相続人の1人が行方不明~失踪宣告or不在者財産管理人が必要~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 父が亡くなりました。
  兄弟で遺産分割をしようと思っています。
  しかし,兄弟の1人が行方不明なんです。
  どうしたら良いでしょうか。


誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 「失踪宣告」または「不在者財産管理人選任」が必要です。
  そのままだと遺産分割協議がスタートできません。


【相続人の行方不明と遺産分割協議】
父が亡くなりました。相続人は兄弟3人(ABC)です。
困ったことに,Cが以前から行方不明なのです。
ちなみに,Cには,妻Dと子供Eがいます。
どうしたら良いでしょうか。

→このままでは遺産分割協議ができません。まずはCの失踪宣告を行うべきです。

遺産分割協議は,相続人全員で行う必要があります。
仮に相続人の1人であるべきCが7年以上行方不明,という状況であれば,家庭裁判所に失踪宣告を求めることができます(民法30条1項;普通失踪)。
失踪宣告がなされれば,行方不明者Cは「死亡したもの」とみなされます。
その時期の関係によって,Cの妻Dや子供Eが遺産分割協議に参加すれば「全員が集合した」状態となり,遺産分割が可能となります。
なお,災害で生死不明となった=死亡したと推定される,という場合は違うルールが適用されます。
以上は,災害以外で行方不明となった場合=いわゆる「蒸発」,ということを前提としています。

[民法]
(失踪の宣告)
第三十条  不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2(略)

【失踪宣告のタイミングと遺産分割協議の参加者】
父の遺産分割協議の参加者は,どのように決まるのでしょうか。
Cの失踪宣告と父の遺産分割協議との兼ね合いを教えて下さい。
(前のQ&Aと同じ背景です)

→Cの最後の生存情報から7年経過時点,と,お父様の死亡時点,の前後関係で決まります。

失踪宣告(普通失踪)については,「生死不明の7年間」の満了時が「死亡時期」とみなされます(民法31条)。
簡単に言えば,「最後に生存が確認できた時点」から「ちょうど7年後の時点」です。
同居していた時期や,その後連絡を取れた時期のうち最後の時点,から7年後,ということになります。
以下,分けて説明します。

1 Cが死亡したとみなされた時期(先)→お父様の死亡時期(後)
※「Cが死亡したとみなされた時期」=「Cが最後に生存が確認できた時点から7年後」
お父様の相続開始時点においては,既にCは死亡していた,ということになります。
そうすると,お父様の相続に関して「Cは相続人ではない」ということになります。
ただし,「Cの子供E」は,お父様の直系卑属として「代襲相続人」になります(民法887条2項)。
結局,お父様の相続について,遺産分割協議を行う者(相続人)は,A・B・E,ということになります。

2 お父様の死亡時期(先)→Cが死亡したとみなされた時期(後)
お父様の相続開始時点においては,Cが相続人であった,ということになります。
その後,「Cが死亡した」(こととみなされた)ことにより,Cの財産が,Cの相続人に承継されます。
具体的には,Cの財産である「お父様の相続分」が,Cの相続人に承継されるのです。
Cの相続人については,遺言で特別に定めていない場合は,法定相続によって,妻Dと子供E,ということになります。
この場合,結局,「Cが有していたお父様の相続分」を承継したのは「D・E」ということになります。
お父様の相続について,遺産分割協議を行う者(相続人)は,A・B・D・E,ということになります。

[民法]
(失踪の宣告の効力)
第三十一条  前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3(略)

【不在者財産管理人が遺産分割協議に参加】
Cが行方不明になってから3年くらいしか経っていません。
失踪宣告が使えなそうです。
どうしたら良いでしょうか。
(前のQ&Aと同じ背景です)

→家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選任してもらいます。不在者財産管理人に,遺産分割協議に加わってもらいます。

普通失踪については,行方不明の期間として7年がないと認められません。
このような場合は,家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。
そうすれば,不在者財産管理人が遺産分割協議に参加することができます。
これにより,遺産分割を実現することができるようになります。
なお,「不在者財産管理人」は,遺産分割協議に参加するにあたって,家庭裁判所に許可をもらうことになります。
本来,不在者財産管理人は,「保存行為」だけを行うことになっています(民法28条,103条)。
「遺産分割協議(への参加)」は「保存行為」を超えます。
そこで,イレギュラー事項として,家庭裁判所の許可をもらう必要があるのです(民法28条)。

[民法]
(管理人の権限)
第二十八条  管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条  権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一  保存行為
二  代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

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