返済時期を決めない金銭貸借~いつ返還請求できる?~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 事業をしている知人にお金を貸しました。
  特に期限は決めていません。
  「今すぐ返還してくれ」と請求できますか。


誤解ありがち度 3(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 督促→「相当期間」経過後→請求できます。
  「相当期間」は1週間程度です。
  お急ぎの事情がある方には「仮差押」というメニューがあります。


【返還時期の定めのない消費貸借】
事業をしている知人にお金を貸しました。
特に期限は決めていません。
「今すぐ返還してくれ」と請求できますか。

→督促後,「相当期間」経過後に請求できます。つまり一定の猶予期間は必要とされます。

お金の貸し借り(金銭消費貸借)が,知人同士のような親しい仲で行われた場合,明確に返済期限を決めないこともあります。
この場合は,貸主としては,借主に対し「相当の期間」を定めて「返還の催告」をすることができます(民法591条1項)。
「相当期間」が経過した後に,正式な「請求」ができるようになります。
逆に言えば,「即刻返済する」ということにはならないのです。

[民法]
(返還の時期)
第五百九十一条  当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
(略)

【相当期間の日数】
「相当期間」とは何日でしょうか。

→1週間前後と考えられています。

条文上「相当の期間」としか記載されておらず,日数までは明記されていません。
取引上一般に必要とされる期間,と解釈されています。
そして,「一般に必要とされる期間」としては,平均的な場面では1週間前後であると考えられています。
勿論,個別的な特殊事情があれば違ってくることもありましょう。
ただし,実際には,本当に「特殊事情」がある場合は,それに対応して「返済期限」や「猶予期間」を明確に設定していることが多いでしょう。
明確に合意していなくても,金銭貸付の経緯から,黙示的に,「返済期限」や「猶予期間」を設定したと言えることもあるでしょう。

【相当期間経過前の仮差押】
事業をしている友人に貸したお金を返してもらいたいです。
どうも,資金繰りが悪化しているようで,入金された現金を他の返済に回されると,回収できなくなりそうなのです。
今すぐに返還してもらうことはできないのでしょうか。

→仮差押であれば,「相当期間」経過前でも財産を押さえることができます。

返済期限を決めていない場合は,催告(請求)から1週間程度経過しないと,法的な「請求」はできません。
つまり,「財産の差押え」ができるのは,1週間程度経過した後,ということです。
今すぐに押さえたい場合は,仮差押の手続きによれば可能です。
この場合,「先行して仮に押さえないと,後からでは押さえられなくなる」という事情がないとできません。
借主の資金繰りの悪化について,一定の証明をしなくてはなりません。
証明は簡易なもので良いとされています。
これを疎明(そめい)と呼んでいます。

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