さっそくのご質問。
昨日の話しですね。
誤解ありがち度 1(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る
↓お陰様でランキング1位継続中!↓


↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
A 平成23年7月15日の最高裁判決では,更新料の条項は,原則有効,と判断されました。
問題点を簡略化します。
かなりミニマム要約入ります!
<居住者(賃借人)サイドの主張>
「更新料」は,民法に書いてない。
そうすると,「必要以上の負担」→「消費者の利益侵害」となる。
(消費者契約法10条,民法1条2項を簡単に言い換えています)
<最高裁の判断>
次の2つにまとめられます。
1 更新料には家賃(賃料)の趣旨も含まれている。
→必要以上の負担,ではない。
要は,「更新料なしだったら家賃の金額を上げていたはず」というものです。
2 賃借人(消費者)は,賃貸借契約書に更新料の金額が明記されているのを知って承諾したはず。
→賃借人(消費者)の利益侵害とは言えない。
「2」についての賃借人(入居者)からの主張をもっと掘り下げます。
「入居者(賃借人)は,賃貸人(オーナー)よりも立場が弱いから契約書に不利な内容が盛り込まれていてもサインせざるを得ない」
これについては,最高裁の考え方を推測含めて説明します。
・契約書に不利な内容を見つけたら,変更(削除)を申し入れれば良い
・オーナーが削除に応じなかったら,契約しなければ良い→他の物件を探せば良い
ここで,空想してみましょう。
<空想>
日本中のすべての賃貸アパート・マンションオーナーが,全員で示し合わせて
「更新料条項は絶対に削除しないようにしよう」
と取り決めた。
→入居(候補)者は,「他の物件を探せば良い」とはいかない。
つまり,入居候補者は,不動産屋(仲介業者)を回っても,どこでも「更新料なし物件はないよ」と言われてヘトヘトになります。弱まります。
軽水炉の原発で,ウランから飛び出した中性子(高速中性子)が水分子にぶつかりまくってスピードが落ちて,ウラン235を分裂させるのに丁度良いマイルドな遅さ(熱中性子)になることを考えると分かりやすいでしょう。分かりにくいかも。
即,話し,戻ります。
<現実>
しかしそのような実情はありません。
仮に本当にそのようなおもしろい状態になっていれば,独占禁止法(カルテル)などの問題になるでしょう。
従来,借地や借家の分野では,全体的に「借主保護」の傾向が強かったです(今もですが)。
そのため,この最高裁の判決も,この「借主保護精神」だけが心配でした。
でもさすがに,この「精神論」だけで更新料を一律に無効としてしまうと,逆に不合理が発生していたことでしょう。
オーナーの賃貸経営も大変なのです。苦しみもあるのです。これはまた別の話し。
最高裁判決ですが,更新料を「一律に有効」と言っているわけではありません。
個別的事情によっては「無効とすることもある」と宣言しています。
想定外の判断が生じないように,賃貸借契約書を作成するときは慎重に条項を定めることが重要です。
今,賃貸に関しては,広告作成の時から,いろんな工夫を盛り込むことが行われつつあります。
オーナーの防衛,という側面もありますが,結局,「借主(候補)にも分かりやすい。誤解が生じない」ということになります。
貸主vs借主,という構図ではなく,双方に分かりやすい・誤解がない,が重要だと思います。
<<告知>>
みずほ中央リーガルサポート会員募集中
法律に関する相談(質問)を受け付けます。
1週間で1問まで。
メルマガ(まぐまぐ)システムを利用しています。
詳しくは→こちら
<みずほ中央法律事務所HPリンク>
PCのホームページ
モバイルのホームページ
↓お陰様でランキング1位継続中!↓


↑文系弁護士のブログも見てみよう!↑
↑↑↑クリックをお願いします!↑↑↑
震災関連法律相談Q&Aはこちら
震災特例法に基づく被災者(会社)の負担軽減策。税金の還付請求など。by国税庁
弁護士による不動産の法律相談
個別的ご相談等のお問い合わせは当事務所にご連絡下さい。
お問い合わせ・予約はこちら
↓お問い合わせ電話番号(土日含めて朝9時~夜10時受付)
03-5368-6030
050-5538-5030
【最高裁判所 平成23年7月15日(抜粋)】
4 しかしながら,本件条項を消費者契約法10条により無効とした原審の上記
判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 更新料は,期間が満了し,賃貸借契約を更新する際に,賃借人と賃貸人と
の間で授受される金員である。これがいかなる性質を有するかは,賃貸借契約成立
前後の当事者双方の事情,更新料条項が成立するに至った経緯その他諸般の事情を
総合考量し,具体的事実関係に即して判断されるべきであるが(最高裁昭和58年
(オ)第1289号同59年4月20日第二小法廷判決・民集38巻6号610頁
参照),更新料は,賃料と共に賃貸人の事業の収益の一部を構成するのが通常であ
り,その支払により賃借人は円満に物件の使用を継続することができることからす
ると,更新料は,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借契約を継続するための対
価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。
(2) そこで,更新料条項が,消費者契約法10条により無効とされるか否かに
ついて検討する。
ア 消費者契約法10条は,消費者契約の条項を無効とする要件として,当該条
項が,民法等の法律の公の秩序に関しない規定,すなわち任意規定の適用による場
合に比し,消費者の権利を制限し,又は消費者の義務を加重するものであることを
定めるところ,ここにいう任意規定には,明文の規定のみならず,一般的な法理等
も含まれると解するのが相当である。そして,賃貸借契約は,賃貸人が物件を賃借- 5 -
人に使用させることを約し,賃借人がこれに対して賃料を支払うことを約すること
によって効力を生ずる(民法601条)のであるから,更新料条項は,一般的には
賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせるという意味にお
いて,任意規定の適用による場合に比し,消費者である賃借人の義務を加重するも
のに当たるというべきである。
イ また,消費者契約法10条は,消費者契約の条項を無効とする要件として,
当該条項が,民法1条2項に規定する基本原則,すなわち信義則に反して消費者の
利益を一方的に害するものであることをも定めるところ,当該条項が信義則に反し
て消費者の利益を一方的に害するものであるか否かは,消費者契約法の趣旨,目的
(同法1条参照)に照らし,当該条項の性質,契約が成立するに至った経緯,消費
者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を
総合考量して判断されるべきである。
更新料条項についてみると,更新料が,一般に,賃料の補充ないし前払,賃貸借
契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有することは,前記(1)
に説示したとおりであり,更新料の支払にはおよそ経済的合理性がないなどという
ことはできない。また,一定の地域において,期間満了の際,賃借人が賃貸人に対
し更新料の支払をする例が少なからず存することは公知であることや,従前,裁判
上の和解手続等においても,更新料条項は公序良俗に反するなどとして,これを当
然に無効とする取扱いがされてこなかったことは裁判所に顕著であることからする
と,更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され,賃借人と賃貸人と
の間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に,賃借人と賃貸人と
の間に,更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について,看過し得ないほどの格差が存するとみることもできない。
そうすると,賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は,更新
料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特
段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基
本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと解するのが
相当である。
(3) これを本件についてみると,前記認定事実によれば,本件条項は本件契約
書に一義的かつ明確に記載されているところ,その内容は,更新料の額を賃料の2
か月分とし,本件賃貸借契約が更新される期間を1年間とするものであって,上記
特段の事情が存するとはいえず,これを消費者契約法10条により無効とすること
はできない。また,これまで説示したところによれば,本件条項を,借地借家法3
0条にいう同法第3章第1節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものとい
うこともできない。