セブンカフェなどコンビニコーヒーが空前のブームを迎える中、顧客を奪われ苦戦している業界や企業もあります。
そのうちの一つが缶コーヒー業界。
缶コーヒー業界は2005年あたりから市場が縮小し始め、最近ではスターバックスなどのカフェやセブンイレブンなどのコンビニに顧客を奪われ、深刻な市場の縮小に悩まされています。
たとえば、缶コーヒーのトップブランドである日本コカ・コーラ社の『ジョージア』でさえ、ここ10年間で1億4030万ケースから1億470万ケースと25%も出荷量が落ち込んでいるのです。(飲料総研調べ)
さて、ここでもしもあなたが日本コカ・コーラ社で『ジョージア』のマーケティングを担当する責任者であれば、どのような戦略でコンビニコーヒーに対抗し、売上を回復軌道に乗せるでしょうか?
■ コンビニと正面戦争を選択した『ジョージア』
『ジョージア』を展開する日本コカ・コーラ社は、爆発的ヒットの続くコンビニコーヒーに対抗するために、JR東海の子会社である東海キヨスクが運営するコンビニエンスストア『ベルマート』に独自に開発したマシンを導入し、カウンターコーヒーを販売することを決定しました。
缶コーヒーで勝負するのではなく、コンビニのカウンターで淹れ立てのコーヒーを提供するという、真正面からセブンイレブンやローソンなどのコンビニコーヒーに勝負を挑む戦略を打ち出してきたのです。
すでにコンビニコーヒーは顧客の間で100円という低価格の割に美味しいという評価が定着していますので、日本コカ・コーラ社はカウンターコーヒーへの参入にあたって、コンビニの淹れ立てのドリップコーヒーに負けないように、総力を結集してコーヒーマシンを新たに開発。
特に駅ナカの立地に合わせ、時間に余裕のない顧客を想定して、大手コンビニが1杯当たり40秒ほどかかるところを、30秒で提供できるマシンを強みに顧客を獲得することを図ります。
当初は東京駅と名古屋駅にある2店舗での導入に留まりますが、導入してから予想を上回る売上を記録していることから、今後は新幹線の停車駅を軸にさらに導入店舗を拡大していく計画です。
■ 『ジョージア』は果たして大手コンビニから顧客を奪えるのか?
コンビニコーヒーに真っ向勝負を挑む形となった日本コカ・コーラ社ですが、果たして勝算はあるのでしょうか?
独自のマシンを開発して挑む勝負だけに、日本コカ・コーラ社の本気度が伝わってきます。
ただ、私自身はいくつかのポイントをクリアしなければ、コンビニコーヒーの勢いを止めることは難しいと考えます。
1点目は、あまり大きな問題ではありませんが、ブランドの問題です。
コーヒーマシンで提供するブランド名は『ジョージア』であり、顧客はそのブランド名を目にするとどうしても缶コーヒーを連想してしまいます。
確かに馴染みのあるブランドで、顧客に安心感を与える効果はあると思いますが、「淹れ立てで美味しい」というイメージにはもしかすると結び付かないことも十分に考えられます。
ただ、この問題はプロモーション戦略次第でクリアすることもできるでしょう。
続いて2点目は、非常に重要な問題として、プレイス戦略が挙げられます。
現状、導入しているコンビニはわずか2店であり、独自に開発したマシンのコストを回収するには程遠い状況といえるでしょう。
セブンイレブンやローソンなど大手コンビニは1万店規模で展開していることを考えると、まったく勝負にもならない店舗数です。
やはり、影響力を高めるためには大規模に展開していく必要があるのです。
ただ、現状『ベルマート』全店に導入したとしても、76店にしかなりません。
もちろん、大手コンビニにマシンを導入するのは不可能ですし、同じJR系列でJR東日本にも『NEWDAY』という駅ナカコンビニがありますが、こちらはドトールと提携してカウンターコーヒーを提供するなど、入り込む余地はなくなっています。
新聞報道では、今後ホテルやカフェなどを視野に展開を拡大したいと語っていますが、それらに加え、スーパーや高速道路のサービスエリア、全国の学校や病院の売店などコンビニが展開していない場所で大規模に展開していくプレイス戦略を実行に移せるかどうかが重要な鍵を握るでしょう。
果たして、『ジョージア本格コーヒーマシン』は、減少する『ジョージア』の売上を食い止めることができるのか?
今後の展開に注目していきましょう。
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(追記)
缶コーヒー各社は“プレミアム化”でコンビニコーヒーに対抗しようと新製品を投入しています。詳しくは以下の本日配信された産経新聞の記事をご覧下さい。
『“プレミアム”投入で缶コーヒーの逆襲なるか 老舗ダイドーの熱意、キリンは二極化対応』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141029-00000510-san-soci
そのうちの一つが缶コーヒー業界。
缶コーヒー業界は2005年あたりから市場が縮小し始め、最近ではスターバックスなどのカフェやセブンイレブンなどのコンビニに顧客を奪われ、深刻な市場の縮小に悩まされています。
たとえば、缶コーヒーのトップブランドである日本コカ・コーラ社の『ジョージア』でさえ、ここ10年間で1億4030万ケースから1億470万ケースと25%も出荷量が落ち込んでいるのです。(飲料総研調べ)
さて、ここでもしもあなたが日本コカ・コーラ社で『ジョージア』のマーケティングを担当する責任者であれば、どのような戦略でコンビニコーヒーに対抗し、売上を回復軌道に乗せるでしょうか?
■ コンビニと正面戦争を選択した『ジョージア』
『ジョージア』を展開する日本コカ・コーラ社は、爆発的ヒットの続くコンビニコーヒーに対抗するために、JR東海の子会社である東海キヨスクが運営するコンビニエンスストア『ベルマート』に独自に開発したマシンを導入し、カウンターコーヒーを販売することを決定しました。
缶コーヒーで勝負するのではなく、コンビニのカウンターで淹れ立てのコーヒーを提供するという、真正面からセブンイレブンやローソンなどのコンビニコーヒーに勝負を挑む戦略を打ち出してきたのです。
すでにコンビニコーヒーは顧客の間で100円という低価格の割に美味しいという評価が定着していますので、日本コカ・コーラ社はカウンターコーヒーへの参入にあたって、コンビニの淹れ立てのドリップコーヒーに負けないように、総力を結集してコーヒーマシンを新たに開発。
特に駅ナカの立地に合わせ、時間に余裕のない顧客を想定して、大手コンビニが1杯当たり40秒ほどかかるところを、30秒で提供できるマシンを強みに顧客を獲得することを図ります。
当初は東京駅と名古屋駅にある2店舗での導入に留まりますが、導入してから予想を上回る売上を記録していることから、今後は新幹線の停車駅を軸にさらに導入店舗を拡大していく計画です。
■ 『ジョージア』は果たして大手コンビニから顧客を奪えるのか?
コンビニコーヒーに真っ向勝負を挑む形となった日本コカ・コーラ社ですが、果たして勝算はあるのでしょうか?
独自のマシンを開発して挑む勝負だけに、日本コカ・コーラ社の本気度が伝わってきます。
ただ、私自身はいくつかのポイントをクリアしなければ、コンビニコーヒーの勢いを止めることは難しいと考えます。
1点目は、あまり大きな問題ではありませんが、ブランドの問題です。
コーヒーマシンで提供するブランド名は『ジョージア』であり、顧客はそのブランド名を目にするとどうしても缶コーヒーを連想してしまいます。
確かに馴染みのあるブランドで、顧客に安心感を与える効果はあると思いますが、「淹れ立てで美味しい」というイメージにはもしかすると結び付かないことも十分に考えられます。
ただ、この問題はプロモーション戦略次第でクリアすることもできるでしょう。
続いて2点目は、非常に重要な問題として、プレイス戦略が挙げられます。
現状、導入しているコンビニはわずか2店であり、独自に開発したマシンのコストを回収するには程遠い状況といえるでしょう。
セブンイレブンやローソンなど大手コンビニは1万店規模で展開していることを考えると、まったく勝負にもならない店舗数です。
やはり、影響力を高めるためには大規模に展開していく必要があるのです。
ただ、現状『ベルマート』全店に導入したとしても、76店にしかなりません。
もちろん、大手コンビニにマシンを導入するのは不可能ですし、同じJR系列でJR東日本にも『NEWDAY』という駅ナカコンビニがありますが、こちらはドトールと提携してカウンターコーヒーを提供するなど、入り込む余地はなくなっています。
新聞報道では、今後ホテルやカフェなどを視野に展開を拡大したいと語っていますが、それらに加え、スーパーや高速道路のサービスエリア、全国の学校や病院の売店などコンビニが展開していない場所で大規模に展開していくプレイス戦略を実行に移せるかどうかが重要な鍵を握るでしょう。
果たして、『ジョージア本格コーヒーマシン』は、減少する『ジョージア』の売上を食い止めることができるのか?
今後の展開に注目していきましょう。
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(追記)
缶コーヒー各社は“プレミアム化”でコンビニコーヒーに対抗しようと新製品を投入しています。詳しくは以下の本日配信された産経新聞の記事をご覧下さい。
『“プレミアム”投入で缶コーヒーの逆襲なるか 老舗ダイドーの熱意、キリンは二極化対応』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141029-00000510-san-soci