当社自身が入札しようと思います。
落札した場合,代金から債権額を相殺して,残額を納付,ってできますか。
誤解ありがち度 4(5段階)
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A 差引納付の申出,が可能です。
【差引納付の申出】
貸金の回収のため,競売を申し立てました。
当社自身で入札したいと思っています。
落札した場合,代金の大部分は配当として戻ってくる予定です。
入札金額と配当額を相殺できないでしょうか。
→「差額」のみを納付するスタイルを取ることもできます。
差し押さえた債権者自身が入札して,対象不動産を取得したい,というニーズはあります。
この場合,結果的に配当として「代金」(の一部)が戻ってくることになります。
それなのに,「代金」全額を納付すると,配当までの約1か月程度の間,つなぎ資金が必要となります。
平成16年の民事執行法の改正により,競売でも同時担保設定が可能となっています。
しかし,つなぎ融資を利用するのは時間・費用のコスト,審査リスクなどを負担することになります。
一時的とは言え,代金全額をキャッシュで調達することは一定のハードルとなるのです。
そこで,「代金」(落札額)と「配当額」の差額のみを納付すればよい,という制度があります。
「差引納付」と呼んでいます(民事執行法78条4項,188条)。
この場合,「差引納付の申出書」を執行裁判所に提出しなくてはなりません。
[民事執行法]
(代金の納付)
第七十八条 売却許可決定が確定したときは、買受人は、裁判所書記官の定める期限までに代金を裁判所書記官に納付しなければならない。
2(略)
3(略)
4 買受人は、売却代金から配当又は弁済を受けるべき債権者であるときは、売却許可決定が確定するまでに執行裁判所に申し出て、配当又は弁済を受けるべき額を差し引いて代金を配当期日又は弁済金の交付の日に納付することができる。ただし、配当期日において、買受人の受けるべき配当の額について異議の申出があつたときは、買受人は、当該配当期日から一週間以内に、異議に係る部分に相当する金銭を納付しなければならない。
5(略)
(不動産執行の規定の準用)
第百八十八条 第四十四条の規定は不動産担保権の実行について、前章第二節第一款第二目(第八十一条を除く。)の規定は担保不動産競売について、同款第三目の規定は担保不動産収益執行について準用する。
【差引納付の利用権者】
差引納付はどのような条件で利用できるのでしょうか。
→「配当金」「弁済金」を受けることが予定される債権者です。
差引納付の申出ができる者は「配当」「弁済」を受けるべき債権者とされています(民事執行法78条4項)。
いずれも,「売却代金から債権の回収ができる」とされている債権者として規定されています(民事執行法84条1,2項)。
配当・弁済を受ける者,の具体的な内容は,民事執行法87条1号各号に規定されています。
原則として,配当・弁済を受ける者であれば,差引納付の申出ができます。
<配当等を受ける債権者の範囲>
1 差押債権者
2 配当要求を行った債権者
3 差押登記前に登記を行った仮差押債権者
4 差押登記前に登記を行った先取特権,質権,抵当権者
[民事執行法]
(配当等を受けるべき債権者の範囲)
第八十七条 売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。
一 差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。)
二 配当要求の終期までに配当要求をした債権者
三 差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者
四 差押えの登記前に登記(民事保全法第五十三条第二項 に規定する仮処分による仮登記を含む。)がされた先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。)
2(略)
【「供託」予定の債権者による差引納付】
仮差押の場合など,あまり確実ではない債権者でも差引納付は利用できますか。
→仮差押債権者で「実際の配当」ではなく「供託」がなされる予定の場合は差引納付の申出はできません。
「配当」の中には,「現実の支払」ではないものもあります。
条件付きの債権や,仮差押などです。
実際には,このような債権については,暫定的に配当をプールしておくことになります。
具体的には法務局に「供託」がなされます(民事執行法91条)。
このような債権の債権者は,「差引納付」は利用できません。
(落札の)「代金」と「配当」が相殺できる状態ではないので,当然ではあります。
[民事執行法]
(配当等の額の供託)
第九十一条 配当等を受けるべき債権者の債権について次に掲げる事由があるときは、裁判所書記官は、その配当等の額に相当する金銭を供託しなければならない。
一 停止条件付又は不確定期限付であるとき。
二 仮差押債権者の債権であるとき。
三 第三十九条第一項第七号又は第百八十三条第一項第六号に掲げる文書が提出されているとき。
四 その債権に係る先取特権、質権又は抵当権(以下この項において「先取特権等」という。)の実行を一時禁止する裁判の正本が提出されているとき。
五 その債権に係る先取特権等につき仮登記又は民事保全法第五十三条第二項 に規定する仮処分による仮登記がされたものであるとき。
六 仮差押え又は執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないとき。
七 配当異議の訴えが提起されたとき。
2(略)
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