婿養子;裁判離縁;裁判例~婿養子;裁判離縁~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 私Aの娘Bが,男性Cと結婚しました。
  そして,私AとCが養子縁組をしました。
  俗に言う「婿養子」です。
  その後,娘BとCが離婚することになりました。
  私AとCは離縁したいです。
  Cは離縁に反対しています。
  このような事例に関する裁判例はどのようなものがありますか。


誤解ありがち度 4(5段階)
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A 離縁を認めた一般的な判例や,
  逆に特殊事情により離縁を認めなかった裁判例があります。


【婿養子;裁判離縁;裁判例】
Q私Aの娘Bが,男性Cと結婚しました。
そして,私AとCが養子縁組をしました。
俗に言う「婿養子」です。
その後,娘BとCが離婚することになりました。
私AとCは離縁したいです。
Cは離縁に反対しています。
このような事例に関する裁判例はどのようなものがありますか。

A離縁を認めた一般的な判例や,逆に特殊事情により離縁を認めなかった裁判例があります。

通常であれば,離婚後は養子関係の解消も認められます。
特殊事情があれば,離縁が認められないということもあります。
それぞれの結論を取った判例,裁判例を紹介します。

<離婚後の離縁を認めた裁判例;ノーマルタイプ>
最高裁昭和36年4月7日
養親が,将来自分の後継者にするつもりでCを娘Bの婿養子にした
Cが些細なことでBに暴言を吐いたり暴行を加えたりした
→BC夫婦が不仲になった
→離婚訴訟が提起された
→AとCの対立も深まった
↓離縁請求調停,審判
裁判所の判断;
縁組を継続し難い重大な事由,ありと認めた

<離婚後の離縁を認めなかった裁判例;アブノーマルタイプ>
神戸地裁昭和25年11月6日
Aの娘Bと男性Cが結婚した。
AとCが養子縁組をした。
Cが兵役で出征した。
出征中にBが不貞行為を行った。
Cが帰還した。
Bは不貞相手と逃走(駆け落ち)した。
BCは離婚した。
CはAとの離縁を希望した。
AはCを説得し,養子関係の維持+同居,を要請した。
CはAの説得を受け入れ,離縁しないこととなった。
Cは別の女性と結婚し,子供をもうけた。
Cの妻子は,Aと同居し,関係は良好であった。
その後,AとCの関係が悪化した。
ただし,Aの方に主な原因があった。
(Aの「理不尽な悪感情」が原因であった)

縁組を継続し難い重大な事由,ありとは認めなかった


[民法]
(裁判上の離縁)
第八百十四条  縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一  他の一方から悪意で遺棄されたとき。
二  他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
三  その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
2  第七百七十条第二項の規定は、前項第一号及び第二号に掲げる場合について準用する。


[昭和36年 4月 7日 最高裁第二小法廷 昭34(オ)59号 離縁請求事件]
上告人の上告理由一点について。
 所論は、民法八一四条一項三号に関する原審の解釈、適用を論難するものであるが、右八一四条一項三号にいわゆる「重大な事由」は必ずしも当事者双方または一方の有責事由に限ると解する必要はなく、所論は、結局、その援用の判例の趣旨を正解せず、独自の見解に立つて原判決を攻撃するもので、論旨は理由がない。
 同二点について。
 原審の認定にかかる事実関係のもとでは、本件縁組を継続しがたい重大な事由があるとした原審の判断の相当であることを肯認するに足りるのみならず、円満な親族的共同生活を維持できない状態に立ち至つたことが主として上告人のわがまま勝手なふるまいによることは原判決の行文から容易に看取しうるところであるから、所論は、採用できない。

 (一審判決)
   判  決
 原告 高橋万徳
 原告 高橋キノ
 被告 高橋泰三
   主  文
 原告等と被告を離縁する。
 訴訟費用は被告の負担とする。
   事  実(省略)
   理  由
 原告等が夫婦であり、同人等とその二女正江とが昭和二十年九月九日、被告と養子縁組婚姻をなし、その届出をしたことは公文書として成立を認め得る甲第一号証により認め得られる。
 そして、前記甲号証に、同じく公文書として成立を認め得る甲第二号証乃至甲第四号証に証人高橋正江、同寺本玉江の各証言、原告各本人尋問の結果を考え合わせると、次の事実を認定することができる。
 原告万徳は薬品の販売を業とし、被告は獣医師である。一人息子に先立たれた原告等は世話する人があつて、ゆくゆくは自己の後継とするつもりで、被告を正江の婿養子として迎えたところ、婚姻してから父母の許を去つて、当初は稗貫郡八重畑村の借家に、その後は本籍地の同郡新堀村に新居を構えて同棲生活に入り、その間に一子弘子をもうけたものの、婚姻の年の十一月には早くも原告主張事実第一項中1記載のような出来事が起り不和の兆を生じ、その後は日を経るにつれて不和は深まり、昭和二十二年七月頃までの間に原告主張事実中第一項2乃至4記載のようないざこざが相次いで起つた末、婚姻以来漸く二年を経過したに過ぎない昭和二十二年九月二十二日正江は弘子を伴い父母の許に去つて再び帰らず、同女と被告との婚姻生活はここに事実上の終局を告げるに至つた。
 その後被告との協議離婚に成功しなかつた正江は、被告を相手取り、当裁判所に対し離婚訴訟を提起したところ、第一、二審とも、両者の性格の相違等に基因してその夫婦生活は事実上破綻したものとの認定のもとに婚姻を継続し難い重大な事由あるものとして離婚の判決を受けたが、被告はなおこれを不服として上告し、右事件は目下最高裁判所に係属中である。
 然らばこの事実に、正江、被告がともに晩婚であることその同棲期間が極めて短かつたことをも斟酌すると、両者の融和と円者な夫婦関係の回復はもはや望み難いところといわねばならない。
 さらに、前掲各証拠を綜合すると、原告等は、正江と被告が不和に陥るにつれて、吾子可愛いさからから正江に組して紛争渦中の人となり、原告等と被告の間柄は次第に疏隔から反目えと赴さ、その間昭和二十三年三月には原告主張事実中第一項6記載のような事実があり、その後も例えば同5、8のような出来事も起り、正江が原告等のもとに帰来するに及んで、正江と被告の争は、原告等と被告の争に転じてしまつた感がある。すなわち前記離婚訴訟においても原告等は終始正江の背後にあつてこれを支援したことを推認し得るばかりでなく、昭和二十三年十月十五日、被告が、正江と同棲していた万徳建築の居宅につき万徳に無断で自己名義の所有保存登記をなしたことに端を発して原告万徳と被告間にも紛争を生じて、所有権確認請求事件として訴訟に発展し、第一、二審とも万徳勝訴の判決を受けたが、被告はさらに上告し、これまた最高裁判所に係属している事実を認定することができる。
 以上認定の事実によつて考察すると、正江が原告等の許に帰つた昭和二十二年九月以来、原告等と被告との関係もまた事実上破局を告げ、その後は互にはげしく対立して争訟に明け暮れること実に七年の久しきに及んでいる。原被告は親子の情誼を結ぶ日は浅かつたのに憎悪と反目の歳月のみはいたずらに長く、その確執はもはや解き難いものとなつたことを察するに難くない。訴訟はやがて勝敗いずれに解決しても、それは、これらの訴訟を生ぜしめ、かつ訴訟を経過することにより一層険悪化した、原被告等の感情的対立をまで解決し得るものではあるまいと思われる。してみると原告等にこれ以上被告との親子関係の継続を強制しても両者間の葛藤を一層抜きさしならぬものとするに止まり、円満な親族的共同生活の回復はこれを望むべくもないと認められる。
 然らば、前記の事実は、ことここに至つた責任が原被告いずれにあるかを問うまでもなく、直ちにもつて原被告間の縁組を継続し難い重大な事由あるものとするに足るから、右事由に基き被告との離縁の判決を求める原告等の請求は正当として認容すべきものである。
 よつて、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。
 (盛岡地方裁判所民事部裁判官 須藤貢)

[昭和25年11月 6日 神戸地裁 昭24(タ)26号 養子離縁請求事件]
一、主  文
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
二、事  実
(略)
三、理  由
 当裁判所が眞正に成立したと認める甲第一号証の一、二(戸籍謄本二通)と証人松井薫、同坂田芳枝、同中村富子、同加藤清の各証言と原被告各本人尋問の結果とを綜合すると、原告はその夫坂田義男と大正七年十月三十日死別し、爾來夫の職業であつた浴場業を営み、義男との間に出生した一人娘の二女惠美子を育てて來たが、昭和十六年九月二十五日本家に当る坂田菊二郎の仲介で亡夫の甥にあたる被告と養子縁組をし、同時に被告を惠美子と婚姻させていわゆる壻養子とした、そして被告は同年十一月出征し、同二十一年七月復員帰還したが、その間同十七年二月十一日に長男茂男が出生した。処が妻惠美子は被告の留守中原告方の二階に間借していた平島武と不義を犯し、被告の帰還後旬日を出でずして平島武と共に無断出奔してしまつた。そこで原告も実子惠美子の非行に驚き、親族の者とも相談の上、憤慨する被告をなだめ、被告は坂田家に踏止まることになり、同年九月十七日惠美子と協議離婚し、次いで松井薫の仲介により原告の希望も容れてその姪にあたる芳枝と同二十二年二月二十日頃結婚式を挙げ、同年十一月二十四日婚姻届を了したことが認められる。
 原告は本件離縁の理由として被告が前記の如く原告の実子惠美子と離婚していることを主張するが、旧民法(以下新民法と旧民法を区別する必要あるときは昭和二十二年法律第二二二号による改正前の民法を旧民法と略称し、同法律による改正後の民法を新民法と略称する)第八六六條第九号は家の観念を前提とした規定と解せられ、同法條同号は日本国憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律第三條により昭和二十二年五月三日以降その効力を失つているから、右離婚が昭和二十一年九月十七日で新法施行前の事実に属するの故を以てしても現在においては前記旧民法の規定に基き離縁を求めることは許されない。
 又新民法は養子制度をして旧民法下における如く家の承継者を作ることを主眼とする制度としていないから、被告が原告の実子惠美子と離婚している事実は新民法第八一四條第三号にいわゆる縁組を継続し難い重大な事由ある場合に該当しないから原告のこの主張はそれ自体失当である。
 次に原告は被告が芳枝と婚姻した後、特に昭和二十三年六月頃、被告が原告所有の土地家屋を全部讓れと申出たが原告側の親族が時期尚早を理由に右申出を容れなかつたところ、その後被告はこれを快く思はず被告は毎日の如く原告を罵倒し、又しばしば原告に暴行を加えるのみか、相当の收入があるのに、被告夫婦及び長男の生活費も家に入れず、あまつさえ昭和二十三年七月頃からは一軒の家に住みながら原告と孫、被告夫婦とを二世帶に分ち、女の身ですでに老境に入つた原告に対し扶養義務を盡さず、その上原告が電気及びガスを使用することまで妨害し、原告所有の家財を無断で持出すと出張するが、原告本人尋問の結果により眞正に成立したものと認められる乙第一、二号証と証人坂田芳枝、同加藤清の各証言と原告本人尋問の結果とを綜合すると被告が芳枝と婚姻した当初は別に家庭内に不和はなく、原告が一人で家政一切を司つていたが、そのうちに家政上の不便を除くため、家政を原告と被告夫婦の共同で司るようとの希望が出たり、又平島武の籍に入れる約束になつていた惠美子が分家して坂田姓を称し、平島が入夫婚姻していることが明かとなり、且つ原告家の家財道具類が原告の手により持出され始めたので、親族の中から被告夫婦の将來を慮り、原告名義の財産を被告名義に切換える話が持上り、そのため昭和二十三年六、七月頃原被告双方の親族が集つて協議したが、この話は原告側の親族に当る松井薫から時期尚早を理由として反対され、実現しなかつた処、原告はその頃から被告夫婦を快く思わなくなり、又一方惠美子の出奔直後は原告もその非行を憎んでいたが、月が経つに從い、永年自己一人で育てて來た同女に対する愛着が蘇り、殊に昭和二十四年一月項から惠美子が尼崎、西宮方面に帰來し、ひそかに同人方に出入するに至つて更に惠美子に対する愛着を深めその余り被告夫婦に対する感情は悪化する一方となつたのであるが、前記財産名義書換え問題の起つた直後の昭和二十三年七月下旬頃から原告において自ら被告等親子と食事を別にし、自己は前栽で自炊して自己の寝室で一人食事をするようになり、その後被告夫婦の再三に亘る共同炊事の申出も聴き容れず、その上同二十四年三月頃芳枝が病気療養のため十日間程実家に帰つた機会に原告の孫茂男が食事を共にするようになり、その後は芳枝が原告方に帰つた後もこれを改めずそのため原告方は一家庭でありながら原告と孫、被告夫婦が別世帶を営むようになつたこと、原告方の生活費については原被告が同一世帶で生活していた間は被告はその收入の大部分を原告に渡し、別世帶になつてからも原告等の受ける配給物は被告において買入れて原告に渡しており、原告はその外その所有の家屋の賃料として現在一ケ月金二千円の收入がありこれを自己において費消しているのであつて、被告が原告を疎外しているのではなく、むしろ原告が理不盡な悪感情を懷き被告等をことさらに遠去けようとしているのであつて、ために被告の原告に対する感情も自然平静を欠き勝となり、その間多少の風波のあるのは己むをえないところであるが、さりとて被告が原告に暴行を加えたことはなく唯、昭和二十三年七月頃原告が被告等の使用中の蒲団を取上げようとしたことで原被告が口論したとき被告が昂奮して大声を発するに至つたため原告が隣家の中村富子に救を求め、同人が來たことあり、又同二十四年九月頃芳枝が不在中原告がガスを使用してその後始末が悪くガスが洩れていたので被告が注意するとともに危險を感じてガスの出口を塞いだことはあるが、被告等が原告のガスや電気の使用をことさらに妨害したことはないものと認められ、その他被告等に原告主張のような不都合の所業のあることを認めるべき証拠なく証人松井薫、同山口彦一、同中村富子の各証言及び原告本人尋問の結果中原告主張に副う部分は当裁判所は眞実を傳えるものとは認めない。
 してみると原告の本訴請求は到底認容できないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九條を適用して主文の通り判決する。

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