自動車保険と震災~免責条項~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

みずほ中央法律事務所の三平です。
みなさんこんばんは。

電車に乗ると,空調が復活しています。
やや寒いのに冷房・・・どうなっちょるんや!?節電ちゃうんかい?

今日は,地震と自動車保険の関係の話し。

クイズ
1 地震で建物が倒壊して車が下敷きになった。車両保険は下りる?
2 自動車走行中の地震でハンドルが取られ→歩行者に衝突。賠償金の保険は下りる?
3 地震後,路上にがれきが落ちていた。これに乗り上げ→歩行者に衝突。保険は下りる?
4 地震後の計画停電。夜,真っ暗+信号もストップ→交差点で別の車に衝突。保険は下りる?

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答え
1・2 下りない
3 下りる(可能性が大きい)
4 下りる

震災で大損害を受けた時こそ,「入ってて良かった」が保険じゃないか!とお思いかもしれませんが。
規模が大き過ぎると「保険金は下りません」となることがあります。
「想定外過ぎるから」「払い過ぎることになるから」ということです。
約款に,このような内容が書いてあります。「免責(条項)」とか言います。
・地震・噴火・津波 によって 生じた損害は保険金NG(保険下りない)
・↑の 随伴して 生じた損害はNG(保険下りない)

1 地震→建物倒壊 は まさに「地震によって」なのでNG
2 地震→ハンドル取られた は まさに「地震によって」なのでNG
3 地震→建物倒壊→がれきが路上に→自動車がこれにぶつかった は「地震に随伴して」にみえるからNGか
  しかし,原因を見つめると。路上の石を見落としたことが原因でしょう。前方注意が万全なら路上の石に乗り上げなかったでしょう。
  と考えれば,「地震に随伴」とは言えないでしょう。
  ここまで来ると,保険会社がどのように主張するのか,また実際の注意が欠けていた程度はどのくらいか・・・と分析的な話しになります。
  普通はOK(保険下りる)が,事情によってはNG,としておきます。
4 地震→津波→原発事故→出力低下→電力不足→東電謝罪→だけでは済まず→停電実施→街中暗く→交通事故
  このように考えると,一瞬,「地震によって」または「地震に随伴」と思えそう。
  いや,思えませんね。
  一応,矢印でつながりますが(これは条件関係と言いますが,これはまた別の話し)・・・うっすいなぁ。
  3と同じで,主な事故の要因はドライバーの注意不足です。
  停電で注意力がものすごくたくさん要求されますが,そんな中,自動車を運転する以上,仕方ない「注意義務」です。
  ということで主な要因はドライバーの注意不十分(過失)となります。
  そうすると「地震に随伴」ではないのでOK(保険下りる)となります。
  保険会社との訴訟を想定すると,原告のドライバーが「地震のせいではありません,私がいけないのです。他人のせいにするのは良くないです」と「自責の念にかられたお父さん」という格好になります。普通の訴訟は「原因は私ではなく**ですよ!」というスタイル。うーん違和感・・・


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