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■ 2017年12月期、過去最悪の赤字を見込む大塚家具

 

大塚家具の2017年12月期の中間決算が発表されました。

 


出典:大塚家具 平成29年12月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

 

売上高は前年同期比11.3%減の214億円、本業の儲けを示す営業利益は27億円の赤字、そして最終損失は事業立て直しのための引当金19億円を特別損失として計上した影響で46億円にまで膨らみます。

 

この中間期での予想を大幅に上回る業績悪化を受けて、大塚家具は2017年12月期の業績予想を下方修正。

 

売上高は当初14%増の530億円から一転、8%減の428億円へ、営業利益は5億円の黒字から43億円の赤字に、そして最終損失は63億円と過去最悪の水準に達する見込みであることを発表しました。

 

今回はこの中間決算を踏まえ、財務分析を通して苦戦する大塚家具の経営を検証していくことにしましょう。

 

■ 大塚家具のこれまでの業績を振り返る

 

まずは大塚家具のこれまでの業績を簡単に振り返っていくことにしましょう。

 

 

大塚家具は、創業者大塚勝久氏の経営の下、会員制の徹底した接客で順調に売り上げを伸ばしてきましたが、2003年に730億円の売上高を記録して以降、業績は伸び悩みます。

 

そして、2008年に5億円の最終赤字に転落すると、2009年には娘である久美子氏が社長として登板し、勝久氏は会長に退きます。

 

危機を救うべく経営の舵取りを任された久美子社長は、会員制で敷居の高いビジネスモデルから誰でも気軽に入れるカジュアルな店舗へと路線変更を図ることによって成長を指向。この路線変更後も売り上げの低下と赤字は2010年まで続きますが、2011年にはようやく黒字化を達成します。

 

その後、黒字基調は続くものの、売上高は550億円前後で伸び悩んだことから、業を煮やした勝久会長が2014年7月に久美子社長を突然解任し、自ら社長を兼務するという暴挙に出ます。そして、再び会員制に戻すことによって、業績アップを目論んだのです。

 

ところが、結果は来店客数の2割減、営業利益と経常利益は4年振りの赤字に転落するという惨憺たる有り様。そこで、2015年1月には久美子氏がわずか半年で社長に復帰し、再び陣頭指揮を執ることになります。そしてこの後、3月の株主総会で経営権を巡って親子の激しいバトルが繰り広げられることにつながっていくのです。

 

この親子の争いがメディアで大々的に取り上げられたことにより、大塚家具のイメージは大幅に悪化し、株主総会が開催された2015年3月の月次売上は前年同月比38.8%減と大きく落ち込むことになります。

 

ところが、娘の久美子社長に軍配が上がった後、メディアの注目を浴び露出度が高まるにつれ、大塚家具への来店客が増加するという予想だにしなかった効果が生まれます。

 

そして、2015年5月に開催した大感謝フェアでは、店舗に顧客が殺到するなど、5月の月次売上は前年同月比170%と驚異的な水準に達し、2015年は増収増益で再び黒字化を果たしたのです。

 

ただ、その後はメディア露出が減少するにつれ、大塚家具は売り上げに苦戦するようになり、2016年は売り上げを120億程度減らし463億へ、そして最終損益は43億という巨額の赤字に転落。

 

2017年もこの悪い流れを好転させることができずに、現状は売上高428億円、最終損益で63億円の赤字とこれまでに経験したことのない厳しい決算を見込んでいるのです。

 

■ 資産面から大塚家具を分析する

 

それでは、続いて大塚家具の主要な資産面の変化を分析してみましょう。

 

 

資産面を分析すると、大塚家具は2016年、17年の厳しい決算をこれまでに蓄積してきた豊富な現金と投資有価証券で乗り切ってきたことが数字に表れています。

 

2014年末には115億円あった現金残高も、2016年末には巨額の赤字を計上した影響で39億円となり、2017年6月末時点ではさらに22億円にまで減少しているのです。

 

同じく大塚家具が保有していた投資有価証券は2013年末には簿価で118億円ありましたが、資金需要の逼迫で売却に迫られ、2017年6月末には30億円にまで減少しています。

 

このような業績悪化による現金や投資有価証券の減少に伴い、総資産や自己資本である純資産も大幅に減少。総資産は477億円から315億円へ、そして純資産は363億円から194億円へとほぼ半減していることがわかります。

 

■ 正念場を迎える大塚家具の改革

 

2017年12月期の中間決算を分析すると、新生大塚家具が目指した構造改革はまだまだ軌道に乗っていないことが如実に数字に表れています。

 

本来であれば、この半期で売上高261億円、営業利益で3億円の赤字に留まることを見込んでいましたが、売り上げが伸び悩んだ影響で想定外の大きな赤字に転落。

 

事業資金を売り上げだけでは賄えないために、手許の現金を切り崩し、残高はこの6ヶ月間で39億円から22億円まで減少しています。

 

加えて、良好な関係を維持する目的で保有していた取引先の株式を25億円分売却して運転資金に充当。10億円弱の株式売却益を出して、最終赤字が膨らむのを防いでいます。

 

ただ、これまでの豊富な現金残高と投資有価証券を背景に、銀行との借入コミットメントラインはあるものの無借金経営は続き、当面の資金繰りには問題はないといっても過言ではないでしょう。

 

一方、久美子社長が創業者である父勝久氏から経営権奪取後、2年間で財務体質は急速に悪化し、もう後がない状況まで追い込まれつつあることも確かです。

 

そこで、8月10日に仮想現実(VR)で買い物ができるサービスを本格導入するなど、現状推し進めているバーチャルとリアル店舗を融合し、オムニチャネル化で成果を上げることも急ぐ必要がありますし、大型店舗の賃料など肥大化しているコストの無駄を適正化することによって固定費を引き下げ、現状500億円程度と思われる損益分岐点を400億円程度まで下げる努力なども必要でしょう。

 

ビジネスモデルの転換で成果を上げるのに時間がかかるのは仕方ないですが、“ハードランディング”で財務的、組織的に多大な負担を強いている現状、従業員や株主などの忍耐力も限界に達する可能性は高くなります。

 

2017年12月期は事業立て直しの引当金を計上して大幅な下方修正を発表するなど、今期の残りは事業基盤の整備に専念するようですが、果たして来年度は見事復活に導くことができるのでしょうか?

 

久美子社長の前回の改革も成果につながるまでに2年という期間を要した過去を踏まえれば、まだ結論を出すのは早計かもしれませんが、このままでは企業の存続さえ危ぶまれる状況に陥ることも十分に考えられるだけに、少なくとも来年度の黒字化は必達目標といっても過言ではないでしょう。

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