ひさしぶりに「うつ」がやってきました。3週間ほど前から、睡眠が乱れ、夜間中途覚醒が頻発し、このところ

胸のざわざわ感、不安感、動悸、倦怠感、胃部不快感などがあります。なんだかそわそわして落ち着かないです。

特に誘因はありません。

 

こういった症状は私の場合は春に起きることが多いです。

振り返ってみると過去に3回ほど大きなエピソードがあります。いずれも春です。

 

1回目 19歳で大学入学のころでした。3月ころですね。この時は今と同じような症状でした。なんだか胸が痛い感じで、睡眠が乱れました。金縛りにもあいました。当時は「うつ」なんて思いつきもしなかったので、循環器内科などに行き心電図やCTなどを撮ってもらいました。原因は不明と言われました。症状をまとめると、中途覚醒、動悸、不安、心気です。

 

2回目 23歳くらいでしょうか。大学4年生の春で、やはり3月くらい。腕がだるくなったり、ピクついたりなどが出現。医大生だけに中途半端な知識があるので、もしかしたら「ALS」なのでは?と異常に不安になり、神経内科などを受診しました。比較的成績は優秀な方で、それまで一度もテストで落ちたこともなかったのですが、初めてテストを落とし再試験に回りました。自分なりにはいつも通り一生懸命やっていたのですが、結果を見て愕然としました。この時の症状は心気、不安、思考制止、睡眠障害でした。ドグマチールなど服用し、回復しました。

 

3回目 25歳 国家試験に合格し、いよいよ医師として仕事に就いてからでした。5月ですね。当時、糖尿病内科の研修でしたが、患者さんのところに行って血糖値をチェックしたりするのですが、全く数字が頭に入ってこなくなりました。誰でもできるような簡単な作業にも支障が生じ、食欲は低下、体重も減少、著しい焦燥から勤務困難となりました。自分は無価値に思えて、自分のような人間が医師として患者さんの命を預かることができないと落ち込み、家に閉じこもりました。この時の症状は思考制止、罪業感、抑うつ気分、食欲低下、体重減少、希死念慮でした。3回目は回復に1年以上を要し、三環系抗うつ薬とSNRIを併用してやっと改善しました。

 

それ以降は、ときおり「うつ症状」は出るものの、なんとか乗り切ってきています。

何とか乗り切れているのは、平時から少量であるものの、抗うつ薬を予防的に服用しており、また睡眠障害や不安感などが生じたときは適宜増量してもらい対応しているからなのかもしれません。また、日常生活での考え方もいい意味で「いいかげん」「テキトー」にしたことも役立っている気がします。

 

それでも今回のように ふと「うつ」はやってきます。

 

発症年齢が若いことから、もしかしたら双極性障害(躁うつ病)の可能性も否定できません。軽い躁状態は、自分ではなかなか気づかないものです。反復性うつ病と軽症の躁うつ病ははっきり区別がつかないこともあると感じています。現在躁うつ病には抗うつ薬を使用することは良くないとされていますが、実際には少量でも抗うつ薬を使用せざるをえなかったり、使用している方が安定している患者様もいます。あまり治療ガイドライン通りにはいかないものです。ただし双極Ⅰ型には抗うつ薬は使用すべきではありません。

 

 

うつを含め、精神疾患は基本、「治そう」と意気込むのではなく、「上手に付き合っていく」ことが必要な疾患だと思います。