他フロアの店舗からの悪臭で困っています。
オーナーに責任追及できませんか。
エレベーターがほとんど使えない問題についてはどうですか。
誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る
↓ランキングはこうなってます↓
↓ このブログが1位かも!? ↓

↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
A 程度がひどければ,オーナーに損害賠償責任が認められます。
また,賃貸借契約の解除が認められることもあります。
【賃貸ビル;他フロアからの悪臭】
当社は,賃貸ビルの1フロアを借りて,衣類販売業を行っています。
別フロアに入居している居酒屋からの「臭い」が結構ひどいです。
衣類に臭いが吸着してしまっています。
ビルオーナーに責任を追及できませんか。
→「受忍限度」を超える程度であれば,賃貸人(オーナー)が損害賠償責任を負います。
賃貸借契約における賃貸人は「賃借人に使用収益をさせる義務」を負っています(民法601条)。
簡単に言えば,「入居者に営業活動をさせる義務」です。
逆に「営業活動の妨害となる状態を除去する義務」と言えます。
本件では,「悪臭に関する解決策を取る」という義務です。
具体的には「悪臭の発生源である入居者に,悪臭発生を止めるよう要請すること」となりましょう。
ただし,僅かでも臭いが発生していたらオーナーに責任が生じる,というわけではありません。
常識的な範囲を超える臭い(悪臭)が発生している場合だけです。
専門用語で「受任限度(を超える)」と言います。
裁判例では,大部分の人が不快感を示す魚の臭い,について,受忍限度を超えたものと認めています(後掲)。
結論的には賃貸人(オーナー)に対し,損害賠償責任を認めました。
[民法]
(賃貸借)
第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
[東京地方裁判所平成14年(ワ)第2421号悪臭防止措置等請求事件平成15年1月27日 ]
(略)賃貸借契約における賃貸人の義務を考えるに、賃貸人には、あらゆる臭いの発生を防止すべき義務があるというものではなく、賃貸借の目的から見て、目的物をその目的に従って使用収益する上で、社会通念上、受忍限度を逸脱する程度の悪臭が発生する場合に、これを放置し若しくは防止策を怠る場合に、初めて、賃貸人に債務不履行責任が生ずるというべきであり、悪臭発生の有無、悪臭の程度、時間、当該地域、発生する営業の種類、態様などと、悪臭による被害の態様、程度、損害の規模、被害者の営業等を総合して、賃借人として受忍すべき限度内の悪臭か否かの判断をすべきである。
本件についてみると、原口の三〇名の顧客が、○○からの魚の臭いについて、かなりの不快感を示しており、主たる商品である婦人服等に魚の臭いが付着し、悪臭によって被害を被った事実が認められ、他方、被告側において、悪臭に関する抜本的な解決策をとらなかったことが認められる。
したがって、被告は、賃借人に目的物を使用収益せしめる義務を怠ったものであるから、原告に対して債務不履行責任を負うというべきである。
【賃貸ビル;混雑によるエレベータ使用困難】
当社は,賃貸ビルの1フロアを借りています。
他のフロアの居酒屋の顧客が高い頻度でエレベーターを使っています。
結局当社の顧客やスタッフは,スムーズにエレベーターを使えません。
ビルオーナーに責任を追及できませんか。
→程度によっては損害賠償や賃貸借契約の解除が認められることがあります。
賃貸ビルでの店舗営業においては,エレベーターのスムーズな利用は非常に重要です。
他のフロアの店舗の顧客によってほぼ間断なくエレベーターが使用されることは問題です。
もちろん,100%エレベーターが利用できなくなるわけではありません。
しかし,現実的に,営業活動に大きな打撃が与えられることでしょう。
このような実際のケースについての裁判例では,「使用収益させる義務」の「『不完全』履行」と認定しています(後掲)。
つまり「債務不履行」の一種です。
賃貸人(オーナー)に対する損害賠償請求が認められることになります。
裁判例においては,「賃借物の一部滅失」のルール(民法611条2項)を類推適用して,契約解除を認めました。
[民法]
(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)
第六百十一条 賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
[東京地方裁判所平成8年(ワ)第12577号、平成9年(ワ)第9947号貸室明渡請求、賃料確認請求事件平成10年9月30日]
(略)本件ビルの賃貸人の原告としては、貸室自体を使用収益可能な状態にしていれば、賃貸人としての使用収益させる義務を履行したとはいえず、貸室の使用収益をさせる前提として、各貸室に至る共用通路や階段、エレベーター等の移動経路についても、単に通路等の空間を提供しさえすれば足りるというものではなく、賃借目的に従った貸室の利用時間帯は、貸室への出入りが常時支障なくできるようにすることにより、貸室を使用収益するのに適した状態に置く義務を負っているものと解するのが相当である。とりわけ、本件ビルにおいては、他に実用可能な段階やエレベーターがなく、六人乗りの狭い本件エレベーターが唯一の昇降手段であることからすると、本来、一五〇人もの顧客が出入りするような大衆居酒屋が、途中階の四、五階に入居することは、本件ビルにとって構造的に予定されていなかったものといえる。そうであれば、本件ビルの賃貸人としての原告は、天狗を入居させたからには、他の賃借人が各自の貸室にたどりつくのに支障がないよう、上下の移動手段ないし経路の確保、増設等の措置を講じるべき義務を負うに至ったものと認めるのが相当である。そして、特に本件三階契約をなした目的が、本件貸室と本件三階貸室との間を被告従業員が行き来しながら被告東京支店としての一体的利用を図る点にあることは、前記1で認定したとおりであるところ、被告の残業時間帯である夕刻以降における本件エレベーターの前記利用状況とこれによってもたらされた、或いは本件三階貸室を実際に利用し始めることにより予想される被告にとっての利便に照らして考えると、本件貸室と本件三階貸室との間を被告従業員が行き来しながら一体的利用を図るという、被告が本件三階貸室契約を締結した目的は、終日不能というわけではなく、かつ、完全に不能というわけではないものの、一部(=夕刻以降の残業時間帯において)において不完全にしか達せられなくなっているものと認めることができる。そうすると、本件三階貸室の賃貸人としての原告には、被告に対し契約の目的を達するべく本件三階貸室を使用収益させる義務について、不完全履行があったものと評価せざるを得ない。そして、白木部長から早乙女に対し、本件エレベーターの利用問題につき善処方を申し入れても、何ら改善がなされず、改善の見込みがなかったのであるから、被告は、原告に対し、民法六一一条二項を類推適用して、本件三階契約を使用収益させる義務の一部不完全履行により解除できる(略)
<<告知>>
みずほ中央リーガルサポート会員募集中
法律に関する相談(質問)を受け付けます。
1週間で1問まで。
メルマガ(まぐまぐ)システムを利用しています。
詳しくは→こちら
無料お試し版は→こちら
<みずほ中央法律事務所HPリンク>
PCのホームページ
モバイルのホームページ
特集;高次脳機能障害
↓ランキングはこうなってます↓
↓ このブログが1位かも!? ↓

↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
不動産に関するすべてのQ&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
弁護士による不動産の法律相談
個別的ご相談等のお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
0120-96-1040
03-5368-6030