今村彩子監督のドキュメンタリー映画、『きこえなかったあの日』が、「みんなで観る会」という企画で上映されると知り、観に行ってきた。
2022年9月10日(土)10:00~12:00(9:30開場)
大阪府立福祉情報コミュニケーションセンター 4階会議室
今村彩子監督
映画『きこえなかったあの日』
監督自身、ろう者である。
耳のきこえないひとたちと災害、それを見つめた10年間の記録。
ドキュメンタリー映画なので、ナマの様子がとても伝わってくる。
被災現場では、みんなが大変であるが、情報が入ってこないきこえないひと・きこえにくいひとはさらに大変である。
食料や物資の配給も、音声のみでの伝達では、取り残されてしまう。
そこに情報があることすらわからないからだ。
そして、孤独感。
これは災害時のみならず、ひとが生活するにおいて、誰かと心を通わせること、ちょっとした会話でもかまわない、とにかく交流できることが大切なのだとひしひし感じた。
きこえない人・きこえにくいひとは、周囲のひととコミュニケーションが取りづらい。
けれども、お互い同じ人間である。
きこえないひと、というカテゴリ分けではなく、そのひと個人をしっかり見ればいろんなことがわかってくる。
知らないから怖いのだ。
知らないから遠ざけるのだ。
知れば、聴者にもろう者にもいろんなひとがいるというのがわかってくる。
みんなそれぞれ性格やタイプが違う。
わかってくると、だんだん心の距離が近づいてくる。
手話がわからなければ、指差しや身振りで。
筆談が難しければ、絵や図形で示したり。
ろう者のなかにも、手先の器用なひと、大工仕事が得意なひと、笑顔がとってもチャーミングなひと、おしゃべり好きなひと、寡黙なひと、世話好きなひと、いろいろ。
東日本大震災の直後から取材は始まっている。
そして、それからの10年間。
少しずつ少しずつ、社会が変わり始める。
各地で手話言語条例の制定が進み、会見などに手話通訳がつくようになってはきている。
ろう者・難聴者は、施しを受けるだけのひとではない!
きこえないだけで、からだは元気だし、役にも立つことができる!
と、ろう者・難聴者による災害ボランティアが結成され活動するなど、新しい動きも出てきた。
けれども、まだまだこれからだ。
わたしも、わたしにできることからやっていこう。