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今回は東京ディズニーランドとユニバーサルスタジオジャパンの明暗を分けた戦略の背景について掘り下げています。
ご興味がございましたら是非ともお読み下さいませ!(^-^)
『なぜディズニーランドは苦戦し、USJは好調なのか?』
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『なぜディズニーランドは苦戦し、USJは好調なのか?』
今、巷で話題の『ポケモンGo』。
日本に先駆けてリリースされた海外では、その熱狂振りが連日のようにニュースを賑わしていますが、ようやく日本でもリリースされました。
早速ダウンロードして、遊んでみましたが、ユーザーが夢中になる要素が分かる気がします。
今回は、この『ポケモンGo』のビジネスモデルについて分析していきましょう!
◎ 任天堂が満を持して投入したスマホゲーム『ポケモンGo』が変えるビジネスの可能性と課題とは?
■ 世界中が熱狂!話題のスマホゲーム『ポケモンGo』
Googleからスピンアウトした企業ナイアンティックとポケモン、そして任天堂がタッグを組んで開発したスマートフォン向けのゲームアプリ『ポケモンGo』が海外でリリースされました。
7月6日にアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで配信が開始されると、わずか7日間で1000万ダウンロードを突破。それまで1000万ダウンロードの最短記録は『クラッシュ・ロワイアル』の9日でしたが、『ポケモンGo』はこれを大きく塗り替える偉業を達成します。その後も世界各国で配信がスタートすると、7月20日には35か国で3000万ダウンロードを超えるなど、勢いはまったく衰えることを知りません。
一方で、『ポケモンGo』人気が過熱するに伴って、世界各国で由々しき問題も発生しています。『ポケモンGo』に熱中するあまり、多くの事件や事故、トラブルなどが発生し、社会問題化しているのです。
日本においても、本日22日から配信が開始されましたが、リリースに先だって政府が『ポケモンGo』の利用にあたって安全に楽しむための注意喚起を行うなど異例の対応がその影響力の大きさを物語っています。
■ 『ポケモンGo』とは何か?
それでは、任天堂が満を持して投入したスマホアプリ『ポケモンGo』とはどのようなものなのでしょうか?
ポケモンをプレイした人であればご存知でしょうが、この『ポケモンGo』も基本的なゲーム内容は同じです。
ポケモンを捕まえて、育てて、敵と戦わせるというシンプルなシステムになっています。
大きな違いは、これまでのポケモンがゲーム機の中の世界だったのに対して、『ポケモンGo』ではARと呼ばれる実際の風景にデジタル情報を重ね合わせる技術を活用して、ゲームフィールドが現実の世界になっている点です。
つまり、プレーヤーは家から飛び出して街中を歩くことによって、様々なポケモンを発見し、捕獲していくのです。
この『ポケモンGo』をプレイするにあたって、重要なポイント(場所)が2つあります。
一つは“ポケストップ”。
この“ポケストップ”では、ポケモンを捕獲するために必要なモンスターボールをゲットしたり、ゲームを有利に進めるためのアイテムを購入したりすることができるのです。
そして、もう一つが“ジム”と呼ばれる場所。
この“ジム”では、自身の獲得したポケモンのレベルが5以上になれば、ライバルのジムに所属するプレーヤーのポケモンと戦わせることが可能となり、戦いに勝利すれば自身のジムの勢力を拡大させることができるのです。
■ 『ポケモンGo』が任天堂のビジネスにもたらすインパクト
このポケモンの世界と現実世界とを融合した『ポケモンGo』ですが、専用のゲーム機市場で苦戦する任天堂のビジネスに大きなインパクトをもたらす可能性を秘めています。
ゲーム自体は基本的なプレイは無料でできますが、ポケモンを獲得しやすくするアイテムなどは有料で購入しなければいけません。
実際に『ポケモンGo』を配信してから課金額が1日で1.6億円にまで達したとのニュースもあり、今後さらに配信国を増やしていけば加速度的に課金による売上が増えていくことは間違いありません。
たとえば、Mixiの『モンスター・ストライク』は、世界で3000万ダウンロードを超えていますが、課金収入は年間2000億円にも達し、これと同じ程度の売上を上げることは十分に可能だといっても過言ではないのです。
この『ポケモンGo』がリリースされると、任天堂の株価は6月に13,370円の今年最安値だったものが、7月には32,700円の最高値を付けるなど僅か1ヶ月足らずのうちに急騰し、市場でも任天堂の『ポケモンGo』ビジネスの将来性に大きな期待を寄せていることがわかります。
■ 『ポケモンGo』は他社のビジネスにも大きな影響を与える
『ポケモンGo』によって大きくビジネスが変わるのは、『ポケモンGo』のプロジェクトチームだけに留まりません。
『ポケモンGo』は、他の多くの企業のビジネスを変えていく可能をも秘めているのです。
『ポケモンGo』のユーザーは、ポケモンを探したり、捕獲したり、戦わせたりするために、実際に外に出て歩き回らなければいけません。
つまり、『ポケモンGo』によって、人の流れをいとも簡単に変えることができるというわけです。
もし、自社の店舗がゲーム上、重要なポイントとなる“ポケストップ”や“ジム”に指定されれば、多くのゲームユーザーが集まることにつながります。
実際に海外では、自店がたまたま“ポケストップ”に指定されていたピザ屋が120円課金すれば30分だけポケモンが出やすくなる『ルアーモジュール』というアイテムをうまく使用して宣伝した結果、売り上げが75%アップしたという事例も報告されています。
今後『ポケモンGo』の開発元であるナイアンティックは、この2つのポイントを『スポンサードロケーション』として販売する予定です。
この『スポンサードロケーション』では、実際に訪れた人数に応じて手数料を徴収するCPV(Cost per Visit)という方法が利用されます。
このCPVであれば、『ポケモンGo』を活用して集客を図る企業側も来客がなければ多額のコストを負担する必要もなく、プロモーション活動におけるリスクを軽減できるというメリットがあり、導入のハードルは著しく下がることになります。
これまで企業は集客のために、テレビCMや広告、チラシなど多額のプロモーション費用を投じてきましたが、費用対効果については疑問が残っていました。
このような無駄なプロモーション費用を負担してきた企業側にとって、今後は『ポケモンGo』を活用すれば、よりコストをかけずに多くの集客を実現できる可能性が高まってきたといえるのです。
■ 『ポケモンGo』を活用したビジネスの課題とは?
さて、多くの企業がビジネス的な意味で大きな期待を寄せる『ポケモンGo』ですが、思い描いたような結果につながるかはまだまだ未知数といえるでしょう。
思ったような効果が得られないことも十分に考えられるのです。
現状、『ポケモンGo』の抱える課題として、次のようなことが考えられます。
(1)『ポケモンGo』自体が、利用を制限、もしくは禁止になるリスク
日本に先駆けてリリースされた地域では、『ポケモンGo』に熱中するあまり、立ち入り禁止区域に入ってしまったり、交通事故に遭ったり、強盗などの事件に巻き込まれたり、数々のトラブルが報告されています。
すでに教会や墓地など、場所によっては『ポケモンGo』の利用の自粛を呼びかけるケースもあり、今後益々社会問題化するようであれば、何らかの規制が実施され、ブームは短期間で終息することもあり得ないことではないのです。
(2)最終的に収益アップにつながるかは未知数
人の流れを変え、圧倒的な送客効果を見込める『ポケモンGo』ですが、たとえ多くの人が集まったとしてもそれがビジネスにつながるとは限りません。逆に収益の足を引っ張ることもあるのです。
たとえば、相応の費用を支払って自社の店舗を“ポケストップ”にしたとしましょう。“ポケストップ”になれば、有料アイテムを使って、ポケモンの出現率を高めることで、多くの来客が見込めます。ところが、ゲームユーザーがポケモンをゲットして短時間しか滞在しなければ、消費活動につながらず、まさに“骨折り損のくたびれ儲け”になりかねません。
また、自社の店舗が“ジム”になれた場合、そこでユーザー同士のバトルが繰り広げられるので、ゲームユーザーが長時間滞在することが見込めます。ただ多くのゲームユーザーが長居しすぎると、優良な常連客が遠のき逆に売上が下がることも考えられます。
たとえば、マクドナルドが“ジム”になった場合に、朝早くから夜遅くまでゲームユーザーが席を占拠し、特にランチ時などは純粋に食事をしたい顧客が利用できずに、機会損失につながることもあるのです。
このような『ポケモンGo』を集客に利用したい企業にとっては、“ポケスストップ”であれば、折角来店したゲームユーザーが思わず購入したくなるような品揃えやキャンペーンを展開する必要があるでしょう。
また、“ジム”に指定され、想定以上に消費をせずに居座るゲームユーザーが多い場合には、一般顧客が来店しなくなる時間帯に絞って、地図上に“ジム”が現れるといった対策も必要でしょう。
『ポケモンGo』を活用したプロモーションは、これまで経験したことのない領域だけに、効果を図りながら、手探りで改善していく他はありません。
課題はまだいろいろとあるでしょうが、『ポケモンGo』はビジネスのあり方自体を大きく変える可能性を秘めたイノベーションと言えるだけに、今後どのようにビジネスに活用されるのか注目していきましょう。
■ 業績の大幅な下方修正を発表した大塚家具
大塚家具は、2016年12月期の業績予想の大幅な下方修正を発表しました。
2月の予想では売上高586億円、最終利益3.7億円を見込んでいましたが、今回の修正発表で売上高は47億円減少して539億円、最終利益は16.6億円の赤字に転落する見込みであることを明らかにしたのです。
リーマンショック後の消費の落ち込みで2009年に最終赤字として14.9億円を計上したことがありますが、今期、大塚家具はそれ以上の激震に見舞われることになります。
■ 過去最悪の赤字の原因は何か?
この過去最悪の赤字を計上する大きな要因として、ビジネスモデルの転換によるオペレーションの混乱が挙げられます。
昨年大塚家具で経営権をめぐるプロキシーファイトが繰り広げられた結果、株主は新たな時代のビジネスモデルを提案する久美子社長を支持しました。この株主の期待を一身に受けた久美子社長は大塚家具の改革に着手。店舗リニューアルを始めとする既存店の改革や新たなポイントシステムであるIDC パートナーズを生かした顧客との長期的な関係構築、そして法人需要取り込み強化に向けた諸施策を次々と打ち出し実行に移してきました。そして、実際に2月には全店舗をリニューアルオープンし、商業立地にある路面店などでは来店客数が増加するなど、顕著な効果も見られました。
ただ、これまで大塚家具が行ってきた会員制の受付機能など旧オペレーション体制から大きく変化した顧客対応に従業員がまだ順応しきれておらず、増加した来店客に対して適切な販売ができる体制が十分でなく、来店客増を売上増につなげることができなかったのです。
■ 今年度の決算が赤字でも問題ないワケ
今回の業績予想の下方修正を受け、大塚家具の経営を不安視する報道もありますが、財務分析を行う限りは、経営に関して当面大きな不安要素はないといえるでしょう。
前期末の段階で安全性の指標である自己資本比率は75.4%と非常に高い水準にあり、短期に返済しなければいけない流動負債88億円に対して、現金が110億円、流動資産に至っては293億円の残高があり、やはり安全性の指標である流動比率(流動資産÷流動負債×100:最低でも100%以上が安全の目安)を計算すると332%となり、短期的には経営が立ち行かなくなることはまず考えられないからです。
加えて、大塚家具は現状無借金経営であり、万が一の時は金融機関からかなりの規模の融資を引き出すことも難しいことではなく、財務体質は今のところ健全といっても過言ではないのです。
■ 赤字は大塚家具が生まれ変わるための生みの苦しみ
さて、このような黒字予想から一転過去最悪の赤字に沈む大塚家具の今後について直接大塚久美子社長から伺う機会をいただきました。
大塚社長によれば、これまでも大塚家具の長い歴史において節目節目で赤字になったとのこと。
大塚家具は家具のディスカウンターとして創業しますが、時代の流れを見極めて前社長である勝久氏の時代に会員制に移行。このビジネスモデルの転換時に、当初は赤字に陥りますが、その後大塚家具は非常に高い利益率を生み出す会社に生まれ変わります。
同じように今回の赤字も新たなビジネスモデルが浸透するまでの一つの過程であり、新生大塚家具が世の中に認められるまでの生みの苦しみを経験しているというわけです。
もし、新生大塚家具のビジョンが全社員やお客様に正確に伝わり、浸透するのなら、大塚家具は新たなステージへと進んでいくことになるでしょう。
■ 今後大塚家具は何をすべきか?
現状、大塚家具は変わりゆく市場環境の中で、うまく適応し成長を軌道に乗せるために数々の新たなチャレンジに取り組んでいます。
たとえば、BtoBの強化策として企業向けには高級レストランを展開するひらまつと業務提携し、ひらまつが新たに推進するホテル事業のパートナーとして家具の提供を開始しました。また、7月末に開業するザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町の全客室とパブリックスペースの主な家具、小物、アクセサリーを大塚家具が納品。他にも地方百貨店や住宅メーカー、マンションディベロッパー、福利厚生を手掛ける企業との提携なども積極的に展開しています。
また、価格や価値に敏感なお客様に対しては、リユース事業を通してリーズナブルな価格で質の高い家具を提供することにも注力。昨年10月に「リンテリア」というリユース家具を取り扱う子会社を設立して事業に本腰を入れます。また、本体ではリユース品を取り扱う店舗も8店舗まで拡大し、好調な売り上げを背景に今後はさらに拡大していく予定です。このリユースの開始に伴って修理メンテナンス部門を強化するなど、顧客へのアフターサービスの充実も図っています。
他にも、様々な形でポイントが付与されるポイントシステム『IDCパートナーズ』を開始したり、それまでは70種類しかなかったネット店舗の品揃えを2400種類にまで拡大したりと顧客満足度を高めていく施策も次々と実施しているのです。
ただ、一つ問題点があるとすれば、それはメディアの影響で消費者の抱くイメージと実際のビジネスに大きなギャップがあることでしょう。
『大塚家具=高級家具』というイメージを持つ消費者が多いかもしれませんが、実際に店舗に足を運んでみると、高級家具ばかりでなく、実にお値打ちな家具も数多く展示されていて、『大塚家具=コストパフォーマンスの高い家具』という実際の姿を伝えていかなければ、新生大塚家具の成功はありえないのです。
今後はメディア戦略をうまく活用して、大塚家具の真の姿を消費者に理解してもらえるかが一つの鍵となるでしょう。
■ “新生大塚家具”は1日にしてならず
今回の取材を終えて、大塚久美子社長の「大塚家具はニトリやIKEAのような方向を目指しているわけではない。大塚家具は家具の販売業ではなく、お客様の生活を豊かにする住生活ソリューションを提供する会社になりたい」という言葉が強く印象に残りました。
家具というモノを販売するのではなく、『“生活の豊かさ”というお客様のクオリティ・オブ・ライフを向上させるお手伝いをする』というコンセプトでビジネスを展開するためには、社員の意識改革を始め、大きな変化が求められます。
急激に変化することが難しいということを考えれば、その過程で様々な問題が発生することは事前に予想されていることであり、今回の赤字も想定内のことといっても過言ではないでしょう。ここで浮足立たずに、浮き彫りとなった問題を一つ一つ解決していけば、いずれは思い描いたビジョンを達成することができるはずです。
『ローマは1日にしてならず』という諺があるように、独自の道を行くという覚悟を決めた大塚家具もその実現には時間がかかり、今後も数々の試練が襲ってくることは間違いありません。
果たしてその試練を乗り越え、思い描いた新生大塚具を実現することができるのか?
今後、大塚久美子社長の真価が問われることになります。
Bizコンパスで新しい連載記事が掲載されました!
今回は商品の品揃えを9割以上削減するジャパネットたかたの戦略についてその背景を解説しています。
是非ともお読み下さいませ!(^^)
■ 史上初!285通りの裏メニューを投入したマクドナルド
6月15日からマクドナルドに“裏メニュー”が登場しました。
定番のハンバーガーメニューにハラペーニョやクリームチーズソース、スモークベーコンのトッピングをお好みで追加可能で、組み合わせは実に285通りにも上り、自分の好みのハンバーガーを注文できる楽しみが増えたことになります。
裏メニューといえば、吉野家の『つゆだく』や『ねぎぬき』、『頭の大盛』などが有名ですが、根強いファン顧客を獲得するという意味で自分仕様の注文ができることは大きな差別化要因と成り得ます。
厳密にいえば、マクドナルドが今回投入した裏メニューは期間限定であり、吉野家などの常連客に対する裏メニューとは一線を画すものですが、裏メニューという特別感を醸し出すネーミングは絶妙と言わざるを得ません。
今回の裏メニューをマーケティング戦略的に分析すると顧客、マクドナルド双方にとってのメリットが浮き彫りになります。
たとえば、顧客にとっては先ほどもお伝えしたように自分だけのオリジナルメニューを作れるワクワク感や選ぶ楽しみが増えることになります。組み合わせによってはまったく違う商品に変わる可能性もあるのです。
また、仲の良い友達同士で行けば、誰の裏メニューが一番おいしいかという話題で盛り上がることもあるでしょう。
このような顧客のメリットは、取りも直さずマクドナルドのメリットにもつながります。
裏メニューの対象はすべての既存メニューに適応されるため、お客様がこれまで食べたことのない商品で裏メニューにチャレンジするなど既存製品の掘り起こしにもなりますし、次はどんな組み合わせにしようかとリピートにもつながります。
また、ファーストフードレストランとして食事を提供するだけでなく、楽しい場を提供できれば付加価値は高くなるといえるでしょう。
裏メニューという個別対応も、通常のプラットフォームを活用したマスカスタマイゼーションで対応可能で、比較的簡単に多くの“新商品”を提供できるというメリットを享受できるものの、オペレーションに大きな支障を来すことはありません。
このような背景を勘案すれば、今回の裏メニューキャンペーンはマーケティング的に大きな成功を収めそうな期待が膨らみます。
■ 空振り続きだったマクドナルドのマーケティング戦略に劇的な変化が!
かつて、消費期限切れの鶏肉使用疑惑や異物混入事件で離れた顧客を呼び戻そうと、マクドナルドは様々なマーケティング戦略を実施してきましたが、その多くが空振りに終わっています。
たとえば、2015年2月には『ワールドマックハワイキャンペーン』と銘打って、ハワイにちなんだパイナップルなどの食材を使用した期間限定メニューの提供を開始します。ただ、2月という寒い時期にハワイキャンペーンを実施しても盛り上がらず、この月は全店売上が前年同月比およそ30%の大幅減に沈むという結果に・・・
また、2015年10月にはそれまで人気を博していた昼マックを廃止し、新たに200円バーガーとポテト、ドリンクのセットで500円となる『おてごろマック』を投入。新メニューが投入される前日の10月25日には200円バーガーの愛称と同じ『エグチ』『バベポ』『ハムタス』と同じ名前の人と同伴者4名限定で新作のハンバーガーが無料で食べられるキャンペーンを展開しましたが、話題になることもなくマクドナルドの凋落振りを裏付ける格好となりました。
ところが、今年に入り、マクドナルドのマーケティングは質的に劇的な変化を遂げ、ヒットし続けています。
目立つものを挙げれば、2月に実施したマクドナルドとしては初の試みである『名前募集バーガー』。新バーガーの名前公募には500万件を超える応募があり、大変な賑わいを見せました。
また、4月には人気の定番メニューであるビックマックをそのまま巨大化させた『グランドビックマック』と『ギガビックマック』を期間限定で発売します。4月下旬までの販売予定でしたが、あまりにも売れ過ぎて予定していた限定数量に早期に達し、わずか1週間で販売終了の店舗が相次ぐほどの人気振りでした。
最近では、あれほど続いていたネガティブなニュースは影を潜め、マクドナルド復活の印象が高まってきているのです。
■ 復活の兆しが如実に現れているマクドナルドの財務諸表
それでは続いて、実際に具体的な数字でマクドナルドの復活を検証していくことにしましょう。
まずは既存店の月次の売り上げ状況から見ていくことにしましょう。
前年は異物混入事件で急速に顧客の足が遠のいたという特殊事情があるものの、今年に入って全店の前年同月比の売上高は1月35.0%、2月29.4%、3月18.3%、4月19.1%、5月21.3%と毎月大幅な増加を記録しています。
この回復基調は決算書にも如実に表れ、5月に発表された2016年12月期第1四半期の決算状況では売上高が前年同期比27.7%増の522億円、営業利益が100億円の赤字から1.5億円の黒字へ。また経常利益は111億円の大幅な赤字から1.3億円の赤字に大きな改善が見られます。また、経常段階で赤字に転落した原因を分析しても不採算店舗の撤退によるものであり、いわば将来の黒字化のための赤字であり、どちらかといえば前向きな赤字ということができるでしょう。
また、財務体質においても、一定の改善が見受けられます。現金残高が前年同期比50億弱減少していますが、短期借入金50億円を返済しており、安全性を示す流動比率は83.2%から101.2%へ大幅に上昇しています。この流動比率が100%を割り込むということは短期的な負債を短期的な資産で返済できないということであり、安全性に著しい問題が発生するということにつながりますが、マクドナルドはその危機的な状況をようやく脱したということになります。
加えて、長期借入金を前年同期の181億円から295億円へ114億円上積みし、長期の安定的な資金調達も行っています。
マクドナルドの経営はまだまだ予断を許しませんが、このように直近の財務諸表を分析する限りは復活に向けて着実に歩みを進めているといえるでしょう。
果たして、今回の裏メニューの投入で、2016年12月期の第2四半期は最終黒字を達成できるのか?
今後のマクドナルドの発表に注目したいと思います。
舛添東京都知事の疑惑が毎日のように報道されていますが、内容をチェックするにつけ、リーダーとしてはどうかなぁという疑問符が付く行動ばかりですね。(^^;
反面教師ではありませんが、不祥事の際の対応に失敗したリーダーから、真のリーダーについて考えた記事をBizコンパスに寄稿しました。
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さて、今回の1日3分MBA講座はウェンディ―ズによるファーストキッチン買収の背景を、財務分析を絡めながら掘り下げていくことにしましょう。
■ ハンバーガー業界第5位ファーストキッチンの買収決断を下したウェンディーズ・ジャパン
サントリーホールディングスは6月1日、100%子会社ファーストキッチンの全株式を、ウェンディーズ・ジャパンに6月末までに売却すると正式発表しました。売却額は非公表ですが、数十億円に達するとみられています。
ファーストキッチンは、1977年9月に設立されたハンバーガーチェーンで、都心のビジネス街や繁華街、郊外や駅前のショッピングセンターを中心に133店舗を展開し、直近の売上は100億円弱で業界第5位の規模を誇ります。
一方、買収する側のウェンディ―ズは、アメリカではマクドナルド、バーガーキングに次いで第3位のハンバーガーチェーン。
日本では、1980年に当時のダイエーと組んで銀座に1号店をオープンして参入を果たします。
1990年代後半には、全国に100店舗を超えるまでに規模を拡大しますが、2002年にはダイエーが経営危機に陥った影響で、経営権はすき家を展開するゼンショーに移ります。
そして、ゼンショー傘下のウェンディ―ズは2009年12月まで営業を継続。ところが、米国本社とのフランチャイズ契約満了に伴って、ゼンショーは契約を更新しないという決断を下します。
結果として、全国の71店舗は閉鎖され、日本からウェンディ―ズが消滅することになったのです。
しかし、その後、アメリカで勢いを増したウェンディ―ズは、アメリカ発祥の「ドミノ・ピザ」を日本市場で成功に導いたアーネスト・エム・比嘉氏が率いるヒガ・インダストリーズと新たなパートナー契約を結び、日本市場への再参入を試みます。
2011年12月には、表参道に再参入1号店を開店すると、高級食材のフォアグラを使った「フォアグラ・ロッシーニ」など、1280円という従来のハンバーガーチェーンでは考えられなかった価格帯の高級ハンバーガーが話題となり、表参道店は連日多くの客で賑わい、一定の成功を収めたのです。
ただ、残念ながら話題性先行で勢いは続かず、2013年には表参道店も閉鎖に追い込まれます。
現在、ウェンディ―ズの直営店は曙橋店1店舗のみで、当初のビジョン通りに事業拡大ができておらず、苦戦を強いられているというのが現状でしょう。
■ サントリーがファーストキッチンの売却を決めた戦略的背景とは?
それでは、以上の両社の現状を踏まえたうえで、今回のサントリーとウェンディーズ・ジャパンが、ファーストキッチンの売買契約に合意した背景にはどのような戦略的な思惑が隠されているのでしょうか?
まず、サントリーにおいては、財務体質の急速な悪化から事業の選択と集中を急がなければいけない背景があります。
最近、積極的なM&Aで売上はここ5年間で8千億円以上増加し、前期は2兆6,868億円と過去最高を記録し、2年連続でキリンホールディングスを抑え、首位を維持しました。
ところが、積極的なM&Aは一方でサントリーの財務体質に暗い影を落としています。
たとえば、アメリカのビーム社を買収した際に1兆6千億円を超える巨費を投じた影響で、有利子負債は2兆円を超える水準まで達してしまったのです。
自己資本比率でみれば、2013年12月期の32.3%から2015年12月期は18.6%と大きく落ち込み、財務の健全性は急速に悪化の一途を辿っています。
そこで、財務の健全化を図るうえで、あまり収益を生み出さない事業は高く買い取ってくれる企業が現れれば、積極的に売却する方針を立てていることが見て取れます。
実際に、ファーストキッチンの財務諸表を見ると、利益は出ていますが、わずか3000万円ほどであり、これまでの赤字が積み重なり利益剰余金はマイナス18億円で債務超過状態に陥っています。
サントリーは、同じように2016年1月にサンドイッチチェーンのサブウェイの株式を65%売却することを発表しましたが、その際には、応分の総資産額と同程度の金額で売却に踏み切っているだけに、今回も推測ではありますが総資産である40億円前後の売却価格で合意し、売却を決定したのかもしれません。
■ ウェンディーズ・ジャパンがファーストキッチン買収を決定した戦略的背景とは?
一方でウェンディーズ・ジャパンは、なぜファーストキッチンの買収に踏み切ったのでしょうか?
その背景には日本のハンバーガー業界を取り巻く大きな環境の変化が挙げられます。
日本のハンバーガー市場は7000億円程度と推測されていますが、そのマーケットで圧倒的な存在感を示すのがマクドナルド。
マクドナルドは、かつて7割以上のシェアを占め、圧倒的なリーダーとして君臨していました。
ところが、そのマクドナルドが立て続けに起こった不祥事により、顧客の信頼を失い、深刻な業績不振に陥ります。
数字的に示せば、ここ5年間で店舗数が3,298店から2,956店と342店減少し、売上は5,351億円から3,766億円と1,585億円も減少したのです。
このように、ハンバーガー業界の“巨象”マクドナルドの体力が著しく弱ったのをチャンスとばかりに、ここ最近ではアメリカ資本のハンバーガーチェーンが日本のマーケットで攻勢を強めてきています。
その筆頭がアメリカのハンバーガーマーケットで第2位の規模を誇るバーガーキング。
バーガーキングは、マクドナルドが退店した店舗に出店するなど店舗網を拡大。商品構成もマクドナルドを意識したプロダクト戦略でマクドナルドから顧客奪取を狙っています。
また、アメリカで人気のハンバーガーチェーン、カールス・ジュニアも日本に再進出を果たしました。
2016年3月に秋葉原に1号店をオープンさせた際には、アメリカ本社の海外部門の社長が「日本はアジア最大のハンバーガー市場であり今後10年で150店に増やしたい。1千店の出店も可能だ」と強気の発言をするなど、今後も積極的に事業拡大を図っていく予定です。
そして、現在大きな注目を浴びているのが、今やアメリカでも飛ぶ鳥を落とす勢いのシェイクシャック。
2015年11月に1号店を表参道にオープンさせると、半年以上経った今でも連日長い行列ができるほどの人気振り。この勢いをさらに拡大すべく、初進出から半年経たずして2号店を恵比寿にオープンさせています。
このようなライバル企業の攻勢を目の当たりにして、負けるわけにはいかないと一気に日本市場の攻略を図る戦略が、ファーストキッチンの買収だったのではないでしょうか。
ただ、ウェンディーズは今回の買収にあたって、闇雲に大きな賭けに出たわけではありません。
慎重に効果を検証したうえで、十分な投資効果が期待できるという結論に至ったのです。
ウェンディ―ズは、買収の決断を下す前に、まずは試験的にウェンディーズとファーストキッチンを合体させたハイブリット店舗を六本木と上野の2店舗で展開します。
もともと女性に人気のメニューが豊富なファーストキッチンと、男性に人気のボリュームのあるメニューを揃えるウェンディ―ズという組み合わせは予想以上の功を奏し、売上は2割程度アップするという結果につながったのです。
このマーケティングテストにより、コラボレーションの効果を確信したウェンディ―ズは、日本のハンバーガー市場で再び存在感を示すべく一気に100店舗以上の店舗網を獲得する買収へゴーサインを出したということなのでしょう。
今後、ウェンディ―ズはファーストキッチンのブランドはそのまま残し、一部をハイブリッド店舗に改装して、売上アップを図っていく戦略を発表しています。
マクドナルドという圧倒的リーダーが、パワーを失いつつある日本のハンバーガー市場でファーストキッチンという業界第5位のハンバーガーチェーンを得たウェンディーズは台風の目となることができるのでしょうか?
試験店舗で成功を収めたように、両ブランドの強みをさらに強化できるようなシナジーを発揮できれば、業界の勢力地図が塗り替えられたとしても決して不思議なことではないでしょう。
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昨日Bizコンパスに公開された“『モンスト』で急成長を遂げたmixiに死角はないのか”ですが、お陰様でランキング1位を獲得しました!
お読みいただきました皆様、どうもありがとうございました!(^-^)
http://www.bizcompass.jp/original/re-management-005-57.html