特別縁故者の判断基準~複数人,部分的もある~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 永年同居してきた夫が亡くなりました。
  実は,入籍していないので「内縁」です。
  特別縁故者と認めてもらえるのでしょうか。


誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 判断基準はありますが,裁判所の裁量が大きいです。
  複数人が認められることもあれば,一定割合だけ,という中間的な判断もあります。


【縁故の判断要素】
縁故が濃いかどうかは,どのような事情から判断されるのでしょうか。

→縁故関係の分析に加えて,相続財産の内容も検討対象です。

<特別縁故者の判断要素(例)>
(縁故の内容)
・被相続人と特別縁故者との縁故関係の厚薄,度合
・特別縁故者の年齢,職業
(相続財産の内容)
・相続財産の種類,数額,状況,所在

[広島高等裁判所平成14年(ラ)第113号特別縁故者に対する相続財産の分与申立認容審判に対する即時抗告申立事件平成15年3月28日]
 民法958条の3の規定に基づいて相続財産を特別縁故者に分与するに当たっては,家庭裁判所の裁量に委されているところ,家庭裁判所は,被相続人と特別縁故者との縁故関係の厚薄,度合,特別縁故者の年齢,職業等に加えて,相続財産の種類,数額,状況,所在等の記録に現れた一切の事情を考慮して,上記分与すべき財産の種類,数額等を決定すべきものである(略)

【分与される財産の範囲】
特別縁故者として認められた場合,遺産はすべて相続できるのでしょうか。

→「一部」だけの相続ということもあります。これも含めて家庭裁判所の裁量に委ねられています。

「縁故」の濃淡を裁判所が判断します。
そこで,「一部」の相続を認める,ということも可能となっています。
つまり,「100%を渡す程,関係が濃くなかった。かと言って,一切相続させない,という程関係が薄かったわけではない」という場合に,部分的に相続を認めるという判断もあり得るのです。
<事例>
・相続財産のうち,有価証券・現金・動産のみを分与した(裁判例後掲)
・相続財産(預金)が約212万円に対し,40万円に限って分与した(審判例後掲)

[高松高等裁判所昭和48年(ラ)第40号特別縁故者に対する相続財産処分の審判に対する即時抗告事件昭和48年12月18日]
本件被相続人と抗告人との縁故関係、その同居期間、抗告人が病弱な被相続人の生活の面倒をみた度合、本件相続財産の種類、内容、その時価額等諸般の事情を綜合して考えると、抗告人に対しては、本件相続財産のうち、原審判添付の別紙財産目録記載の2の有価証券、同3の現金および同4の動産全部を与えるのが相当であって、その余の遺産はこれを与えないのが相当というべきである。

[大阪家庭裁判所昭和38年(家)第2521号相続財産処分事件昭和38年12月23日]
申立人が民法第九五八条の三に定める特別縁故者に該当することは明らかである。そこですすんで申立人に分与すべき財産の程度について案ずるに、叙上の実情、殊に上記認定(六)に記載のとおり売買手数料として金三〇万円が正当に支払われていること、立替金等償還の経緯(殊に花子の死後一〇〇箇日間の申立人の労務の提供等に対して、当然に支払われるべきものとはいえ、金一〇万円がすでに支出されていること)の外、相続財産管理人が保管する相続財産の現況(富士銀行○○支店に普通預金として昭和三八年一、二月四日現在二一二万一、七二四円、その他小口の預金若干の有価証券等。その明細は昭和三八年一二月六日付管理人の報告書に明らかである)を考慮すると、金四〇万円を分与するのが相当である。

【複数の特別縁故者】
複数の者が特別縁故者になることはあり得るのでしょうか。

→あり得ます。特別縁故者の人数,それぞれが承継する財産,なども含めて裁判所の裁量は広く設定されています。

それぞれの者について,特別縁故者か否かが検討され,複数認められた場合の各自の分与額は,その実質的な縁故の度合いによって変わります。
裁判例においては,約7対約3という分与の割合が定められたケースもあります(後掲)。

[広島高等裁判所平成14年(ラ)第113号特別縁故者に対する相続財産の分与申立認容審判に対する即時抗告申立事件平成15年3月28日]
(略)特別縁故者と認められる者が複数存在する場合には,前記民法958条の3第1項の規定の趣旨に照らし,具体的,実質的な縁故の濃淡を中心にしてその程度に応じた分与がなされるべきものと解するのが相当である。
(略)
 そして,一件記録に照らすと,被相続人を自宅に同居させて以来約19年間もの長期間,家族の協力を得て被相続人の療養,看護に努めてきた抗告人光作の特別縁故は,相手方の被相続人の財産管理を中心とした前記認定の特別縁故に比べるとこれよりは相当濃密なものであり,その程度の割合は,抗告人光作が7,相手方が3の程度のものと認めるのが相当である。
  この割合に基づき,前記認定の各財産の内容(動産は評価額ゼロとして扱う。)及びその管理状況等を考慮すれば,抗告人光作には別紙物件目録記載2(1)イ,(2),(3)イないしエ,キ,クの各預金(金額合計3429万2355円・全体の約69.3%)を,相手方には同目録記載1(1),(2)の不動産(本件土地建物),2(1)ア,(3)ア,オ,カの各預金及び3の動産(評価額等合計1516万3119円・全体の約30.7%)をそれぞれ分与するのが相当と認められる。

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