これを部屋ごとに分ける(単独所有)ことはできますか。
勇み足裁判例,に注意!
誤解ありがち度 5(5段階)
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A 「区分所有」として現物分割することになります。
訴訟でも可能と思われます。
【区分所有を利用した共有建物の共有物分割】
1棟のビルがAB共有となっています。
部屋ごとに,AかBの単独所有にすることはできるのでしょうか。
→区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)の適用により各専有部分についてAかBの単独所有にできます。
本来,1つの物体,については,部分ごとに分けて所有者が違う,ということはできないはずです。
一物一権主義,というものです。
しかし,ビルやマンションのような大きな物体については,実際に,個々の部分(占有部分)が独立して使えるようになっています。
そこで,区分所有法によって,個々の専有部分ごとを所有権の対象(客体)とすることができます。
区分所有法の適用がある場合,登記も各専有部分で単独の登記ができることになります。
【区分所有の対象建物】
どのような建物でも区分所有にできるのでしょうか。
→構造上の独立性,利用上の独立性が必要です。
区分所有法の適用を受けるためには,対象となる建物自体について次のような条件が必要とされます(区分所有法1条)。
<区分所有の客観的要件>
・構造上の独立性
・利用上の独立性
[区分所有法]
(建物の区分所有)
第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
【区分所有とした上での共有物分割(現物分割)】
ABの2人で1棟のビルを共有しています。
専有部分ごとにABで分けてそれぞれ単独所有したいです。
しかしBが一切話し合いに応じません。
どうしたら良いでしょうか。
→共有物分割請求訴訟を提起すれば,判決で専有部分ごとに単独所有とできる可能性があります。
「現物分割」の1種です。
土地であれば,線を引いて2つに分ければ,それぞれを単独所有とすることができます。
要は分筆するということです。
しかし,建物の場合,原則として,「分筆」のように部分ごとに分ける,ということができません。
現物分割はできないのが原則です。
しかし,区分所有とすれば,結果的に「1つの建物がバラバラになる」と言えます。
判決で「区分所有とした上で,それぞれの専有部分をA・Bに割り振る」ということも可能であると思われます。
【区分所有の登記なしでの現物分割判決(否定例)】
登記上,区分所有になっていない建物について,判決で現物分割ができるのでしょうか。
→登記上区分所有になっていなくても判決後に区分所有の登記をすれば良いと思われます。ただし,「区分所有にする」ということを否定した裁判例もあります。
この裁判例では,共有物分割に抵抗した被告が「建物の図面」を提出しませんでした。
そこで,裁判所は,「区分所有登記ができない」という理由で現物分割を採用しませんでした。
しかし,この裁判例には批判が強いです。
区分所有とするためには「建物図面が必要」という理論はありません。
「区分所有登記が必要」という理論もありません。
むしろ,判決により区分所有が確認されたら,そのとおりの登記が「判決を元にして」できるのです。
いずれにしても,この裁判例により,「区分所有による現物分割」が否定されたことにはならないと思われます。
[東京地方裁判所平成17年(ワ)第25671号共有物分割等請求事件平成20年5月27日(抜粋)]
本件建物は,地下1階付き8階建て建物であり,その構造上,専有が可能な部分と共用部分とに分かれており,区分所有建物となり得るが,区分所有権の登記をするには,被告らが保有する本件建物の建築図面が必要であるのに,被告らがこれらの提出に応じないため,本件建物を区分所有する方法による現物分割が事実上困難となっていることは前示のとおりである。したがって,本件建物の現物分割は,現状のままでは事実上困難といわざるを得ない。
【区分所有の登記なしでの現物分割判決(肯定)】
区分所有の登記ができなくても現物分割が認められることもあるのでしょうか。
→十分にあります。
区分所有が成立するためには,登記などは関係なく,次のような要件が必要です。
<区分所有の成立要件>
(1)建物が構造上及び利用上独立した数区の部分からなる(客観的要件)
(2)区分所有する意思を外部に表明する(主観的要件)
→この「意思表明」の一例
・区分所有登記の申請行為
・分譲マンション販売の広告
共有物分割請求訴訟の判決で区分所有とすることを明言すれば,(2)の意思表明に代わるものとなります。
建物の図面がない場合は,測量等を事後的に行えば済むことです。
少なくとも,区分所有法の条文・解釈において,「登記が前提条件」とされていることはありません。
[区分所有法]
(定義)
第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
(略)
【登記前の区分所有成立】
登記しなくても区分所有となる例はありますか。
→一部(専有部分)を譲渡したり,担保権の設定などで,区分所有が成立すると解釈されています。
まず,1棟の建物(ビルやマンション)を単独所有していた場合でも,その後,一部(専有部分)を他者に譲渡した場合は,区分所有が成立します(大判昭和4年2月15日
)。
つまり,区分所有の登記をする前であっても,区分所有が成立している,ということです。
同様に,区分所有の登記がなくても,一部(専有部分)に質権や抵当権を設定できると考えられています。
なお,区分所有法の条文上も,「元々1棟の単独所有でも区分所有が成立する」ことを前提とした条文があります(32条)。
いずれにしても,「区分所有の登記」は効力要件ではない,と解釈されているのです。
[区分所有法]
(公正証書による規約の設定)
第三十二条 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、第四条第二項、第五条第一項並びに第二十二条第一項ただし書及び第二項ただし書(これらの規定を同条第三項において準用する場合を含む。)の規約を設定することができる。
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