Q 不動産の時効取得で,占有スタートで「契約」がなく,曖昧な感じでした。
時効になるでしょうか。
また,長年の占有は全体の期間を立証しなくてはならないのでしょうか。
誤解ありがち度 3(5段階)
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A 占有スタート時に「客観的外形的」な契約がなくても時効が成立することはあります。
占有継続の立証は,スタートとゴールの2地点でOKです。
【客観的占有取得原因が曖昧なケース】
特に「契約」がないまま占有をスタートした場合は,「所有の意思」は認められないのでしょうか。
→明確な「契約」がなく,曖昧な形の占有スタートでも「所有の意思」が認められた例があります。
判例の理論によれば,客観的な「契約」が「所有の意思」の決め手となるとされています。
しかし,絶対に「契約」が必須かというとそうではありません。
裁判例で,次のような事例があります(後掲)。
<事案の概要>
親族の一部が「実家」を去った
親族の1人(占有者)が「実家」に残った
占有者は,民法を誤解し,長男が相続する(旧民法の「家督相続」)と誤解していた
占有者は自分が「売主」として対象不動産を売却した
↓
「所有の意思」が認められた
[東京高等裁判所昭和51年(ツ)第39号所有権移転請求権不存在確認等請求上告事件昭和52年7月19日]
思うに、占有の取得が法律行為、行政処分等の法律上の原因(その有効、無効は別として)に基づく場合には、当該占有が民法一六二条一項の取得時効の要件たる所有の意思をもつてする占有、すなわち自主占有といえるためには、右法律上の原因が売買・贈与・売渡処分のように所有権の移転を目的とするものであることがまず必要であり、しからざるとき、すなわち賃貸借、寄託等によつて占有が取得されたときは、たとえ占有者において主観的には目的物が自己の所有に属するものと考えていたとしても、その取得原因の客観的性質上自主占有とは認められない。しかしながら、右と異なり占有の取得が明確な法律上の原因に基づかない場合、例えば占有取得者において所有権移転を生ぜしめる原因が客観的には存在しないのに存在するものと誤信し、目的物が自己の所有に属するものと信じていたような場合については、法律上の原因が欠けていることから直ちにその占有を自主占有とはいえないと結論すべきではなく、時効制度の趣旨に照らして考えれぱ、当該占有の取得の経緯、その後の態様等を検討し、占有が客観的外形的に抱て所有者としての意思をもつてなされているものと認められるような事情が存在するときには、その占有をもつて自主占有と認めるのが相当である。
【占有「継続」の立証】
「占有」の立証は,10年とか20年という継続的な期間全部を立証しなくてはならないのでしょうか。
→基本的には,「占有開始時」と「時効完成時点」(=10年or20年経過時点)の2時点の占有を立証すれば良いです。
理論的には,時効取得の完成のためには,占有が一定期間(10年or20年)継続していることが必要です。
しかし,これを立証しようとすると,「各時点」について連続的に立証が必要,ということになります。
現実的に非常に困難です。
そこで,「占有開始時」と「時効完成時点」の2時点における占有だけを立証すれば,「その間の期間」については,「推定」されることになっています(民法186条)。
仮に,この2時点の間で,占有が継続していない部分がある場合は,否定する側(被告)が「占有が欠落していること」を立証すれば,「推定」が覆ることになります。
なお,「時効完成時点」とは,占有開始から10年または20年が経過した時点のことです。
[民法]
(占有の態様等に関する推定)
第百八十六条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2 前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
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特に「契約」がないまま占有をスタートした場合は,「所有の意思」は認められないのでしょうか。
→明確な「契約」がなく,曖昧な形の占有スタートでも「所有の意思」が認められた例があります。
判例の理論によれば,客観的な「契約」が「所有の意思」の決め手となるとされています。
しかし,絶対に「契約」が必須かというとそうではありません。
裁判例で,次のような事例があります(後掲)。
<事案の概要>
親族の一部が「実家」を去った
親族の1人(占有者)が「実家」に残った
占有者は,民法を誤解し,長男が相続する(旧民法の「家督相続」)と誤解していた
占有者は自分が「売主」として対象不動産を売却した
↓
「所有の意思」が認められた
[東京高等裁判所昭和51年(ツ)第39号所有権移転請求権不存在確認等請求上告事件昭和52年7月19日]
思うに、占有の取得が法律行為、行政処分等の法律上の原因(その有効、無効は別として)に基づく場合には、当該占有が民法一六二条一項の取得時効の要件たる所有の意思をもつてする占有、すなわち自主占有といえるためには、右法律上の原因が売買・贈与・売渡処分のように所有権の移転を目的とするものであることがまず必要であり、しからざるとき、すなわち賃貸借、寄託等によつて占有が取得されたときは、たとえ占有者において主観的には目的物が自己の所有に属するものと考えていたとしても、その取得原因の客観的性質上自主占有とは認められない。しかしながら、右と異なり占有の取得が明確な法律上の原因に基づかない場合、例えば占有取得者において所有権移転を生ぜしめる原因が客観的には存在しないのに存在するものと誤信し、目的物が自己の所有に属するものと信じていたような場合については、法律上の原因が欠けていることから直ちにその占有を自主占有とはいえないと結論すべきではなく、時効制度の趣旨に照らして考えれぱ、当該占有の取得の経緯、その後の態様等を検討し、占有が客観的外形的に抱て所有者としての意思をもつてなされているものと認められるような事情が存在するときには、その占有をもつて自主占有と認めるのが相当である。
【占有「継続」の立証】
「占有」の立証は,10年とか20年という継続的な期間全部を立証しなくてはならないのでしょうか。
→基本的には,「占有開始時」と「時効完成時点」(=10年or20年経過時点)の2時点の占有を立証すれば良いです。
理論的には,時効取得の完成のためには,占有が一定期間(10年or20年)継続していることが必要です。
しかし,これを立証しようとすると,「各時点」について連続的に立証が必要,ということになります。
現実的に非常に困難です。
そこで,「占有開始時」と「時効完成時点」の2時点における占有だけを立証すれば,「その間の期間」については,「推定」されることになっています(民法186条)。
仮に,この2時点の間で,占有が継続していない部分がある場合は,否定する側(被告)が「占有が欠落していること」を立証すれば,「推定」が覆ることになります。
なお,「時効完成時点」とは,占有開始から10年または20年が経過した時点のことです。
[民法]
(占有の態様等に関する推定)
第百八十六条 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
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