自転車の交通事故の特徴~かもしらない運転vsだろう運転~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 自転車による交通事故の特徴はありますか。
  あまり大事故にはならないのではないでしょうか。


ある取材でもらった疑問(質問)です。
サイクリストの視点も交えて説明します。
なお,既にいただいた質問に関連テーマもありますので,その前置き的に。

誤解ありがち度 2(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 子供に注意!「危険性」と「その認識」(=フォロー体制)の乖離が非常に大きい!

【自転車事故の特徴】

→危険性は大きいけども,きちんと理解している人が少ないと思われます。

・低年齢層が関与することが多い
自動車のような免許制度がありません。
言うまでもなく,自転車は,小中学生・高校生の有力な移動手段です。
低年齢の子供は「無茶」をする傾向にあります。
自転車事故を起こす中で子供が関与することも当然多いです。

・親の責任が否定されることが多い(子供が加害者の場合)
小中学生・高校生への責任追及では,差押対象財産がほとんどないことが多いです。
親権者への責任は理論上認められるのはかなり限定的です。
自動車の場合,自動車の保管者(運行供用者)にも責任が認められますが,自転車の場合はそのような規定(法律)はありません。
故意の犯罪(殺人等)や「無免許運転(自動車・自動二輪車)」であれば,親権者に監督責任が認められやすいですが,自転車の場合,乗ること自体は合法的なので,監督者責任が拡がりません。

・保険の適用ができないことが多い
自動車のような強制保険の制度はありません。
自転車事故を対象とする賠償保険もほとんどありません。
各種の保険のオマケとして個人賠償特約が付いている商品はありますが,あまり流行っていないようです。

・自転車運転に対する危険意識が低い
自動車は危険であることが当然の前提なので,以下のような対策が取られています。
自転車の場合は,「危険性が低い」という認識の下,同様の制度はありません。
<自動車にはあるが自転車にはない制度>
免許制度(点数制度などによる取消などの運用含む)
取り締まり(反則金などのペナルティー)
 (泥酔での自転車運転など,一定の行為に対しては罰金等が適用されます)
責任の拡大(運行供用者責任)
強制保険制度

各運転者も,「交通ルールが適用されている」「守る」という認識が薄いです。
次のような「非常識運転」は良く見られる風景となっています。
・ヘッドホンで大音量でミュージックを聞きながら運転する
・携帯のメールを見ながら運転する
・スピードを出して歩道を走る

手信号が流行らない,というのも危険性がないという認識が元になっているのでしょう。

【自転車は危険性が少ないという誤解】
自転車によって起こされた交通事故で,損害額が数千万円になるケースは多いです。
大部分は,走行中の自転車が歩行者に接触し,歩行者が転倒して,その衝突の具合が悪く,後遺障害に至るか,死亡に致るという事例です。
このような,大きな損害に至るケースでの被害者は高齢者が比較的多いです。

【「かもしれない運転」は自転車も同じ】
自動車を運転する際は,「ちょっとした不注意(ミス)で大事故になる」ということは通常認識していると思います。
自動車教習所での「『だろう運転』はダメ!『かもしれない運転』『かもしらない運転』をしましょう」という教えを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
その一方,自転車に乗る時に,「かもしれない運転」の標語を想定している方はあまりいないようです。
<ポイント>
高齢者が歩行すること自体は何ら責められるべきことではありません。
逆に言えば,自転車を運転する時点で,「高齢者も歩いている」「ちょっとした衝突で死亡や重大な傷害を引き起こすかもしれない」と認識すべきなのです。

科学研究・法律問題の解決法は「だろう運転」と「かもしれない運転」のミックスです。
多くの仮説を立てて(~だろう),それぞれの矛盾点,不整合をさらにピックアップしまくります(~かもしれない)。
その両方によって「精度の良い仮説」(法律構成)が出来上がるのです・・・
というのは置いといて。


ということで,今回は大雑把な概観でした。
責任を分析すると,複雑なことになってきます。
それはまた別の話し。

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