客名簿等)を利用したものであると認められる。また,弁論の全趣旨により,別紙送付先リスト記載1~19,42~634の各送付先が毎日新聞社,関係省庁・自治体,被告Bの取引先,旧Cの会員・受験団体・受講生等であると認められるから,原告Aに対し,当該各送付先に限って,別紙通知文の送付を命じるのが相当である。
被告Bの主張する送付先のうち,①別紙送付先リスト記載20及び21の各送付先は郵便関係の省庁であって,被告Bとはその限度で関係があるにすぎないし,②同リスト記載21~41の各送付先は審査員であって,第三者的な立場を有する者であり,③同リスト記載635~638の各送付先は原告Aを後援するものであって,被告Bとは関係がないと解されるから,当該各送付先に対して通知文を送付する必要性があるとはいえない。また,通知文の内容については,信用回復の措置に必要な限度にとどめるため被告Bの求める別紙通知文(案)の内容を別紙通知文のとおりに変更した。
したがって,被告Bの原告Aに対する不正競争防止法14条に基づく信用回復の措置請求は,別紙送付先リスト記載1~19,42~634の各送付先に対し,別紙通知文を送付させる限度で理由がある。
[平成19年 6月11日 大阪地裁 平18(ワ)5437号 信用回復措置等請求事件]
主文(抜粋)
被告は,次の刊行物に各1回ずつ,別紙謝罪広告目録記載の文案により,被告会社名と被告代表取締役名は4号活字,その他の部分は5号活字を使用した広告を掲載せよ。
(1) 雑誌F(出版社D)
(2) 雑誌G(出版社E)
理由(抜粋)
5 信用回復措置について
前記4(2)アないしウ認定の部品Hの交換部品市場の状況からすれば,本件においては,損害の賠償とともに,原告の営業上の信用を回復するのに必要な措置として,本件広告が掲載された雑誌(「F」及び「G」)に,別紙謝罪広告目録のとおりの広告を掲載させることが相当である。「I」は,本件広告掲載紙ではないので,信用回復措置としての広告掲載は相当とは認められない。
[平成19年 5月25日 東京地裁 平17(ワ)8140号 不正競争行為差止等請求事件]
主文(抜粋)
3 被告は,次の被告の商品説明会の出席企業に対し,別紙裁判所指定信用回復措置目録1記載の訂正文を,本判決確定の日から10日以内に送付せよ。
① 平成16年2月4日東京,
② 同月19日福岡,
③ 同年4月16日大阪
4 被告は,次の被告の商品説明会の出席企業に対し,別紙裁判所指定信用回復措置目録2記載の訂正文を,本判決確定の日から10日以内に送付せよ。
① 平成17年4月7日名古屋,
② 同月13日長野(松本),
③ 同月18日仙台,
④ 同月20日盛岡,
⑤ 同月22日八戸,
⑥ 同月25日青森
理由(抜粋)
3 信用回復措置
(1) 平成16年
ア 告知行為1(ロウの固さ)が告知されただけでは,信用回復措置の必要性は認められない。
イ しかしながら,Aによる告知行為2は虚偽であり,その内容は,ローソクの根本に関わる火災原因についてされたものであるから,その違法性は高いといわなければならない。したがって,告知からの時間の経過等の事情を考慮しても,信用回復措置を講ずる必要があると認められる。
ウ 告知の相手方は相当数に及ぶが,被告の特定の商品説明会への出席者と特定されているから,新聞への掲載の必要性までは認められず,Aがこれらの発言をしたと認定できる東京,福岡及び大阪の参加者に対し,別紙裁判所指定信用回復措置1の訂正文を手紙形式で送付することで足りると認められる。
1社から数人の出席者があった場合は,当該参加社あて1通の訂正文を送付すれば足りる。
エ 原告の信用回復の措置としての謝罪広告の掲載を求める請求の中には,上記訂正文の送付の請求も含まれているものと解する。
(2) 平成17年
ア 告知行為4も,虚偽であり,その告知内容は,ローソクの根本に関わる火災原因についてされたものであるから,その違法性は高いといわなければならない。したがって,告知からの時間の経過等の事情を考慮しても,信用回復措置を講ずる必要があると認められる。
イ 告知の相手方は相当数に及ぶが,被告の特定の商品説明会への出席者と特定されているから,新聞への掲載の必要性までは認められず,本件配布資料が配付されたと認定できる名古屋,長野(松本),仙台,盛岡,八戸及び青森の参加者に対し,別紙裁判所指定信用回復措置2の訂正文を手紙形式で送付することで足りると認められる。
1社から数人の出席者があった場合は,当該参加社あて1通の訂正文を送付すれば足りる。
別紙 裁判所指定信用回復措置1
当社は,平成16年○月○○日(注1),○○(注2)で実施した当社商品説明会において,
(1) ローソクにおいては,ロウの固さによって,その品質が変わってくる。A株式会社製のローソクと株式会社Bのローソクとを互いに押し付けると,株式会社Bのローソクの方が,折れたりへこんだりすることから,A株式会社製のローソクと比較して,株式会社Bのローソクの方が,品質が悪いことが分かる。
(2) 株式会社Bのローソクは,安い,粗悪な原料を使用しているために,ローソクが倒れて火災の発生する確率が高い。このため関東では火災の発生率が一番高い。
との事実を告知し,貴社に対し,株式会社Bのローソクが粗悪品であるかのような印象を与えました。
これらの事実は虚偽ですので,撤回いたします。
今後,かかる行為を行わないことを誓約し,株式会社Bに対し,お詫び申し上げます。
平成 年 月 日
A株式会社
○○(注3) 御中
注1 各商品説明会の開催日時を入れる。例えば,東京であれば,「2月4日」と入れる。
注2 各商品説明会の開催地区を入れる。例えば,2月4日に開催されたものであれば,「東京」と入れる。
注3 参加企業名を入れる。例えば,「I」と入れる。担当部署を加えることは許される。
別紙 裁判所指定信用回復措置2
当社は,平成17年○月○○日(注1),○○(注2)で実施した当社商品説明会において,
(1) 株式会社Bのローソクは「倒れたり,グラついたり」の理由により火災事故につながるおそれがあり,危険である。
(2) 株式会社Bのローソクは,「芯糸が不揃い」との理由により火災事故につながるおそれがあり,危険である。
との説明文書を配布し,貴社に対し,株式会社Bのローソクが粗悪品であるかのような印象を与えました。
上記(1)の事実は虚偽であり,上記(2)の事実は,実際よりも芯糸を不揃いとした写真を添えて告知した点で虚偽ですので,撤回いたします。
今後,かかる行為を行わないことを誓約し,株式会社Bに対し,お詫び申し上げます。
平成 年 月 日
A株式会社
○○(注3) 御中
注1 各商品説明会の開催日時を入れる。
注2 各商品説明会の開催地区を入れる。
注3 参加企業名を入れる。担当部署を加えることは許される。
[平成17年12月13日 東京地裁 平16(ワ)13248号 特許権侵害差止請求権不存在確認等請求事件]
主文(抜粋)
被告は、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞及び産経新聞の各朝刊全国版の社会面広告欄に、別紙謝罪広告目録1記載の広告文を同目録記載の条件で、各1回ずつ掲載せよ。
理由(抜粋)
8 争点(7)(謝罪広告の要否)について
上記4ないし6の認定のとおり、被告が過失により原告に対する不正競争行為を行ったこと、被告の不正競争行為により、原告の顧客らに対する営業上の信用が失墜し、現在も回復していないことが認められるから、その結果、原告の営業上の信用を害したことは明らかである。
したがって、不正競争防止法7条に基づき、原告の営業上の信用を回復する措置を必要とするところ、原告は別紙謝罪広告目録2記載の広告文を求めるが、前記第2の1(5)の事実関係及び前記第4の5の認定判断に照らし、被告に別紙謝罪広告目録1記載の広告文を各新聞紙に掲載させるのが相当である。
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