逸失利益~ライプニッツorホフマン~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 交通事故の賠償で「逸失利益」とか「ライプニッツ」ということが良く出てきます。
  どんなものですか。

この世界では当たり前だけど,やや分かりにくいものですね。

誤解ありがち度 2(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 逸失利益とは,症状固定から後の部分について,収入が減少した分を損害とするという意味です。
  この算定において「ライプニッツ係数」というのを使います。

逸失利益の算定方法
実際に生じた減収ではなく,「労働能力喪失率」を用いて,減収を想定して計算します。
労働能力喪失率は,後遺障害等級によって決められています。これは別の話しとしておきます。

具体例で行きます。

例1;年収700万円,30歳,後遺障害等級5級の場合
 年収    労働能力喪失率  37年のライプニッツ係数
700万円 × 0.79  ×  16.7112 = 9241万2936円

例2;年収700万円,30歳,後遺障害等級3級の場合
 年収    労働能力喪失率  37年のライプニッツ係数
700万円 × 1.00  ×  16.7112 = 1億1697万8400円

ポイントは,「一生に稼ぐ分の収入」を考える,ということです。
将来,仕事ができなくなるまでの期間,という想定です。
 →長期間になります
 →高額になります
 →後遺障害等級が違うと「労働能力喪失率」が変わるので,金額が非常に開きます
  ※上記の例は,後遺障害等級以外を同じにして計算した例です。
   2450万円以上違いが出ています。

次。
ライプニッツ係数,入ります。

次の例(再掲としての)において,「37年のライプニッツ係数」は何かを説明します。

例;年収700万円,30歳,後遺障害等級5級の場合
 年収    労働能力喪失率  37年のライプニッツ係数
700万円 × 0.79  ×  16.7112 = 9241万2936円

まず,算定においては,リタイヤする年齢を67歳と設定します。
「就労可能年限」としていろいろな統計により平均的なリタイヤの年齢とされています。
この年齢が高いとか低いとかは別の話し(というより厚労省の統計を使っただけ)。

もう1回,↑の計算式を見て下さい。

掛け算の3つ目は,「37(年)」とすべきように思えます。
しかし,37を掛けた場合,ちょっと矛盾が生じます。

本来,事故がなければ将来入ってきた収入,という金銭を,まとめて前払いで受け取る,ということになります。
そうすると,もらった人(被害者)は,多額の資金のうちすぐには使わない部分を運用して利子などが生まれることになります。
トクをすることになります。
その「トク」の分を差し引くべきだ,という考えになります。
そこで,「利息などの分を差し引く」計算をすることになります。
ちょっと複雑な計算なので,1年単位で計算されたものがあります。
ライプニッツ係数,と呼ばれています。
これを考えた人,ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(Gottfried Wilhelm Leibniz(ドイツ人))の名前から,取っています。
37年の場合は,16.7112となっています。

なお,以前はホフマンさんが考えた「ホフマン係数」が流行っていた時期がありました。
で,東京エリアの裁判所ではライプニッツ派が主流で,関西エリアの裁判所ではホフマン係数が主流でした。
裁判所でも↓こんな風景がありました。
「あ,先生東だからライプニッツに慣れちょるかもしれんけど・・・西ではホフマン流やねん。ライプニッツあかんねんて」
長年続いた古き良き?時代でした。
ある時,
「ちょっとおかしいんちゃう?裁判所なのに平等ではないやんけ」
と言いだす輩がおりました。
↓そこで
「リーダー集まれ!統一するんや!」

東京地裁・大阪地裁で話し合いをしたら・・・

「ちょっと待ていおみゃーら!ウチも入れてや!」
と名古屋地裁も参加

3地裁で協議の末

「ライプニッツに統合しよう」
となったのでした。

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