外壁後退義務とボイド係数~もんじゅと軽水炉の違い~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 自宅の隣で家を建てています。
  妙に近付き過ぎな感じがします。
  防御できないのでしょうか。

意外に「杓子定規」なルールがあるんです。
ついでに「ボイド係数」を覚えて帰って下さい(?)

誤解ありがち度 2(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 境界と建物の距離ルールがあります。

「あまり近寄るな」ルール(外壁後退義務)
民法では,建物を建てるのは,境界線から50センチメートル以上,というルールがあります。
実際に境界線からの距離を測って,50センチメートル以上であれば,どうすることもできません。
勿論,日照など,まったく別の理由の「物言い」システムはありますがこれはまた別の話し。
で,一定の条件を満たす場合は制限がなく,外壁を境界線に接して設けることができます。
見たことありますよね。猫しか入れないくらいの隙間を。
たまに,人間が入って→挟まれて→「びく」のように→出られなくなって→ニューズになったり。

話し,戻ります。

さて,例外的に50センチ離さなくても建物を建築して良い場合について。

その地域が防火地域とされており,外壁が耐火構造となっていれば,50センチルールの適用除外です。
建築基準法65条では,防火地域又は準防火地域内にある建築物で,外壁が耐火構造のものについては,その外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされています。
防火地域とは,防火性の高い建築物を促進することにより,火災の延焼拡大を抑制しようという目的で都市計画で定められます。
防火地域に指定された場合は,建物は原則として鉄筋コンクリート造等の耐火建築物としなければなりません。
耐火建築物とすることで,境界線からの距離制限も緩和されるのです。

さらにですね。
50センチルールが適用されていないエリアがあり,さらに防火地域でもない!
という風景も見かけます。
どうなっているのでしょうか。

秘密はこれ!

民法236条 前2条の規定と異なる慣習がある時は,その慣習に従う。

「慣習」の方が「法律」よりも優先だ!という意味。
村の掟 があれば法律が適用されない。
こういう言い方すると怖いですよね。
「法の支配」に反する理論。「部分社会」とか言います。

さらに言い方変えて。

みんなで違反すれば 正しいことになる。

違反が違反を誘発して→真似することが連鎖すると→正当化される。

自動車のスピード違反は同じ構図があります。
多少のスピードオーバーは皆しています。
でも・・・,論は正当化されませんね。「無罪」にはなりません。
これ,結構真顔で「憲法14条の法の下の平等違反」という主張が後を絶たないのですが,みなことごとく敗れています。
「言い訳すな!」と一喝されて。

これ,理系的に似ている概念があるので,比較的にまとめてみます。トライします!
1 「異常」が一旦始まると,連鎖して急速進行する→冷却材減少により反応増加→正のボイド係数
   法律→慣習優先のルール(外壁後退義務,氏名の「通称」使用など)
   原発→チェルノブイリ原発(黒鉛炉),高速増殖炉もんじゅ(ナトリウム冷却材)
2 「違反」には歯止めがかかる→冷却材減少により反応低下→負のボイド係数
   法律→スピード違反をはじめとした多くの刑罰法規。
   原発→ふくいち含む日本のほぼすべての原子炉(軽水炉)

予想通り・・・かえって分かりにくくなったかな・・・理系マニア以外の方には。

がんばって,話し,戻ります。

あちこちの家が50センチルールを守っていないエリアでは。

建物新築に際して,50センチルールを守らなくても大丈夫かもしれません。

で,確実なのは,隣地所有者から承諾を取っておくことです。

というのは。
民法は民・民のルールです。文字どおり。
行政法・刑法などの取り締まり法規と違います。
当事者(隣地所有者同士)で納得・承諾していれば問題なしなのです。

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