(つづき)
ユリ:ハキリアリは微生物を使って農業をする唯一のアリンコです。
葉っぱを切って運び、堆肥を作ってキノコを育て、そのキノコを食べる。
私:自給自足をしているってことですか?
ユリ:そうです。たぶん農業をする昆虫としては、今のところハキリアリぐらいしか知られてないんじゃないですかね。
ユリ:そういえば生息しているのが、さっきリカちゃんが「アマゾン」って言ってたけど、中南米だー!
ジャングルですね。
ユリ:女王アリは寿命が20年ぐらいあるんです。
私:(ネットによると)女王アリが亡くなったら、徐々に小さくなって終焉を迎えちゃうんだって。
後継者は育たないの?
ユリ:一応ね、生まれるけどみんな巣立っていってしまうんです。
でも、その元の巣は女王アリがいなくなったら後に入ってくる微生物がちゃんといて、全部分解するんです。
そして地面に戻るっていう…。
私:へえ! なんか理想ですね。笑
自分たちで農業やって、終わったらちゃんと現状回復しますよ、みたいな。
ユリ:中南米あたりの林の生態系の中ではすごい重要な役割を果たしているっていうことが、最近ずっと言われてて。
私:ふうん…
ん?
なぜ私たち、ハキリアリの話をしているの?
必然ですよね?
なんだろう?
リカちゃんに聞いてもらいます。
リカ:キノコを作るっていうのもポイントだと思うんですけど。
リカ:人間って添加物とかすごい入れるよね、みたいなのが降ってきて。
なぜ体に必要のないものを人間たちは入れるんだ?みたいな。
そうすることで、体に住む微生物の活動の力が弱まるというか。
リカ:ハキリアリは自分たちに合うキノコを作ってるんですよ。
なんでそれを人間はやんないの?みたいな。
いつから余分なもの入れるようになっちゃった? ルート変わっちゃった?みたいな。
私:ハアリの形はしてるけど、なんだか別の生き物って感じがしますね。
ユリ:アリの中では特殊な存在ですよね。
農業やってるアリはなかなかいないので。
遺伝子に組み込まれている時点で、どっからそれが来たのかなっていう…
リカ:ユリさん、さっきハエが作り出す土がすごい良いって言ってたじゃないですか。ああいうのはとってもいい発見というか、そういうことを進んでやっていくべき、って降ってきます。
リカ:ハキリアリが自分たちの体に合う栄養満点のキノコを作るみたいなこと、なんで人間はできないんだろう?って。
今が全部が悪いってわけじゃないけど。
「それでいいのか、人間!」って感じ。
私:へえ リカちゃんがそういうこと言うの、初めて聞いた。
いつも食べること大好きって人間界を楽しんでいるようにみえるのに。
私:さっきも「人間界なんて滅びればいい」っぽいこと、言ってたでしょ? びっくりした。
滅びたら美味しいもの、食べられないじゃん!って。笑
リカ:破滅の前に死ぬほど食べてから「はい、終わり」っていう…。笑
でも本当に自然破壊って、人間がいるから起こるんだよね~っと思って。
猿とか、 そういう動物で終わっとけば、そういうことにはならないんじゃないかなって。
私:なるほど~!
しかし、星は進化するのです。
卒業生Mさんも、最近よく「諸行無常」という言葉が降ってくると言っていましたが、不変のものはないのです。
……という真面目な話をしていたら、気が付けば20時。
最近はまっている「リゾット風きのこ雑炊」でも作ろうかなと思ったら、ユリさんが「私が作りましょうか?」って。
「いやいや、それは申し訳ない」と言うと、「私、お料理作るの、好きなんです。こんな面白いものはないと思ってる」って。
そして、まるで動画を倍速で見ているかのように驚くべき早さで雑炊を作ってくれました
お料理の知識も豊富で、
「エノキは切ると水分が出るから、あまり小さく切らない方がいい」
「途中でレモン汁を少し入れると塩の効き目がよくなる」
「水を入れずに牛乳だけで作るとべちゃべちゃにならない」
等々。
本当に博識なのねと感心しきり。
味もまた抜群に美味しくて、「あ~、しあわせ~!」と食べていたら、
ユリ:リカちゃん、お代わりもあるよ。
チーズをのっけてグラタンにしてもおいしいのよね。
(ああ、ユリさん、余計なこと言ったな)と思ったら、ほ~ら、リカちゃんが目を輝かせて「食べたいです!」って
私:ええっと、チーズが足りないかも
リカ:私、買ってきます!
わ~、こりゃダメだ、あきらめる様子はない。笑
ユリさんがこれまた手際よく、耐熱皿にニンニクを塗り、粉チーズをパッパッと降って雑炊を載せ、
「キノコを焼いて足しても美味しいんですよ」
(ああ、また余計なこと言ったな~)
案の定、
リカ:それがいいです!
すると、ユリさんはフライパンにさっと丸ごとエノキを入れ、バターとお酒で酒蒸しにして、水分がなくなったら先ほどの雑炊の上に載せて、チーズ、パセリをかけ、オーブントースタで焦げ目がつくまで焼いてくれました。
もちろん美味しかったのは言うまでもない。
こうして密度の濃い楽しい1日が終わりました。
ところが翌日…
(つづく)
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