以前の記事「片づけができない(1)~(7)」の焼き直しです。
5年ほど前の生徒A子さんの事例です。
母親との葛藤を抱えて、あちこちでセラピーを受けていました。
それでも、どうしてもどうしても心が楽にならないということで私のセッションを受けにいらしたのです。
母親との葛藤が幼いころの出来事に起因しているということは、ヒプノセラピーによる退行でご存知でした。
A子さんが小学校低学年のとき。
自分の部屋で漫画を読んでいると、母親が入ってきて「片付けなさい」と言います。
「うん、うん」と生返事で読み続ける子さん。
「片付けてから読みなさい」という母親。
「うん、わかった」と言いつつ、なおも漫画から目を離さないでいると・・・・
「いい加減にしなさい!」
いきなり母親が本を取り上げ、ビリッ!と真っ二つに破って、ゴミ箱へ放り投げたのです。
その瞬間。
A子さんの心が凍りつきました。
そして、そのフリーズした「感情」は以後20年以上にわたり、A子さんの心の「闇」となって存在し続けることになります。
「ほら、あなたが言うことを聞かないからよ」と、まるで見せしめの如く
自分の心を引き裂かれた悲しさ。
それでも、幼い子供が、たとえ足蹴にされても「ママ、ママ」とまとわりつくのと同様、A子さんもまた大人になっても
「お母さん、私を認めて」
「ねえ、お母さん、私を受けいれて」
と母親の愛情を求め続けて自分の心と葛藤していました。
そんな彼女が、自分の部屋が汚部屋になっていてどうしても片付けられないと聞かされたのは、ずいぶん後になってからです。
何で片付けられないんだろうね~と「原因」を見に行ったら、
なんと・・・・・
再び、あの漫画本を破り捨てられた場面が出てきたのです。
母親が本を取り上げて破り捨てた瞬間、A子さんはものすごくショックを受けました。
それは、
「自分という存在を否定された」
からです。
そう、
破り捨てられたのは本ではなく、彼女の心でした。
自尊心を傷つけられたのです。
そして、以後も・・・。
母親の命令通りに「片付ける」ことは、
「否定された自分」を受け入れることになってしまいますから、そんなことできません・・・・
彼女は、「言いつけ通りに片付ける」のを拒否することで必死に自分を守ってきたのです。
絶対に片付けない。
どんなことがあっても。
それを貫くことで、自分という存在を守るしかないから。
このように、
片づけができない場合に、
片付けのノウハウだけではなくて、
その「根っこ」にあるもの、
心のケアこそが大事なのだと
この事例で私も学ばされたのでした。
そして、後日・・・。
同じような悩みを持つ方がみえました。
ご両親との葛藤を抱えていました。
セッションを続けていくうちにどんどん「根っこ」の感情が解放されて、
心が軽くなっていかれました。
ご両親との葛藤もスルスルと解けていき・・・・。
「マサコさん、私、毎日が楽しすぎる!」と。笑
その彼女が、ある日、ふと疑問に思ったそうです。
「なんでだろう?
外にいるときはすごく楽しくて心も軽いのに、家に帰ると、どんより重くなってくる」
「もしかして部屋が散らかっているから?」と思いつきます。
彼女の部屋もまた、長い間、汚部屋だったのだそう。
で、一念発起し、3日3晩かけて片付けたところ・・・・
自宅にいても心が軽くなったのだとか。
散らかっていること、
「物」たちに囲まれていることで
孤独な心を紛らわしていたんだ・・・・
その「孤独な心」が解放され、もう自分を守ってくれる物たちを必要としなくなったことで、「片付けよう」という気持ちになれたのだと気づいたそうです。
ちなみに・・・・
以前、やはり片付けられないという生徒さんを誘導して、「もし片付けたら部屋がどう変わるか」を視に行ってもらったことがあります。
潜在意識ってこんなこともできちゃうんですね
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