離婚調停・訴訟の「管轄」~遠い裁判所だと大変!~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 離婚の話し合いが行き詰まっています。
  調停や訴訟をする場合,どこの裁判所になるのでしょうか。

別居なさっているようですね。
遠い場合や経済的に厳しい場合,夫婦間の事情よりも大きい問題になります。
近いとこor遠いとこ。ちょっと注意が必要です。

誤解ありがち度 3(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 調停は相手方,訴訟は原告・被告のどちらか(の近くの家庭裁判所)

非常に分かりやすく,かつ荒削りに回答しました。
専門家に見られたらボコボコにされます。
その分詳しく順に説明します。  

【離婚の調停はどこへ】
→相手方の住所地近くの家庭裁判所です。

正確には「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」とか言います。
要は,相手方住所の近くの家庭裁判所ということです。
住所から具体的な該当する裁判所を探すには裁判所のページを。
【家事審判規則129条】
調停事件は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄とする。

【「住所」ってなに?】
→実際に居住しているところです。住民票上の住所ではありません。

ここでの「住所(地)」とは,実際に居住している場所のことを言います。
住民票はそのままで家を出て別居している,ということが多いですが,住民票上の住所はあくまで参考に過ぎません。
実際の居住地が基準です。

【離婚自体ではなく,子の引渡などを求める調停は?】
→相手方の住所地近くの家庭裁判所です。

夫婦間の問題についての調停は,離婚調停も含めて同じ管轄の決め方になっています。
次のようなものが典型です。
・離婚調停
・内縁解消調停
・婚姻費用分担金請求(変更)の調停
・養育費請求(変更)の調停
・子の監護権者指定(変更)の調停
・子の親権者指定(変更)の調停
・子の引渡を求める調停
・夫婦の同居に関する調停
・財産分与を求める調停

【離婚訴訟はどこへ】
→原告または被告の住所近くの家庭裁判所です。

以前は,「夫婦で同居していた最後の住所」なども入っていましたが,現在は法改正でシンプルになっています。
離婚系に慣れていない弁護士さんだと「最後の住所」とか言ってしまうでしょう。
いずれにしても,調停とは違って申し立てる側(原告)の住所近く,もOKとなっているんです。
【人事訴訟法4条1項】
人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。

【将棋の飛車先の歩】
ここまでをまとめると。
調停は「起こされる側」が近くの裁判所になります。
先手不利,後手有利。
丁度,居飛車の場合の飛車先の歩の交換と同じです。
不思議な感じなのですが,先手は肝心な時に「歩切れ」を生じるのです。
複雑なんですね・・・将棋だけなく「訴訟」もまた複雑。

続き行きましょう。

【遠く離れたそれぞれの実家に別居中。という場合は原告有利?】
→確かに,近くの家庭裁判所を選べます。しかし,その後変更されるリスクもあります。

条文上,原告の住所近くの家庭裁判所に離婚訴訟を提起できます。
「早い者勝ち」というような感じもあります。

【遠い場所の家庭裁判所に離婚訴訟を提起された場合の対抗策】
→「移送申立」をすることができます。

不便な裁判所に申立をされた方は,「移送」を裁判所に要請することができます。
裁判所としては,実際に不当な状態になっているか,要は,移送した方が良いか,維持すべきか,を検討します。

【裁判所の移送に関する判断】
→当事者双方の仕事・経済状態や育児の都合,子の年齢や調査の必要性などが重要です。

具体的な典型例を示します。
「+」は,その当事者に近い裁判所を選ぶ方向に働く事情です。「-」はその逆です。
<例>
・経済的に窮状にある→+
・仕事や育児で移動時間を取りにくい→+
・調停の中で,子の意向を調査する予定である→+(子が居る方の当事者が優先)
・経済的に余裕がある→-
・時間的に余裕がある→-

【遠い裁判所で調停や訴訟を行う場合,裁判所近くの弁護士に依頼すべき?】
→一般的には,お住まいや勤務先の近くの弁護士が良いと思います。

出廷については,確かに,係属する裁判所の近くの弁護士が便利です。
しかし,調停・訴訟を進める局面では,ご依頼者との打ち合わせが非常に重要です。
ご依頼者に近い弁護士が良いと思います。
この場合,出廷について,日当や交通費がかかってしまうことにもなります。
これに関しては,訴訟において,実際には法廷に行かず,電話でやりとりする「電話会議システム」を使う場合もあります。

【遠い裁判所に行くための交通費や日当などは請求できる?】
→できません。

管轄という法律のルールによって決められたことなので,「違法」ということは言えません。
要は,このような時間・費用・エネルギー的なコストは,「結婚」という契約に含まれるリスクであった,ということなのです。
原発を作って稼働した以上,廃棄物も次世代以降含めて管理してかなきゃいけないってのと同じく。
スケールというか,いろいろ違いますが・・・

管轄に戻って。
例外もありますよ!
例えば,意図的に,嫌がらせのためだけに無駄に遠い場所に引っ越した,などという極限的な悪質な場合です。
そんなことありえんやろ!とお思いかもしれません。
でも,「管轄ルールの悪用で面白いことが起きた」というのは結構あります。
判例6法とかの,民事訴訟法の「管轄」のセクションを見ると「猛者の集い」状態となっていますがこれはまた別の話し。

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