自動車の保険~自賠責と任意保険(と原賠責)~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 車を運転する場合に入っておくべき保険について教えて下さい。

細かく言うといっぱいありますが,概略をご説明します。

誤解ありがち度 1(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 自賠責保険以外に任意保険に入っておくべきです!

基礎から行きます。

【自動車を運転する時の保険の種類】
自賠責保険と任意保険に分けられます。まずは。

  自賠責保険(強制保険)
   正式には自動車賠償責任保険と言います。
   加入が法律上で強制になっていますので,公道を走る全ての自動車やバイク等は自賠責保険に入らなければなりません。
    支払限度額は以下のように決まっています。
     死亡時の補償金   3000万円
     後遺障害発生時   3000万円~4000万円
     怪我         120万円
     人身事故のみの適用で,物損事故には適用されません。
     また,自分が負った怪我や,自動車が損傷した損害には適用されません。

  任意保険
   運転者の意思で加入・不加入を選べる保険です。自賠責保険に比べて保険内容が充実しています。
   自賠責保険で対応できない,対物事故や自損事故にも保険の適用があります。
   補償範囲などの内容,つまり商品は非常にバラエティーに富んでいます。

ということで,まずは文字通り「強制」の自賠責保険。
「強制」ということは,違反(=加入しない)場合の罰則があります。

【強制保険(自賠責保険)不加入の罰則】
  ・1年以下の懲役または50万円以下の罰金
  ・道路交通法違反の点数が6点で運転免許停止処分
  ・自賠責の証明書を車に積んでいないだけで30万円以下の罰金

【任意保険のススメ】
「任意」なので,「絶対入るべし」とは言えないけど,言いたいです。

「任意」ではありますが,加入しないことは非現実的なのです。

物損事故・人身事故,特に死亡事故を起こした場合,自己負担が数千万円となる可能性が高いです。
例えば死亡事故における賠償額統計をみると,自賠責保険の限度額である3000万円を超えるケースが半数以上を占めています。
また怪我の場合は120万円までしか保険が下りません。
当然賠償額がこの限度額を超過することは多いです。
さらに,自賠責保険は,運転者自身が負った怪我や物損事故には適用されません。
任意保険の加入は事実上必須とも言えましょう。

【任意保険の内容】
ちょっとだけ内容に斬り込みます

「対人賠償責任保険の限度額が3000万円の任意保険に入っている」
という想定で。

→自賠責保険を含めた合計額が3000万円ということになり,保障が不十分と言えましょう。

自賠責保険では,傷害(怪我)の場合の賠償額の上限が120万円です。
これが3000万円まで引き上げられています。
しかし,傷害事故でも,重い後遺症を負わせた場合などは死亡事故以上の賠償額となることもあります。
数億円に達することもあります。
対人障害は「無制限」がお勧めです。
 
【120万円を超える治療費】
任意保険に入っていれば済む,とは簡単には行かないのです。

「自賠責保険で治療していて,治療費が120万円を超えた場合」という想定。

任意保険が使えれば良いですが,出来ない場合は加害者の自己負担となります。
自賠責保険でカバーされる治療については,治療費の上限額が120万円となります。
これを超える治療費については,任意保険でカバーされるか,カバーされなければ加害者本人が負担することになります。
自賠責保険の範囲内(120万円)であれば,自賠責保険から直接病院に治療費が支払われるのが普通です。
120万円を超える場合は任意保険から病院へ支払ってもらうのが普通です。
ただし,過失割合によっては,元々全額を保険会社が負担する必要はないということもあります。
そういった場合は任意保険から直接治療費を支払うことができないことになります。
一時的に被害者自身が治療費を支払った上で,事後的に保険会社なり加害者に賠償請求をすることになります。
なお,被害者自身が入っていた保険にこのような治療費をカバーする特約(人身傷害保険)があれば,直接被害者側の保険会社から治療費が病院に支払われることもあります。
まさに上記の「一時的な自腹負担」を防ぐための保険(特約)です。

【まとめ的】
自動車を運転することにはリスクがいっぱいつきまといます。
賠償が不十分だと,加害者も困りますが,被害者がもっと困ります。
加害者は自己負担がでかすぎると→破産→免責
となります。「免責」は100%全部できるかというとまた別の問題があります。これは別の話し。
被害者の泣き寝入りを生じさせないために→自賠責保険が強制的になっています。
しかし!
この上限がまた不十分なのです。
強制保険ブラザーズのもう片方,原子力責任賠償保険,ですが,こちらも上限1200億と不十分極まりない!
ではなぜこの金額が決められたのか?
答えは,「保険会社が引き受けられる金額の上限」だったからです。
被害者の救済,という目的は放棄されたのです。
自賠責はどうでしょう。
保険会社は喜んで引き受けますが,保険料(掛け金)が高くなります。
ドライバーの負担を重くするのは気が引ける・・・ということでふるーい上限金額のままなのです。
そこで仕方なく,「任意保険だけど「半強制」」という変な状態になっています。
20年前教習所で,「任意に入るか,10億円の貯金をしてから車を運転しましょう」と教官に言われたのを想い出します・・・
※今回は理系と関係するのは「原子力」という単語だけでした!!


[自動車損害賠償保障法]
(保険会社に対する損害賠償額の請求)
第十六条  第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
2  被保険者が被害者に損害の賠償をした場合において、保険会社が被保険者に対してその損害をてん補したときは、保険会社は、そのてん補した金額の限度において、被害者に対する前項の支払の義務を免かれる。
3  第一項の規定により保険会社が被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、保険契約者又は被保険者の悪意によつて損害が生じた場合を除き、保険会社が、責任保険の契約に基づき被保険者に対して損害をてん補したものとみなす。
4  保険会社は、保険契約者又は被保険者の悪意によつて損害が生じた場合において、第一項の規定により被害者に対して損害賠償額の支払をしたときは、その支払つた金額について、政府に対して補償を求めることができる。


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