仮に勤務態度が悪かった場合はどうでしょうか。
また,いつまで請求できるのでしょうか。
これまた,簡単そうで複雑ですよ!
誤解ありがち度 4(5段階)
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A 従業員退職金は「ルール」によって明確に決まります。
役員の場合は,別ですが,「従業員兼任」というケースに注意!
退職金の時効は従業員が5年,役員は10年が基本です。
【従業員退職金】
会社を退職しました。退職金は請求できないのでしょうか。
→規程などで定められていれば請求できます。
実際には,「就業規則」の中で,「退職慰労金については別途定める退職慰労金規程による」などと書いてあり,退職金のルールだけ別の規程で定められていることが多いです。
また,労働協定において定められていることもあります。
呼称についてですが,このように「退職慰労金」と言うことがありますが,「退職金」と同じ意味です。
法律上は「退職手当」という表現を用いています。
そして,退職慰労金規程で,在職年数や退職の理由によって,退職慰労金の算出式が定められているという場合が多いです。
退職慰労金規程や労働協定で,上記のように,機械的・客観的な算定式で決められている場合は,勤務先としての裁量はありません。
つまり,退職金は請求権として認められる(請求できる)ことになります。
【成績不良・懈怠の従業員の退職金】
業務を真面目に行わないために退職に至った従業員でも退職金は発生するのでしょうか。
→懲戒解雇など,一定の条件に該当する場合は,退職金を支給しない,という規程になっているケースが多いです。
就業規則等の明文のルールで,「懲戒解雇の場合には退職金を不支給とする」等の規定があれば,この規定は有効です。
懲戒解雇の事例については,退職金は発生しません。
しかし,このような規定がないのであれば,会社は退職金の支払義務を免れないことになります。
なお,懈怠・成績不良などの事情があっても,「懲戒」未満,という場合は,ルールに基づかないで退職金をカットすることはできません。
【役員退職金】
役員の退職金でも同じでしょうか。
→取締役の退職金は,「株主総会で決める」ことが原則となっています。
まず,取締役・監査役といった「役員」は一般に「従業員」ではありません。
取締役は株主から経営を任せられている存在です。
直接は労働法の適用を受けません。
また,取締役については,「依頼を受けた取締役が自分自身の取り分を決める」のを自由にすると不正が生じる,という発想があります。
そのため,会社法上,取締役の報酬を決めるプロセスには株主が直接関与することとされています(会社法361条)。
監査役は,経営陣,つまり取締役を文字どおり「取り締まる」,つまり「監視する」役目を負っています。
「監視される」取締役に自身(監査役)の報酬を決定する権限がある,というのは監視の目を緩めることにつながります。
そこで,監査役の報酬についても,株主が決定に関与することとされています(会社法387条)。
「報酬」には,「退職金(退職慰労金)」が当然含まれます。
退職金の決定についての具体的方法としては,個別的に株主総会で金額を決議することも可能です。
ただし,実際には,「定款で基本的な事項(上限など)を定め,やや細かい算定方法は『役員退職慰労金規程』などの別のルールとして明文化しておく」という方法を取ることがほとんどです。
[会社法]
(取締役の報酬等)
第三百六十一条 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容
2 前項第二号又は第三号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。
(監査役の報酬等)
第三百八十七条 監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
2 監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。
3 監査役は、株主総会において、監査役の報酬等について意見を述べることができる。
【兼務取締役(役員・従業員の立場併存のケース)】
役員の場合は,結局,支給ゼロ,となる可能性もあるのでしょうか。
→理論的には,確実な役員退職金,というのはありません。ただし,状況から,「従業員としての立場も併存する」という場合は,従業員の退職金は生じます。
実際には,実質的に従業員という側面を持つ「役員」も多く存在します。いわば「名ばかり役員」です。
従業員としてであれば,一般の(従業員の)退職慰労金規程や労使協定に基づいた退職金が発生します。
【従業員としての立場の判定】
どのような場合に,役員と従業員の立場が併存することになるのでしょうか。
→勤務実態,業務の裁量の幅,報酬額(収入)などにより総合的に判断されます。
「役員」という肩書であっても,場合によっては割合的に従業員としての性格を持つとして,(従業員としての)退職金の支給が認められる裁判例も多くあります。
具体的な勤務実態,業務における裁量の大きさ,報酬(収入)の大きさなどから総合的に,判断することになります。
【退職金の消滅時効】
退職金はいつまで請求できるのでしょうか。
→従業員の退職金は退職後5年です。役員の退職金は10年とされる例が多いです。
消滅時効については,一般の「賃金」に関しては2年,「退職手当」だけは5年,と規定されています(労働基準法115条)。
なお,正確には,「支給日」(支給されるべき日=請求できる日)から5年という意味です。
退職金規程などのルールで支給日が決められているはずです。
消滅時効が完成するのは,その「支給日」から5年,ということになります。
役員の退職金については,労働法の適用はありません。
そこで,一般の商事時効として5年とされる見解もあります。
しかし,多くの裁判例では,民法上の10年(167条1項)が適用されています。
[労働基準法]
(時効)
第百十五条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
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