先日、心筋梗塞になった高齢者の方がおりました。私の担当ではありませんでしたが、気になったのでここに記載します。
心筋梗塞とか狭心症だと胸が痛い、胸が苦しいといった訴えが一般的ですが、別の訴えをする人がいます。この方は吐き気でした。朝ごはんを食べた後に吐き気が出て、体調が優れなかったようです。しばらくして血圧を測ると徐々に低下、循環が悪くなり、意識レベルも低下、救急搬送され救急で心筋梗塞と診断されたとのことでした。私も吐き気、気分不快のみの心筋梗塞の経験もあります。肩が痛いという訴えのみの心筋梗塞も経験した事があります。
今回のケースはカルテを確認すると元々血圧左右差があり末梢の冷感があったようです。末梢の左右差は大動脈解離、大動脈炎症候群(高安病)、強い動脈硬化、鎖骨下動脈狭窄などで生じます。この方のカルテを見ると既往に、閉塞性動脈硬化症(ASO)があったようです。ASOというと主に下肢に現れ、痛みから間欠性跛行を生じるイメージですが、上半身にも動脈硬化を起こすこともあるようです。喫煙や糖尿病、高血圧、高脂血症がリスクファクターで、ASOの方は心筋梗塞や脳梗塞を生じるリスクが高いようです。
今回の方も、糖尿病、ASOがあり、かつ血圧の左右差や片腕の冷感など認めていたことから、おそらく鎖骨下動脈などに動脈硬化、閉塞がすでに及んでおり、心筋梗塞もその延長線上に生じたと考えます。
あらかじめ抗血小板薬などが投与されていたらもしかしたら多少は予防になっていたのか、どうなんでしょう。
吐き気や肩の痛みなど非特異的な症状でも安易に考えず、ちゃんと循環動態をフォローする必要性を感じます。
こうやって難しく事考えるより、まずは普段からの適宜な運動、禁煙、正しい食生活、良質な睡眠といった至ってシンプルな事に気を配ることこそがいかに大事かを示していると思います。
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